大好きな愛犬にはずっと笑顔でいてほしいもの。
その大前提として、動物とともに暮らしていくうえで人が配慮すべきルールを示した「アニマルウェルフェア」の考え方について、獣医師で東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授の増田宏司先生にお話を伺いました。
これは、飼い主さんが絶対に守ってほしいルール。愛犬とのよりよい暮らしのために、必ず守りましょう。
撮影/犬丸美絵
アニマルウェルフェアとは「動物への配慮」のこと
アニマルは「動物」、ウェルフェアは「福祉」のこと。日本ではまだなじみがない言葉かもしれませんが、これは世界共通の考え方で、動物とともに暮らしていくうえで人が配慮すべきルールを示したものです。愛犬と暮らしている飼い主さんも、以下の5つの自由をしっかりと守らなければなりません。
飢えと渇きからの自由
撮影/犬丸美絵
おなかがすいたり、のどが渇いている状態では愛犬は笑顔でいられません。愛犬が飢えや渇きと生涯無縁でいられるように、安心してゴハンが食べられて、好きなときに自由に水を飲める環境を提供しましょう。
不快からの自由
撮影/犬丸美絵
そもそも愛犬は、飼い主さんのために人の社会に合わせてくれています。落ち着いて眠れない、狭いトイレで排泄がしづらいなど、体や精神に過度な負担がかかる状況は避けたいもの。愛犬が快適に暮らせるよう、こまやかな気づかいを忘れずにいたいものです。
痛み・負傷・病気からの自由
撮影/犬丸美絵
心と体の健康は密接にかかわっています。体に苦痛を感じていると、笑顔でいることは難しいもの。犬は痛みを感じていても、人のように言葉で訴えることはできません。愛犬がケガや病気で苦痛を感じていないか、気づいてあげられるのは飼い主さんだけです。
恐怖や抑圧からの自由
撮影/犬丸美絵
恐怖は笑顔からもっとも離れた感情です。愛犬とともに人間社会で暮らしていくうえで、ある程度のしつけは欠かせないものですが、過剰に恐怖や抑圧感を与えるような行動は絶対に避けて。愛犬が心から安心してそばにいられるような信頼関係を築きましょう。
本来の正常な行動がとれる自由
犬と人は異なる生物で、犬には犬としての幸せがあります。相手の立場に立って考えることは必要ですが、過剰な擬人化などで人の基準を押しつけすぎることは、犬本来の幸せを遠ざけてしまうことも。愛犬が愛犬らしくいられる自由をしっかりと尊重しましょう。
愛犬に「笑顔」でいてもらう前に、前提として飼い主さんが絶対に守るべき、この5つのルールを忘れずに、見直してみてくださいね。
お話を伺った先生/獣医師・博士(獣医学)・東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2022年1月号『ずっと笑顔でいられるための25のヒント』
撮影/犬丸美絵
文/いぬのきもち編集室