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犬に必要な予防接種とは?~狂犬病などの予防、ワクチンの種類や回数、費用などについて

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犬には感染、発症すると命に関わる病気がいくつかあります。また、散歩中に愛犬が他の人を噛み、予防接種の提出を求められることもあります。ワクチンプログラムにも色んな種類があるので、ワクチンの種類や副作用を知り、愛犬に合ったワクチンを選びましょう。

1. 予防接種の必要性と、ワクチンの種類

予防接種を受けるタイミングと、防げる病気とは?

子犬を迎えたら、約2か月齢で1回目のワクチンを接種します。子犬の体内に母犬の移行抗体があると、1回目のワクチンが無効になるため、約3か月齢で2回目を接種し、抗体価を上げる為3回目を接種することもあります。
※副作用を避けるために3回目の接種を控えることもあります。

ワクチンによる抗体価は1~3年持続するといわれています。抗体価は測定可能ですが、測定時十分な抗体価があっても低下時期は予測できないので、1年に1回接種することをお勧めします。
※海外では数年持続するとの意見もあります。

予防接種を受けるときは、アレルギーなどの副反応に備えて、午前中の早めの時間に来院しましょう。費用は5種で5,000円前後、8種で8,000円前後です。

予防接種を遅らせて、旅行に行った犬がジステンパーに感染、発症し、治療の甲斐なく亡くなってしまったことがあります。予防接種により感染は防げますし、発症時の治療費はワクチン費用を上回ります。近年犬用のレジャー施設なども普及してきたので、定期的にワクチンを接種し、健康な生活を送れるようにしたいですね。

予防接種が必須な感染症

・狂犬病
感染すると激しい神経症状を起こし死に至る感染症

ワクチンで予防可能な感染症

・犬ジステンパーウイルス
呼吸器症状、消化器症状、神経症状などを起こす、発症すると死に至ることも多い
・犬パルボウイルス
特に子犬で激しい下痢やおう吐突然死などを起こし、致死率が高い
・犬パラインフルエンザウイルス
風邪様の呼吸器症状
・犬伝染性喉頭気管炎=犬アデノウイルスⅡ型
空咳が続き、パラインフルエンザと混合感染を起こしケンネルコフと呼ばれる
・犬伝染性肝炎=犬アデノウイルスⅠ型
急性肝炎を起こし,黄疸おう吐などが見られる
・犬コロナウイルス感染症
下痢、嘔吐が主症状。パルボなどとの混合感染で重症化
・レプトスピラ感染症
不顕性感染のこともあるが、発症すると発熱、出血、黄疸、腎不全などが現れる

2.予防接種で防げる病気とは?

狂犬病

狂犬病は主に感染動物に咬まれることにより感染します。神経が侵され、食欲不振・性格の変化などが見られ、その後大変凶暴になります。発症すると致死率100%ですが、予防接種で防ぐことができます。

人に感染、発症した場合、高い率で死亡しますので、狂犬病予防接種は生後91日以上のすべての犬に年1回義務付けられています。動物病院や毎年春に行われる集合注射などで予防接種を受けます。日本は数少ない清浄地域ですが、動物の輸送がある以上大変重要です。費用は3000円程度です。

犬は散歩が必要なため、外出の機会も多いです。実際に飼犬がよその犬を軽く噛んでしまった際、狂犬病のワクチン証明を病院で発行したことがあります。義務であるということももちろんですが、もし予防接種をしていなかったら、犬も人も犠牲になる可能性がありますので、必ず接種しましょう。

ジステンバー

ジステンパーウイルスに感染している犬との接触(鼻汁、唾液、尿、便等)や、感染犬の咳やくしゃみによる飛沫感染によって感染します。ワクチン未接種の子犬や接種が適切に行われていない犬、免疫力が低下している犬で発症します。

初期には発熱、目やに、くしゃみ、元気食欲の低下などが見られ、咳などの呼吸器症状や下痢、嘔吐などの消化器症状が現れます。免疫反応が不十分だと、ウイルスが神経細胞に侵入し、歩行困難、けいれん発作などの神経症状や脳炎が起こり死に至ることもあります。

治療は有効な治療方法がないため、抗生物質の投与や点滴などの対症療法が主体になります。ジステンパーの予防にはワクチンが有効で、どの混合ワクチンにも含まれています。

ケンネルコフ

ケンネルコフは伝染性気管支炎とも呼ばれ、空咳や発熱など風邪のような症状が長く続く呼吸器疾患です。食欲不振や膿性鼻汁がみられ、興奮、運動、気温の変化で咳が悪化します。

単独感染では軽症のことが多く、1週間から10日ほどで回復するのですが、ほかのウイルス、細菌との混合感染や、免疫力の不十分な子犬、高齢の犬では症状が重くなり、肺炎を起こしてよくない結果になることもあります。

原因となるのは、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルスⅡ型、気管支敗血症菌などで、これらが単独あるいは混合感染することによって起こります。感染経路は接触感染や飛沫感染ですので、多頭飼育などの環境では感染がおこりやすくなります。多くの犬が集まっている犬舎や施設などで感染が進むことが多いので「ケンネル(犬舎)のコフ(咳)」と呼ばれます。

