犬と暮らす
UP DATE
犬に必要な予防接種とは?~狂犬病などの予防、ワクチンの種類や回数、費用などについて
1. 予防接種の必要性と、ワクチンの種類
予防接種を受けるタイミングと、防げる病気とは?
※副作用を避けるために3回目の接種を控えることもあります。
ワクチンによる抗体価は1~3年持続するといわれています。抗体価は測定可能ですが、測定時十分な抗体価があっても低下時期は予測できないので、1年に1回接種することをお勧めします。
※海外では数年持続するとの意見もあります。
予防接種を受けるときは、アレルギーなどの副反応に備えて、午前中の早めの時間に来院しましょう。費用は5種で5,000円前後、8種で8,000円前後です。
予防接種を遅らせて、旅行に行った犬がジステンパーに感染、発症し、治療の甲斐なく亡くなってしまったことがあります。予防接種により感染は防げますし、発症時の治療費はワクチン費用を上回ります。近年犬用のレジャー施設なども普及してきたので、定期的にワクチンを接種し、健康な生活を送れるようにしたいですね。
予防接種が必須な感染症
感染すると激しい神経症状を起こし死に至る感染症
ワクチンで予防可能な感染症
呼吸器症状、消化器症状、神経症状などを起こす、発症すると死に至ることも多い
・犬パルボウイルス
特に子犬で激しい下痢やおう吐突然死などを起こし、致死率が高い
・犬パラインフルエンザウイルス
風邪様の呼吸器症状
・犬伝染性喉頭気管炎=犬アデノウイルスⅡ型
空咳が続き、パラインフルエンザと混合感染を起こしケンネルコフと呼ばれる
・犬伝染性肝炎=犬アデノウイルスⅠ型
急性肝炎を起こし,黄疸おう吐などが見られる
・犬コロナウイルス感染症
下痢、嘔吐が主症状。パルボなどとの混合感染で重症化
・レプトスピラ感染症
不顕性感染のこともあるが、発症すると発熱、出血、黄疸、腎不全などが現れる
2.予防接種で防げる病気とは?
狂犬病
人に感染、発症した場合、高い率で死亡しますので、狂犬病予防接種は生後91日以上のすべての犬に年1回義務付けられています。動物病院や毎年春に行われる集合注射などで予防接種を受けます。日本は数少ない清浄地域ですが、動物の輸送がある以上大変重要です。費用は3000円程度です。
犬は散歩が必要なため、外出の機会も多いです。実際に飼犬がよその犬を軽く噛んでしまった際、狂犬病のワクチン証明を病院で発行したことがあります。義務であるということももちろんですが、もし予防接種をしていなかったら、犬も人も犠牲になる可能性がありますので、必ず接種しましょう。
ジステンバー
初期には発熱、目やに、くしゃみ、元気食欲の低下などが見られ、咳などの呼吸器症状や下痢、嘔吐などの消化器症状が現れます。免疫反応が不十分だと、ウイルスが神経細胞に侵入し、歩行困難、けいれん発作などの神経症状や脳炎が起こり死に至ることもあります。
治療は有効な治療方法がないため、抗生物質の投与や点滴などの対症療法が主体になります。ジステンパーの予防にはワクチンが有効で、どの混合ワクチンにも含まれています。
ケンネルコフ
単独感染では軽症のことが多く、1週間から10日ほどで回復するのですが、ほかのウイルス、細菌との混合感染や、免疫力の不十分な子犬、高齢の犬では症状が重くなり、肺炎を起こしてよくない結果になることもあります。
原因となるのは、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルスⅡ型、気管支敗血症菌などで、これらが単独あるいは混合感染することによって起こります。感染経路は接触感染や飛沫感染ですので、多頭飼育などの環境では感染がおこりやすくなります。多くの犬が集まっている犬舎や施設などで感染が進むことが多いので「ケンネル(犬舎)のコフ(咳)」と呼ばれます。
治療法としては安静、十分な栄養を心掛け、細菌感染に対しては対抗生物質、咳には鎮咳剤、気管支拡張剤などの対症療法がおこなわれます。同居犬がいる場合は、感染した犬を隔離する必要があります。
ケンネルコフの原因ウイルスに対してはワクチンがありますので、子犬のころから計画的にワクチン接種をすることが、有効な予防法になります。特に冬場はウイルスが活発になりやすいので、冬場に子犬を迎え入れる時は、数日間は保温や栄養に気を付けてよく観察してあげましょう。子犬を迎え入れる際は、その子が生まれた際の環境について確認しておくとよいかもしれませんね。
肝炎
病態は一定ではありませんが、感染すると肝炎を起こし、嘔吐、高熱、下痢などの症状が現れます。微熱や鼻汁などの軽症で済むこともありますが、重症化することもあります。その場合、肝不全による低血糖や肝性脳症のため、神経症状や出血傾向(皮膚の点状出血、鼻血、下血など)が現れ、脳炎を起こすこともあります。ワクチン未接種の犬、免疫力の充分でない子犬が感染すると死亡することもあります。回復期には角膜が浮腫を起こし青っぽく濁ったように見え、ブルーアイと呼ばれます。ブドウ膜炎をおこすこともあり、ふつうは回復しますが角膜潰瘍などを引き起こすこともあります。
犬伝染性肝炎に有効な治療方法はありませんので、対症療法として輸液、ビタミン剤、強肝剤などによる肝臓の回復や輸血、二次感染に対する抗生物質などの投与などが行われます。有効な予防方法としてはワクチンを適切な時期に適切な回数接種することと、ほかの犬の尿に接触させないことがあげられます。
フィラリア
蚊が発生する期間は、月に一度感染した仔虫を駆虫する必要があります。蚊が生息する地域では、蚊が発生している期間の1か月後まで、フィラリア予防薬を投与するようにしましょう。フィラリア予防薬は多くの種類がありますので、飼い主さんと愛犬の好みに合ったものを選んであげましょう。
ノミ・マダニ
ノミ、マダニ予防薬もいろいろな剤型のものがありますので、適当なものを選んで投薬しましょう。
3.生ワクチンと、不活化ワクチンの違いとは?
