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ヒトも犬も、生き物は腸がカギを握る?【穴澤賢の犬のはなし】

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“カイチュウ博士”藤田教授に聞いてみた

かつて自分のお腹でサナダムシに「キヨミちゃん」という名前をつけて「飼って」いた経歴もある藤田紘一郎さんは“カイチュウ博士”として有名ですが、実は寄生虫だけでなく、免疫学の権威でもあります。

藤田教授に、人の腸のこと、犬の健康のことなど、いろいろなことを聞いてきました。

第7回 清潔志向が免疫力を落とす?

アレルギーになりにくい人とは?

藤田:そう、むしろ日常的に菌と接していないといけないと最近アメリカでは言われてるんですけどね。『Eat Drit』(泥を食べろ)とかいう本も出てますし、『Let Them Eat Dirt』は、私が訳して『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい(文響社)』という本になっていますが。

穴澤:藤田教授は昔から、清潔志向はほどほどに、でないと逆に弱くなるよ、と主張されているじゃないですか。

藤田:こんなに除菌とか消臭を言うのは日本くらいですね。

穴澤:99%除菌とか、あれ、無理ですよね。だって僕らの周囲は菌だらけなんですから。

穴澤:ほどほど不潔な地域だと、花粉症もアトピーもないというじゃないですか。

藤田:そうですね。あと、世界で最もアレルギーにならないのは牧畜業の人なんです。毎日、牛とか馬の世話をしているでしょ。それがなぜかはわからなかったんですが、最近になってたくさんの菌と触れ合うのがいいとわかってきたんです。

穴澤:そういえば、犬や猫がいる家庭に生まれた赤ちゃんはアレルギーになりにくいと聞いたことがあります。

藤田:だからってアレルギーの子どもがいる家で、後から犬や猫を飼えば治るという話ではないんです。逆にひどくなるケースがあります。ただ、子どもが生まれる前から犬や猫がいる家庭ではアレルギーが少ないということはわかっています。おそらく、普段から程よくばい菌と接しているからではないかと。

穴澤:たしかに(笑)。

藤田:世界的に見ても、日本の清潔志向はちょっと異常ですね。

穴澤:なぜなんでしょうかね。

藤田:日本では清潔といえばとにかく売れるから。薬用石鹸が許可されているのは日本だけですからね。アメリカでは禁止ですから。

穴澤:なぜ禁止なんですか?

藤田:皮膚を守っている菌まで洗い落とすからです。

穴澤:そうなんですか。ものすごく手を洗う人とかいますが、それ逆に危険で肌荒れがひどくなったりするケースもありますしね。

藤田:皮膚には皮膚を守っている皮膚常在菌がいますから。

穴澤:それまで洗い流したら、逆に皮膚が弱くなって荒れたり腫れたりするということなんですね。

食物アレルギーは「腸漏れ」が原因?

穴澤:腸内細菌を増やして腸内環境をよくすると、花粉症もよくなるということですが、だいたいのアレルギーはそれで治るものなんですか?たとえば蕎麦アレルギーとか。

藤田:蕎麦に限らず、多くの食物アレルギーはちょっと違います。リーキーガット症候群といって、簡単に言うと「腸漏れ」です。

穴澤:なんですか、腸漏れって。

藤田:腸に穴が空いているんですよ。その穴から食べたものが消化されないまま漏れて血液の中に入っちゃうんです。それに免疫細胞が反応して、バトルを繰り広げる。多くの食物アレルギーは腸漏れが原因です。

穴澤:本来ならアミノ酸とかに分解されて吸収されるものが、その前の段階で体内に入ってくると。

藤田:ジョコビッチというテニス選手が、パンを食べると体調がおかしくなると訴えていたんですよ。それは小麦粉の中のグルテンが腸漏れによって体内に入るのが原因だったんです。それで小麦粉を止めたら、治ったんですよ。

穴澤:そんなことが実際にあるんですね。

藤田:ヤクルトと順天堂大学の研究者の調査によると、日本人の4%の人が腸に穴が空いているいう結果が出ています。

穴澤:穴といってもすごく小さいんですよね?

藤田:めちゃくちゃ小さいです。

穴澤:素朴な疑問ですが、なぜ蕎麦粉とか小麦粉とかだけ漏れるんですか?

藤田:それだけじゃないですよ。他にも色々なものが漏れてる、毒素も含めて。

穴澤:知らなかった……。でも腸漏れがあるかどうかはどうすればわかるんですか?

藤田:血液中に腸内細菌がいるかどうか調べます。本来、腸内細菌は腸内にいるものですから、それが血液中にいたら腸から漏れているということです。

穴澤:えぇ、そんなことがあるんですか。

藤田:でも治りますよ。腸漏れを治すには腸粘膜を修復すればいいんです。修復するのが短鎖脂肪酸で、たくさん摂ることによって腸粘膜が修復されて腸漏れを防ぐんです。

アレルギーの鍵を握るのは腸

穴澤:では、アトピーはどうなんですか?

藤田:アトピーは花粉症と同じで、IgE抗体を作ってしまっているんです。

穴澤:花粉症は花粉に対して抗体を作ってるそうですが、アトピーは?

藤田:ダニの場合が多いですね。ほこりの中に混ざっているダニの死骸とか、そういうのに反応しているんです。

穴澤:それはほどほどの不潔にすれば治るもんなんですか?

藤田:いったんアトピーになって抗体ができてしまうとほこりに反応してしまうから、なった人はまずいですね。ほどほどに清潔な人はアトピーにはなりにくいですが。

穴澤:ではアトピーを治すのはかなり難しいんですか。

藤田:そうでうすね。部屋を清潔に保ちつつ、改善が見られたら少しずつ戻すしかないですね。

穴澤:最近、アトピーになる犬も多いそうなんです。そうなると、頻繁に洗えと言われるそうで、逆にひどくなるんじゃないかと思ってたんですが、洗ったほうがいいんですね。

藤田:まずは症状を軽くするために、洗うのは大切でしょうね。症状が軽くなってきたらだんだん清潔にしすぎないようにするのがいいと思うんですが、その判断はなかなか難しいんですよ。動物病院でかかりつけの先生と相談しながら治療するのがよいと思います。

穴澤:花粉症やアトピーも腸内細菌や腸内環境の影響が大きくて、食物アレルギーは腸漏れの可能性が高いということですが、どっちも腸が重要なんですね。

藤田:そうなんです。ヒトも犬も、生き物は腸がカギを握っているんです。

穴澤:やっぱり腸ですか。いやー、勉強になりました。今回も色々教えてくださってありがとうございました。
(おわり)

「“カイチュウ博士”藤田教授に聞いてみた」シリーズは今回で完結です。
記事を読んで興味を持った方は、藤田教授の著作を手に取ってみてくださいね。

1回目の記事はこちら

2回目の記事はこちら

3回目の記事はこちら

4回目の記事はこちら

5回目の記事はこちら

6回目の記事はこちら



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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