愛犬と一緒に外出するときなどに、「犬用のおやつを持ち歩いている」という方も少なくないでしょう。でも、ほかのワンちゃんに会ったときに、そのおやつ……勝手にあげたりしていませんよね?
いぬのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生によると、「他人の犬におやつを与える」ことで相手のワンちゃんを危険な目に遭わせてしまう可能性もあるのだとか。今回、くわしく解説してもらいました。
「他人の犬におやつを与える」ことで考えられる危険性
例えば、その犬がアレルギーや何らかの病気があって食事制限をしている場合、飼い主さんの許可なく勝手におやつを与えると、アレルギー症状が出てしまったり、病気が悪化したり、最悪の場合、命にかかわってくることがあるかもしれません。
犬の「食物アレルギー」の原因は?
犬の食物アレルギーの主な原因は「タンパク質」です。一般的に、肉類、魚肉、鶏卵、牛乳を想像すると思いますが、普段与えているフードの中に含まれる大豆や小麦、米、トウモロコシ、ジャガイモデンプンなどの植物にもタンパク質は含まれており、それによる食物アレルギーも起こります。
そのためおやつやガムなどが原因となることもあるのです。そのほかにフードやおやつに含まれる添加物も原因となる場合があります。
どんなアレルギー症状が出るの?
食物アレルギーの症状としては、顔(眼・口の周り)、肛門周囲、わきの下、背中、手足の先の痒みや皮膚炎、外耳炎、慢性的で繰り返す下痢や嘔吐です。
犬によっては皮膚症状がなく、慢性的な下痢・軟便や嘔吐だけのときもあります。
ほかの犬の飼い主さんと、トラブルに発展する場合も…
また、おやつを勝手に与える行為は、ほかの犬の飼い主さんとのトラブルにもなりかねません。上述のとおり、アレルギーや病気がある場合もありますが、下記のような理由で日頃からおやつを制限している飼い主さんもいるからです。
□ ダイエットをしている
□ トレーニング中である
□ 決めたものしか与えたくない
そのため、飼い主さんの許可なく勝手におやつを与えることはやめましょう。
他人の犬におやつを与える際に覚えておきたいこと
他人の犬におやつを与えることで起こりうるトラブルはさまざまですが、大切なのはおやつをあげたかったら、まず「飼い主さんの了解を得る」ということ。喜んでくれる飼い主さんももちろんいますが、なかには理由があって断りたい飼い主さんもいるからです。
おやつをあげたい人は好意からの場合がほとんどでしょう。相手の飼い主さんは「はっきりとは断りづらい」と思っていることもあるので、理由をきちんと聞いて、無理強いはしないようにしましょう。
熱意のままに押し切ったり、善意や持論を押しつけるとトラブルの元になってしまいます。
みなさんも、ほかのワンちゃんにおやつを与えるような場面があったら、しっかりそのワンちゃんの飼い主さんの了解を得てから与えるようにしてくださいね。
(監修:いぬのきもち獣医師相談室 獣医師・白山さとこ先生)
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/雨宮カイ
編集/いぬのきもちWeb編集室