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散歩中の犬の排泄を、習性とマナーの両面から考える|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.121
前回、外で排泄したがらない犬もいるという話をしました。それに関連して「そもそも犬は外で排泄したほうがいいの? させたほうがいいの?」という疑問が浮かぶ飼い主さんがいるかも。そこで今回は、犬の習性とマナーの面から、外での排泄について考えます(編集部)。
不動産バブル崩壊後、物件の大きな付加価値として、ペット可物件が注目され、ペット可の集合住宅が増えていったからです。
今でこそ珍しくもないので、「ペット可」情報は、不動産広告のどこかに小さく記されている程度ですが、当時は一番のセールスポイントはココ!的な扱いで、大きく目立つ形で記されていたものです。
しかも、バブル崩壊後の産業構造の変化に伴い、工場などを閉鎖しその跡地に何百世帯と入るペット可のマンションが建つ。そういったことが、川崎など東京周辺部でブーム的に起きていった。
そこである問題が持ち上がる。
それは犬の排泄に対する苦情です。
想像を超える数の犬が同じ場所に排泄する
犬には散歩がつきもの。散歩には排泄がつきもの。
そして多くの飼い主が行う犬の散歩は、公園や河原に行って帰って来るといったスタイル。
同じマンションから出た犬たちは、似たようなコースをたどって帰って来る。犬たちは他犬が排泄した場所に好んで排泄をしたがる。
何百世帯の犬たち、その何割かが同じ場所で排泄したらどうなるか。
それが他人の家の塀であれば、その家の所有者は当然苦情を申し立てる。
それが公園の植え込みであれば、草花は枯れていく。
排泄の匂いも当然、苦情となっていく。
排泄は散歩でさせないで、というお願いを
そうしたアナウンスをオフィシャルに出していない行政も、気持ちは同じです。
それから数年しないうちに、犬の排泄が、街灯などの鉄の支柱や電信柱の鉄筋の錆びの進行を早める、といったことも問題になりました。
住民の生活を支える、社会インフラにも影響を与えるわけです。
そうなのですね、行政サイドとしては、外で排泄してくれないほうがありがたいのです。
「外で排泄をしない」という飼い主の悩みは実は、行政サイドからは「ありがたい」、ということなのです。
もっとも、多くの犬は外に慣れてくる(外での警戒心が減っていく)と、外で排泄を行うようになっていきます。
たとえ排泄を家で済ませたとしても、他犬の犬の排泄の匂いに誘発されてする外での排泄はゼロにはできない。それが自然ともいえるのです。
匂い嗅ぎにはつき合わない
とはいえ、外に慣れ犬が外で排泄ができるようになるのも、行政にとっては好ましいことではない。
外で排泄しないのは飼い主の悩み、外での排泄は行政の悩み。
この相反する2つの悩みの落とし所をどこかに見つけるしかありません。
私の教室では、他人の迷惑にならないところで、排泄をさせるよう話をしています。
排泄は匂い嗅ぎに結びついていますから、犬の匂い嗅ぎにはつき合わない。
匂い嗅ぎは排泄だけではなく、拾い食いの要因にもなっていますから、排泄をしても他人の迷惑にならない、変な物が落ちていないところで、犬の匂い嗅ぎにつき合う。
散歩の中で数カ所、こうした匂い嗅ぎOKポイントを設けるようにすると、犬の排泄はコントロールできるようになっていきます。
マーキングも同様です。させるままにさせれば、次から次へとしたい場所で何十回と排泄を繰り返す。でも、匂い嗅ぎOKの場所と、そうでない場所を飼い主が決めると、犬はやがてそれを理解し勝手なマーキングはしなくなる。
飼い主次第でどうにでもなる。まぁ、そういうことなのです。
西川文二氏 プロフィール
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