4.ワクチンの種類と費用とは?
ワクチンの種類
・1種 犬ジステンパー
・2種 ジステンパー、パルボ
・3種 ジステンパー、犬アデノウイルスⅠ型(犬伝染性肝炎)、犬アデノウイルスⅡ型(犬伝染性喉頭気管炎)
・4種 ジステンパー、犬アデノウイルスⅠ型(犬伝染性肝炎)、犬アデノウイルスⅡ型(犬伝染性喉頭気管炎)、パルボ
・5種 4種とイヌパラインフルエンザ
・6種 5種と犬コロナウイルス
・7種 5種とレプトスピラ2種
・8種 6種とレプトスピラ2種
・9種 6種とレプトスピラ3種
・10種 6種とレプトスピラ4種
・11種 6種とレプトスピラ5種
ワクチンの副作用
ジステンパーやパルボなどは致死率が高いので、優先して接種したほうが良いでしょう。レプトスピラは感染したネズミや犬の尿や尿を含んだ水などを飲んだり、感染犬とグルーミングすることにより感染する人獣共通感染症です。感染している犬を飼育している場合人も感染する可能性がありますので、ネズミが出るようなところには立ち入らない、水たまりなどの水を飲ませないなどの注意が必要です。
ワクチンの費用
・2種 3,000~6,000円
・6種 6,000~7,500円
・8種 7,000~1万1000円
・10種 8,000~1万2000円
病院によって扱っているワクチンの種類はまちまちで、費用の設定も異なりますので、かかりつけの動物病院に、あらかじめ愛犬にとって適切なワクチンの種類やその金額等を確認しておくとよいでしょう。
5.予防接種の回数、頻度、時期とは?
混合ワクチン
近年では犬の混合ワクチン接種は数年に一度でよいとする意見もあります。その場合、血中の抗体価を測定すれば、その時点での抗体価が十分であるかは判断できるのですが、いつ抗体価が下がるのかは予測できないため、感染を防ぐことを考えるのであれば、従来通り1年に1回接種したほうが良いかもしれません。ワクチン接種のタイミングや回数については、かかりつけの獣医師と相談して決めるとよいでしょう。混合ワクチンは義務ではありませんが、感染力や致死性の高い病気や、人獣共通伝染病なども含まれますので、犬のためにも人のためにも接種するように心がけましょう。
1回目のワクチンについては、子犬が母犬の母乳を飲んでいない可能性があれば、体内に病原体の抗体が存在せず、感染、発症のおそれがあります。そのため8週齢に満たない仔犬でも早めに1回目のワクチンを接種することがあります。その場合でも8週齢、12週齢のワクチンは必要となります。子犬の身体はまだ免疫機能が十分に働かないため、自分で抗体を作ることができない可能性がありますし、また、初乳による抗体が存在すると、ワクチンの効果が十分に発揮されない可能性が生じます。その場合は3回目のワクチンを接種することがあります。ワクチンプログラムについては、仔犬の生育環境、体調などを含め動物病院によく相談して決めるとよいでしょう。
狂犬病予防接種
6.予防接種による副作用とは?
副作用でいちばん怖いのは「アナフィラキシーショック」
副作用でいちばん怖いのは、アナフィラキシーショックです。これは過剰な免疫反応のことを言います。体内に入ってきた異物に免疫が反応し、抗原の再侵入に備えてIgE抗体が作られます。IgE抗体の大部分は肥満細胞や好塩基球という細胞の表面に結合しています。これらの細胞は体中の結合組織にあって、高j減が再び侵入するとIgEこうたいに結合してヒスタミンなどの生物活性物質を放出します。この反応により、血管や血管を通した全身の臓器に様々な影響を与えます。
アナフィラキシーショックは2回目以降が多い
ワクチン接種後30分は病院近くにいましょう
今は混合ワクチンを接種することが多いので、含まれる病原体の種類を減らして、ワクチン接種を行う方法が対策としては一般的ですが、予防出来る病気の種類も減るため、犬の身体の状態や住んでいる地域の環境などを考慮して、かかりつけの病院とよく相談して決めましょう。
経験豊富な獣医師が愛犬の状況・症状に合わせて的確なアドバイス。愛犬の困りごと、疑問・質問などにお答えしています。
動物病院に行くかどうか迷った時や、愛犬の困ったクセや関係性で悩んだ時、電話一本ですぐに専門家に相談できるサービスは、会員の方からも、信頼を寄せていただいています。
「いぬのきもち」について詳しくはこちら
UP DATE