地震、台風、洪水、土砂災害。四方を海に囲まれ、国土の多くを山地が占める災害大国・日本で愛犬の命を守るには、万が一のときに愛犬がとるべき行動をふだんからしつけで教えておくことが重要です。今回は、災害発生後、避難したときに役立つしつけを、しつけトレーナーの戸田美由紀先生に伺いました。
避難時できると安心なしつけ①【トイレ】(排泄補助)
避難先など、非常事態でも愛犬の健康を守れる
災害が起こるなどの非日常の状況や、避難先などの慣れない場所では、恐怖や緊張から排せつできなくなってしまう犬も多いです。
オシッコを長く我慢すると、膀胱炎になってしまうことも。災害時はトイレトレーを持って避難することも難しいので、ワンツーの合図で、愛犬がトイレシーツの上などの正しい場所で排泄ができるようしつけておいて。
1.愛犬が排泄しているときに「ワンツー」と連呼する
愛犬がトイレシーツなど、正しい場所で排泄しているのを見かけたら、排泄をしている間中、「ワンツーワンツー」と合図の言葉をさりげなくかけ続けます。
2.愛犬が排泄できたらその場でほめる
トイレシーツの上で排泄ができたら、「イイコ」と言いながら愛犬をなでてほめましょう。繰り返すうちに「ワンツー」の合図で排泄できるようになります。
避難時できると安心なしつけ②【オスワリ&フセ】(姿勢維持)
クールダウンや飛びつきを防止できる
避難先など、公共の場所には犬を苦手に思う人も。愛犬もふだんと違う状況下で興奮しやすくなっているので、オスワリやフセなどを教えておけばクールダウンに役立ち、ほかの人にも安心してもらいやすくなります。とくに大型犬は体高が大きく威圧感を与えやすいので、フセを教えておいて。
避難時できると安心なしつけ③【アイコンタクト】(目線管理)
ほかの人や犬に不快感を与えない
非常事態の状況下では誰もが緊張しがち。そんなときに愛犬がほかの人や犬をじっと見ると、トラブルのきっかけになることも。アイコンタクトを教えておけば、愛犬の視線を飼い主さんだけに集中させられるので、トラブル予防だけでなく愛犬のムダ吠え防止やストレス予防にも役立ちます。
避難時できると安心なしつけ④【サイレント】(ムダ吠え予防)
愛犬がむやみに吠えないようにする
避難先でもっとも嫌がられる行為といえば、やはりムダ吠え。ただでさえ皆がピリピリとしている状況下ですから、愛犬を吠えさせてしまうと、まわりの人に大きな迷惑をかけてしまいます。とくにハウスに入っている間は静かにしていられるように、ふだんから教えておいて。
避難時できると安心なしつけ⑤【物慣れ】(グッズに慣れさせる)
万が一に備えて避難グッズに慣れさせておく
災害に備えて愛犬用の防災グッズを準備している飼い主さんは多いと思いますが、いざというときに初めて使うグッズとなると、慣れていない愛犬を余計に怖がらせたり、緊張させること
も。避難のために一分一秒を争う場合もありますので、あらかじめ愛犬を防災グッズに慣れさせておきましょう。
洋服&靴
洋服は避難先が寒いときや、避難先での毛の飛び散り予防に便利です。さらに靴があると、落ちているがれきやガラスから愛犬の足を守れます。
ライフジャケット
地震による津波のほか、台風や豪雨などで家が浸水したとき、避難中にライフジャケットが1枚あると、愛犬が溺れにくくなるので安心です。
マナーウェア
光るグッズ
夜間に避難するときは足元を照らしたり、ほかの人に愛犬の存在を知らせるのに便利。光るものを怖がる犬も多いので、慣れさせておきましょう。
カート&台車
避難中は荷物も多くなりがち。カートや台車があれば、愛犬を乗せて便利に運べます。揺れを怖がる犬は多いので、事前に慣れさせておきましょう。
愛犬のしつけは緊急時に身を守ることにも役立ちます。ふだんから予行練習しておけば、いざというときにスムーズですのでぜひ練習しておきましょう!
お話を伺った先生/日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター。DOG IN TOTAL主宰 戸田美由紀先生
参考/「いぬのきもち」2022年3月号『いざというときに、愛犬の命を守る 防災しつけ』
撮影/尾﨑たまき
イラスト/別府 拓
文/いぬのきもち編集室