犬の免疫力を低下させる「4つの原因」って?
今では当たり前のようによく聞く言葉になりましたが、「免疫力」とはカラダを守る力のこと。
愛犬の体を病気から守り、健康をキープするために、生まれつき体に備わっている力です。
この働きをおもにになっているのが血液内にいる白血球です。
白血球は単球や顆粒球やリンパ球などのさまざまな免疫細胞からできていますが、これらの免疫細胞は、体内をパトロールして発見した敵を攻撃する「自然免疫」と、自然免疫では対処しきれなかった敵を協力して処理する「獲得免疫」の2チームに分かれて体を守っています。
これらの免疫力を低下させてしまう原因は、もしかしたら毎日の生活の中に潜んでいるかもしれません。心当たりのあるものがないか、チェックしてみましょう!
獣医師の高橋俊一先生にお話を伺いました。
イラスト/泰間敬視
原因1.栄養不足
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犬では総合栄養食であるドッグフードを与えていれば問題ないのですが、おすそわけやおやつの与えすぎなどで、犬の体に必要となる量のフードを摂取できないと、体内の栄養バランスが崩れて免疫力低下の原因に。
原因2.睡眠不足
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睡眠には体を回復させ、自律神経を整えて免疫機能を正常に働かせる役割があります。犬では1日平均12~15時間の睡眠が望ましいとされていますが、落ち着いて眠れないなどで睡眠が不足すると、免疫力低下の引きがねに。
原因3.運動不足
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散歩や運動の時間が不足すると、ストレスが増して筋肉量が減り、体温も低くなります。これに伴って体の代謝機能が低下すると、免疫細胞を全身に運んでいる血液の巡りが悪くなり、免疫力がうまく働きにくくなります。
原因4.ストレス
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大好きな飼い主さんにかまってもらえないことは、愛犬にとって何よりものストレスに。愛犬とのふれあいが不足するなどで心にストレスがかかると、体内の免疫細胞の数が低下し、免疫の働きを悪くしてしまいます。
「原因」を取り除いて、愛犬のカラダを整えよう
免疫力の低下を引き起こす4つの原因を取り除いて、愛犬のカラダを万全に整えるには、どのようにしたらよいのでしょうか? すぐできるヒントをご紹介します。
アレルギー検査を行い、体に害のあるものを避ける
イラスト/泰間敬視
愛犬の体が有害(アレルゲン)だと認識したものを摂取しつづけると、免疫機能が過剰に反応し、アレルギーを発症することも。アレルギー検査を受けて、愛犬の体が反応しがちなものを知っておけば、事前に避けることができて、免疫バランスの維持に役立ちます。
愛犬の過ごす部屋すべての気温と湿度を管理する
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部屋が暑すぎたり寒すぎたり、または湿度が高すぎても低すぎても寝つきが悪くなります。犬はあらゆる場所で睡眠をとるので、日中の生活環境が影響しないよう、リビングや通路など愛犬が過ごすすべての部屋に温湿度計を設置するとよいでしょう。
散歩は時間より「質」を重視する
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運動不足を解消するためには、時間より「質」を意識した散歩を行いましょう。散歩コースの中に坂道ダッシュや階段の上り下りを取り入れるだけでも、愛犬の体にかかる負荷がほどよく上がり、筋力増加につながります。
毎日5分「握手」する
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愛犬の心を安定させるためには、ふれあいが不可欠です。愛犬の骨や関節に負担をかけない姿勢で、肉球をマッサージするようにして、片手ずつ「握手」する時間を毎日5分間設けてみて。触れられて愛犬が嬉しくなるうえ、肉球にはツボがたくさんがあるので、リラックス効果も期待できます。
いかがでしたか? 愛犬にこの先もずっと元気でいてもらうためにも、ご紹介したコツを取り入れて、イキイキとしたカラダに整えてあげてくださいね。
参考/『いぬのきもち』2021年7月号「愛犬のカラダの整え方」特集(監修:湘北どうぶつ次世代医療センター ファミリーアニマルホスピタル 高橋動物病院院長 高橋俊一先生)
イラスト/泰間敬視
文/影山エマ