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“カイチュウ博士”藤田教授に聞いてみた(Vol.3)【穴澤賢の犬のはなし】
昔から藤田教授のファンだった私は『富士丸モフモフ健康相談室(実業之日本社)』という共著の中で、動物と人間の共存について色々なことを教えてもらったことがあります。今回は久々に藤田教授を訪ねて、また色々質問してきました。
第3回 なぜ狂犬病予防注射が必要か
日本では撲滅はしたけれど
藤田:そうですね。
穴澤:少し不思議に思うことがあって、狂犬病って大流行しませんよね。ペストみたいに何千万人死ぬとか、そういうことにはなってないじゃないですか。
藤田:そこまでの大流行はないですね。。
穴澤:ある地域で爆発的に増えたりしないじゃないですか。
藤田:致死率は100%だけど、感染力はそんなにない。空気感染しないし、噛まれないと伝りません。それで感染した人はみんな死んじゃうから。
穴澤:その割には、狂犬病がなくなることなく、脈々と生き続けているじゃないですか。それはなぜなんですか?
穴澤:なるほど。コウモリが持っていることが多いんですね。たまたま日本では狂犬病は撲滅しましたけど、世界的にはまだまだ狂犬病はありますよね。なのに、このところ日本では狂犬病予防注射なんて打たなくていいじゃない、という風潮があるんです。
藤田:これだけ海外との行き来があるんですから、いつ入ってきてもおかしくないですよね。
穴澤:ロシア船が犬を乗せて来たりするじゃないですか。だから、撲滅はしたけど狂犬病予防のワクチンは犬に打っておいたほうがいいと僕は思っているんですが、どうなんですか?
穴澤:そうですよね。
藤田:世界的に見れば狂犬病はまだまだ怖い伝染病ですよ。毎年5万人くらい亡くなっていますから。
藤田:それがいいと思いますよ。
※いぬのきもちWeb編集室注:狂犬病予防注射の接種は、法律により義務づけられています。年1回、忘れずに受けさせましょう
大切なのは知るワクチン
藤田:そうですね。でも狂犬病に比べたら、オウム病もエキノコックスもそこまで怖がる必要はないと思います。
穴澤:オウム病はオウムにいる間は悪さしないんでしたっけ?
穴澤:エキノコックスはキタキツネでしたよね。
藤田:簡単にいうと、キタキツネのサナダムシです。その卵はウンチと一緒に出ますから、その卵が入った湧き水を飲んだことでヒトに感染するんですが、少量だとそんなに怖くないです。たくさん入って、肝臓とか脳で増えると怖いんですが。
穴澤:なるほど。
穴澤:たしかに。
藤田:私の親戚に鳥が好きで、部屋で何羽も放し飼いにしている男がいたんですよ。その彼がカゼのような症状がなかなか治らない、病院に行っても良くならないというので、私の本を読んで「もしかしたらオウム病かもしれない」と思ったそうなんです。それで病院でそのことを医師に伝えたら、調べて薬を変えてくれて、それで治ったと。
穴澤:ほぅ。
藤田:だからそういう知識があったから助かったということですね。私は「知るワクチン」と言ってるんですが。
穴澤:そうですよね。
(つづく)
藤田紘一郎(フジタ・コウイチロウ)
1939年、中国・旧満州生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、東京大学医学系大学院修了。医学博士。東京医科歯科大学名誉教授。人間総合科学大学人間科学部教授。NPO自然免疫健康研究会理事長。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。『原始人健康学』『水の健康学』『パラサイト式血液型診断』(新潮社)、『笑うカイチュウ』(講談社文庫)、『免疫力を高める快腸生活』(中経の文庫)、『アレルギーの9割は腸で治る!』(だいわ文庫)など著書多数。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。
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