治療法としては安静、十分な栄養を心掛け、細菌感染に対しては対抗生物質、咳には鎮咳剤、気管支拡張剤などの対症療法がおこなわれます。同居犬がいる場合は、感染した犬を隔離する必要があります。

ケンネルコフの原因ウイルスに対してはワクチンがありますので、子犬のころから計画的にワクチン接種をすることが、有効な予防法になります。特に冬場はウイルスが活発になりやすいので、冬場に子犬を迎え入れる時は、数日間は保温や栄養に気を付けてよく観察してあげましょう。子犬を迎え入れる際は、その子が生まれた際の環境について確認しておくとよいかもしれませんね。

肝炎

犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルスⅠ型に感染することにより発症します。ウイルスは感染犬の分泌物(鼻汁、涙、唾液、尿、便)に含まれ、これらが付着した食器の使用などにより感染します。成犬では不顕性感染が多く、1歳以下の幼犬で致死率が高くなります。

病態は一定ではありませんが、感染すると肝炎を起こし、嘔吐、高熱、下痢などの症状が現れます。微熱や鼻汁などの軽症で済むこともありますが、重症化することもあります。その場合、肝不全による低血糖や肝性脳症のため、神経症状や出血傾向(皮膚の点状出血、鼻血、下血など)が現れ、脳炎を起こすこともあります。ワクチン未接種の犬、免疫力の充分でない子犬が感染すると死亡することもあります。回復期には角膜が浮腫を起こし青っぽく濁ったように見え、ブルーアイと呼ばれます。ブドウ膜炎をおこすこともあり、ふつうは回復しますが角膜潰瘍などを引き起こすこともあります。

犬伝染性肝炎に有効な治療方法はありませんので、対症療法として輸液、ビタミン剤、強肝剤などによる肝臓の回復や輸血、二次感染に対する抗生物質などの投与などが行われます。有効な予防方法としてはワクチンを適切な時期に適切な回数接種することと、ほかの犬の尿に接触させないことがあげられます。

フィラリア

フィラリアは蚊が媒介する寄生虫で、フィラリア仔虫を持った蚊が犬を吸血する際、感染仔虫が体内に入り、成長を続けながら成虫となり、心臓に寄生する恐ろしい病気です。

蚊が発生する期間は、月に一度感染した仔虫を駆虫する必要があります。蚊が生息する地域では、蚊が発生している期間の1か月後まで、フィラリア予防薬を投与するようにしましょう。フィラリア予防薬は多くの種類がありますので、飼い主さんと愛犬の好みに合ったものを選んであげましょう。

ノミ・マダニ

ノミはやノミアレルギーなどの皮膚病の原因になったり、瓜実条虫を媒介したりしますし、マダニは貧血、アレルギー性皮膚炎などの症状を引き起こし、バベシア、日本紅斑熱、ライム病、Q熱、エールリヒア症などを媒介します。

ノミ、マダニ予防薬もいろいろな剤型のものがありますので、適当なものを選んで投薬しましょう。

3.生ワクチンと、不活化ワクチンの違いとは?

ワクチンには、病原体を死滅処理した不活化ワクチンと、生きた病原体の毒性を弱めた生ワクチンがあります。これらのワクチンを接種することにより、体内で病原体に対する抗体が産生されます。十分な抗体が体内にあれば、病原体が体内に侵入してきても免疫機能が働いて、病気を発症しないで済むのです。一般的に生ワクチンのほうが、不活化ワクチンよりも免疫獲得力も免疫期間も長いといわれていますが、その分副作用が大きいという特徴もあります。

4.ワクチンの種類と費用とは?

※写真はアプリ「まいちにのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。

ワクチンの種類

犬のワクチンは1種類から11種類まであります。
・1種 犬ジステンパー
・2種 ジステンパー、パルボ
・3種 ジステンパー、犬アデノウイルスⅠ型(犬伝染性肝炎)、犬アデノウイルスⅡ型(犬伝染性喉頭気管炎)
・4種 ジステンパー、犬アデノウイルスⅠ型(犬伝染性肝炎)、犬アデノウイルスⅡ型(犬伝染性喉頭気管炎)、パルボ
・5種 4種とイヌパラインフルエンザ
・6種 5種と犬コロナウイルス 
・7種 5種とレプトスピラ2種
・8種 6種とレプトスピラ2種
・9種 6種とレプトスピラ3種
・10種 6種とレプトスピラ4種 
・11種 6種とレプトスピラ5種

ワクチンの副作用

含まれる病原体の種類が多ければ、それだけ予防できる病気も多くなりますが、子犬や高齢犬、病気にかかっている犬は体に負担がかかるので、体調に合わせて種類の少ないものを選択することがあります。

ジステンパーやパルボなどは致死率が高いので、優先して接種したほうが良いでしょう。レプトスピラは感染したネズミや犬の尿や尿を含んだ水などを飲んだり、感染犬とグルーミングすることにより感染する人獣共通感染症です。感染している犬を飼育している場合人も感染する可能性がありますので、ネズミが出るようなところには立ち入らない、水たまりなどの水を飲ませないなどの注意が必要です。

ワクチンの費用

費用の目安は以下のようになっています。
・2種 3,000~6,000円
・6種 6,000~7,500円
・8種 7,000~1万1000円
・10種 8,000~1万2000円

病院によって扱っているワクチンの種類はまちまちで、費用の設定も異なりますので、かかりつけの動物病院に、あらかじめ愛犬にとって適切なワクチンの種類やその金額等を確認しておくとよいでしょう。

5.予防接種の回数、頻度、時期とは?

