犬を迎い入れてから最初にするのが、トイレのトレーニング。トイレのトレーニングがきちんと出来てないと、してはいけない場所でトイレをしてしまい、愛犬も飼い主もストレスになりますよね。愛犬との楽しい生活のためにも、根気強くトイレトレーニングをしましょう。
1.犬にトイレのしつけをする必要性
犬のトイレトレーニングとは?
犬と一緒に生活するうえで、トイレのしつけはもっとも重要な生活習慣のひとつかもしれません。昔、群れで行動していた頃は、狩りの合間に素早く用を済ませ、すぐに移動し、マーキングなども普段の生活の上で必要なことでした。
現在では人と犬が共に生活していますので、犬を飼うなら、周囲への迷惑や飼育環境の衛生面等を考え、適切なトイレ習慣をつけさせることが必要です。特に室内飼いの場合、トイレのしつけができていないと、好きな場所で排泄してしまいます。きれいにお掃除をしたつもりでも、においは残るので、繰り返し同じ場所で粗相(マーキング)をすることになり、お宅の中が臭うことになってしまいます。
最近は犬と一緒に出掛けられる場所もたくさん増えてきました。自分の飼っている犬といろいろな所へ行き、楽しい時間を共に過ごせるようになるためにも、トイレのしつけは大事なポイントになりますね。
犬はある程度の時間は、排泄を我慢できる
犬は貴族の狩りに連れて行き、狩りの合間、仕事が終わってから排泄したり眠ったりするように飼育されていました。ですから、ある程度の時間排泄を我慢することができます。いちばんベストなのは飼い主さんの合図でトイレができることなのですが、食事の後や、散歩のときなどに排泄するように習慣づけることができれば、飼い主さんにとっても犬にとってもよいコンディションで過ごすことができるでしょう。
犬は頭もよいですし、飼い主さんに褒められるのがとても嬉しいので、トイレトレーニングをして、ちゃんとトイレができるようになれば、褒められる機会が増え、飼い主さんとの関係性もよりよくなるでしょう。
最近は外でトイレをさせるのも、マナー上問題があるとして、自宅でうんち、おしっこを済ませて散歩に出る飼い主さんも増えています。犬を迎え入れたら、年齢に応じたトイレトレーニングを行い、飼い主さんも犬も気持ちよく生活したいですね。
2. 「成犬」のトイレトレーニングと、飼い主の心構えとは?
トイレトレーニングのタイミングとは?
成犬を迎え入れたら、まずトイレのしつけを始めましょう。始めはサークルの中でトイレシーツの上にすることから教えますが、焦らず、落ち着いて接してください。最初のうちは失敗も多いと思いますが、決して叱らないでください。
トイレトレーニングの仕方とは?
朝一番にトイレシーツの上に連れていき、「シーシー」、「ワンツー」「おしっこ、おしっこ」などと掛け声をかけて、手を添えて腰を下ろさせます。うまくできたら必ず褒めて、おやつを与えてもよいでしょう。
トイレができるようになったら
サークルの中でできるようになったら、サークルの扉をあけておいて、自分で外から入ってトイレをするようにしてみましょう。できるようになったら少しずつ距離を伸ばしていきましょう。できたら素早く、少し大げさに褒めてあげてください。繰り返すうちにできるようになるでしょう。
トイレトレーニングの心構えとは?
子犬でも成犬でもトイレトレーニングの方法はあまり変わりません。犬にも個体差があり、すぐに覚える犬もいれば、多少時間のかかる犬もいます。あまりよその犬と比べないことが大切です。ゆったりとした気持ちで接してあげてください。一生懸命な飼い主さんほど、きちんとやらなければという気持ちが強いので、人のほうの表情が固くなったり、怖い顔になったりすることが時折あるようです。その表情を見て犬も緊張してしまい、なかなかうまくトイレトレーニングが進まないケースもありますので、リラックスを心掛けましょう。
オスの場合に気を付けたいこと
飼い始めるのが成犬でオスの場合、縄張り意識が強いので、仔犬に比べて根気と時間が多少必要になるかもしれません。未去勢の場合はマーキング行動としてのおしっこが始まる前に去勢手術をしたほうが、トイレトレーニングはしやすくなります。
3. 「子犬」のトイレトレーニングと、飼い主の心構えとは?
※写真はアプリ「まいちにのいぬのきもち」に投稿いただいたものです。
トイレトレーニングのタイミングとは?
迎え入れた犬が子犬であれば、自分で排便できるようになり、トイレに出たり入ったりできるようになる頃から、トイレトレーニングを始めることができます。成犬の場合は迎え入れた後すぐ始めることが望ましいですが、子犬は環境が変わってストレスを感じている様子なら、慣れた頃を見計らってから始めましょう。犬と一緒に過ごせるレストランなども増えていますので、目標としてはマナーやエチケットのひとつとして、飼い主の合図でトイレをすることができるとよいですね。
まずケージや囲いを用意して、その中にメッシュ・トレー付きの犬用トイレ、またはトイレシーツを敷き、うんち(おしっこ)をするのはサークル内のシーツ(トイレ)の上だと覚えてもらいましょう。市販のケージは素材(木製、ステンレス製、クリア素材等)や大きさなど種類が豊富なので、犬の体格や、自宅の飼育環境、インテリアに合ったものを選ぶとよいですね。
市販のもののほかに、手作りの囲いを用意するのも一つの方法です。金属のメッシュ・結束バンド・蝶番などを用意すれば、自作のケージを作ることが出来ます。小さめの金属メッシュを利用して扉を作ることも出来ますし、必要に応じて大きさや形を変えることも可能なので、おすすめの方法です。
トイレトレーニングの仕方とは?
始めは、朝一番にトイレに連れていき、「シーシー」、「ワンツー」、「おしっこおしっこ」などと合図(掛け声)をかけて、手を添えて腰を下ろさせます。うまくできたらすぐに褒めてあげ、おやつを与えたりして、トイレにいい印象を持ってもらうように気を配りましょう。繰り返すうちに覚えてくれるでしょう。
トイレが出来るようになったら
ケージの中で出来るようになったら、扉を開けて外からトイレ内に入ってトイレをするように仕向けます。少しずつ距離をはなしていき、室内のどこにいても排泄したくなったら、ケージ内のトイレに行けるように指導します。うまくできたら褒めてあげ、ごほうびを与えてもよいでしょう。
もし、どうしてもケージの中でしない場合は、ケージの中まで行くのが面倒だったり、尿・便意を感じてからトイレの場所まで間に合わないこともありますので、ケージの外にトイレやトイレシーツを置いてみましょう。出来るようになったら、少しずつケージの中にトイレを移動させましょう。トイレの場所は最終的にはきちんとできればケージの中である必要はありません。決められた場所で粗相なく排泄できればよいので、犬と飼い主さんの生活習慣を考えて一番適した場所を考えてあげてください。
トイレトレーニングの心構えとは?
トイレトレーニングがうまく進まなかったり、一度覚えていて分かっていても、トイレ以外の場所で粗相してしまうことがあります。犬によって粗相する場所は様々で、リビング・玄関の床やベッドや布団やマットの上などにしてしまいます。粗相に気づいたら、素早く掃除しましょう。犬に話しかけたり、大きな声を出したりすると、犬は喜んでもらえたと勘違いしてしまうので、無視をして手早く片付けます。
臭いがついてしまうと、同じ場所で何度もするようになるので、消臭スプレーなどを使って、臭いが残らないようにしましょう。粗相をしても叱らずに、うまくできた時にたくさん褒めるようにしましょう。
オスの場合に気を付けたいこと
オス犬、特に未去勢の犬は、縄張り意識からマーキングをすることがあります。また、去勢済みのオスでも、足を上げておしっこをするタイプの犬には、オス用の対策として粗相をされたくない場所、壁、ものにはトイレシーツなどでカバーをして防ぎましょう。
トイレトレーニングが終わらないうちは、仕切りなどで行動範囲を仕切っておき、少しずつ広げるていくとよいでしょう。
また犬のタイプによっては、排泄するところを見られたくない犬もいます。トイレの周りに目隠しをしたり、静かな場所にトイレを置いてみましょう。犬用のトイレ用品はたくさんありますので、飼育している犬に合わせて適したトイレグッズを使って工夫するとよいですね。
4. 犬のトイレの回数
トイレの回数は個体差はありますが、1日に2~3回程度ですので、食餌の後など飼い主さんがタイミングを見計らって上手に誘導してみましょう。トイレの場所は、最終的にはきちんとできればケージの中である必要はありません。決められた場所で粗相なく排泄できればよいので、犬と飼い主さんの生活習慣を考えて一番適した場所を考えてあげてください。
犬によっては数回で覚えてしまうこともありますが、時間がかかる犬もいます。よその犬と比べたりせずに、マイペースで余裕をもって犬と向き合うようにトレーニングできるとよいですね。
5. 失敗した場合の対処法
犬がトイレを覚えない、トイレでしない
トイレを中々覚えないということは、犬がして欲しい場所でしない、または出来ないことです。
原因としては、
・トイレの場所が気に入らない
・時間的に間に合わない
・トイレまで行くのが面倒
などの理由が考えられます。
トイレの場所が気に入らない
トイレの場所が気に入らない原因としでは、昔、犬は排泄の時間は無防備になるので、「目立たない静かな場所で済ませたい」という習性があります。犬が落ち着ける静かな場所にトイレを移動すると改善するでしょう。
時間的に間に合わない場合
時間的に間に合わない場合は、トイレと普段の居場所を近づける、犬が排泄をしそうなしぐさが見られたら早めにトイレに連れていくなどの対処方法があげられます。
トイレまで行くのが面倒な場合
トイレまで行くのが面倒な場合、好物のごほうびなどでトイレに行くといいことがあると再認識してもらうとよいでしょう。また、もし単にトイレの仕方がわからない、または忘れてしまったようであれば、トイレトレーニングを最初からやりなおします。一度トイレトレーニングが出来ている犬であれば、すぐに思い出しますので、もう一度最初から教えてあげてください。
このような場合でも、粗相を見つけても叱らず、フンやおしっこを無言で手早く片付けましょう。うまくできたら必ず褒めてあげてください。
その他の理由の場合
他の理由としましては、「飼い主さんの気を引きたい」、「かまってほしい」などの理由で、分かっていながら粗相をすることもあります。こういう時は一人の時間が長かったり、スキンシップが十分でなかったり、運動量が不足していたり、環境の変化などストレスによる可能性があります。犬の生活環境をもう一度考えて、もし原因があれば改善してみましょう。
また、粗相をした時の飼い主さんのリアクションを、「かまってもらえた」と勘違いして、粗相し続けることがあります。大きな声を出したり、近寄って体に触ったり、粗相の罰として抱いてケージに入れたりすると、犬にとってはごほうびになり、またかまって欲しくてトイレ以外の場所で排泄をしてしまうことになります。粗相は見つけたら淡々と片付けてください。
この記事は、いぬのきもち相談室の獣医師が執筆しています。
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