混合ワクチン

混合ワクチンは、子犬を迎えたら、8週齢前後で1回目のワクチンを接種し、生後12週齢前後で抗体価を上げるため、2回目のワクチンを接種します。その後は最終のワクチン終了後から1年ごとにワクチンを打ちます。

近年では犬の混合ワクチン接種は数年に一度でよいとする意見もあります。その場合、血中の抗体価を測定すれば、その時点での抗体価が十分であるかは判断できるのですが、いつ抗体価が下がるのかは予測できないため、感染を防ぐことを考えるのであれば、従来通り1年に1回接種したほうが良いかもしれません。ワクチン接種のタイミングや回数については、かかりつけの獣医師と相談して決めるとよいでしょう。混合ワクチンは義務ではありませんが、感染力や致死性の高い病気や、人獣共通伝染病なども含まれますので、犬のためにも人のためにも接種するように心がけましょう。

1回目のワクチンについては、子犬が母犬の母乳を飲んでいない可能性があれば、体内に病原体の抗体が存在せず、感染、発症のおそれがあります。そのため8週齢に満たない仔犬でも早めに1回目のワクチンを接種することがあります。その場合でも8週齢、12週齢のワクチンは必要となります。子犬の身体はまだ免疫機能が十分に働かないため、自分で抗体を作ることができない可能性がありますし、また、初乳による抗体が存在すると、ワクチンの効果が十分に発揮されない可能性が生じます。その場合は3回目のワクチンを接種することがあります。ワクチンプログラムについては、仔犬の生育環境、体調などを含め動物病院によく相談して決めるとよいでしょう。

狂犬病予防接種

狂犬病予防接種は、91日齢以上の犬すべてに義務付けられています。子犬を迎え入れ、適齢になったら、狂犬病ワクチンを接種しましょう。ワクチン接種証明書を持って保健所へ行き、畜犬登録を行います。毎年春に狂犬病予防接種のお知らせが行政機関(市区町村)から郵送されてきますので、動物病院(または集合注射)で接種してください。

6.予防接種による副作用とは?

副作用でいちばん怖いのは「アナフィラキシーショック」

ワクチン接種をすると、感染症のウイルスの毒を弱めた「抗原」を体内に摂取することで、その「抗体」を作ることができます。ただ、副作用として病原体の症状が出たり、アレルギー、自己免疫疾患などの病気になったりすることがあります。

副作用でいちばん怖いのは、アナフィラキシーショックです。これは過剰な免疫反応のことを言います。体内に入ってきた異物に免疫が反応し、抗原の再侵入に備えてIgE抗体が作られます。IgE抗体の大部分は肥満細胞や好塩基球という細胞の表面に結合しています。これらの細胞は体中の結合組織にあって、高j減が再び侵入するとIgEこうたいに結合してヒスタミンなどの生物活性物質を放出します。この反応により、血管や血管を通した全身の臓器に様々な影響を与えます。

アナフィラキシーショックは2回目以降が多い

このようにアナフィラキシーショックが起きるには、まずIgEが作られる必要があるので、ワクチン接種の際は2回目以降に注意が必要になります。接種から数分~30分後くらいで起こり、ショック症状に陥ります。急激に血圧が下がり、流涎、嘔吐、脱糞、失禁などが起こり、さらに進むと虚脱、呼吸困難、けいれん、昏睡へと進行します。

ワクチン接種後30分は病院近くにいましょう

アナフィラキシーショックが起きたら、点滴や注射でショック症状を改善し、ヒスタミンの影響を抑える治療を行います。また、アナフィラキシーショックとは別に、遅延型のアレルギー症状が現れることがあります。この症状はワクチン接種後30分~数時間程度で発症します。血管から周囲に血漿が漏れ出て皮膚に発疹が現れます。顔がはれたり、皮膚全体に広がることもありますが、命の危険はありません。ワクチンを接種する場合は午前中の早めの時間に来院して、接種後30分は病院内や病院近くにいるようにしましょう。今までにワクチンでアレルギー反応が出たことのある場合は十分な注意が必要です。

今は混合ワクチンを接種することが多いので、含まれる病原体の種類を減らして、ワクチン接種を行う方法が対策としては一般的ですが、予防出来る病気の種類も減るため、犬の身体の状態や住んでいる地域の環境などを考慮して、かかりつけの病院とよく相談して決めましょう。

この記事は、いぬのきもち相談室の獣医師が執筆しています。

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