犬と暮らす
UP DATE
犬のマイクロチップの装着義務化で何が変わる?犬の飼い主が知っておくべきこと
この2つの義務化により、愛犬との生活にどのような変化が起こるのでしょうか?
いぬのきもちWEB MAGAZINEでは、環境省動物愛護管理室室長の野村環さんにお話を伺い、マイクロチップ義務化について犬の飼い主として知っておくべきことをまとめました。
そもそもマイクロチップとは?
マイクロチップの内部はIC、コンデンサ、電極コイルからなり、外側は生体適合ガラスまたはポリマーで覆われていて、1つのマイクロチップごとに、世界で唯一の15桁の数字であるID番号が記録されています。
このマイクロチップを専用のインジェクターと呼ばれる注入器で動物の皮下に埋め込みますが、犬や猫の場合、装着場所は首の後ろが一般的です。
マイクロチップを装着した動物は、専用のリーダー(読取機)でID番号を読取り、その番号を照会することで個体識別や飼い主の情報を確認することができます。
動物へのマイクロチップの装着は、小さな名札や身分証明として世界中で広く行われています。」(野村さん)
犬のマイクロチップの装着でできること
犬の個体識別ができる
遺棄や殺処分の減少につながる
犬と猫へのマイクロチップの装着義務化はいつから?変わること
今回の法改正によるマイクロチップの装着と情報登録の義務化は、ブリーダーやペットショップなどの犬猫等販売業者に対してです。
このため、改正動物愛護管理法が施行された令和4年(2022年)6月1日以降は、ペットショップやブリーダー等の販売業者から迎え入れた犬と猫にはマイクロチップが装着されています。
すでに飼っている犬や猫へのマイクロチップの装着は努力義務
ただし、マイクロチップが装着されていない場合は、迷子になった時や災害で離ればなれになってしまった時などに飼い主の元に戻る可能性が低くなることから、努力義務ではありますが、環境省では装着を推奨しております。
また、今すでに飼育されている犬や猫にマイクロチップを装着することもできますので、装着について検討されている場合には、お近くの動物病院にご相談ください。」(野村さん)
飼い主の義務はマイクロチップに紐付く登録情報のアップデート
①すでにマイクロチップが装着された犬猫を迎え入れた場合
迎え入れる時点で既に情報が登録されている犬や猫の場合は、必ず発行済みの登録証明書とともに譲り受けることになります。
これまで登録先となっていた各民間団体(日本獣医師会/AIPO、Fam、ジャパンケネルクラブ、マイクロチップ東海、マイクロチップ普及協会等)で行われている事業とは異なります。」(野村さん)
②現在飼っている犬や猫に新たにマイクロチップを装着した場合
③一度登録した飼い主の情報が変更になった場合
④マイクロチップを装着・情報を登録した犬や猫が亡くなった場合
TEL:03-6384-5320
E-mail:info@mc.env.go.jp
地域によってはマイクロチップの登録で鑑札の交付が不要となったり、手続きがスムーズに
「狂犬病予防法の特例が適用される市町村にお住まいの場合は、マイクロチップ情報の登録が済むことで、あらためて市町村の窓口等で畜犬登録を行うことは不要ですし、マイクロチップが鑑札の代わりとなるため、鑑札の交付を受ける必要もありません。ただし、狂犬病予防注射済票は、別途必要となります。
狂犬病予防法の特例については(※1)、その特例の適用を環境大臣に求めた市町村についてのみ適用されることになり、当該市町村については、『犬と猫のマイクロチップ情報登録』のサイトに6月1日から公表する予定です。
同様に当該市町村にお住まいの場合は、死亡の届出を『犬と猫のマイクロチップ情報登録』に行うことで、畜犬登録も消去されます。」(野村さん)
※狂犬病予防法の特例が適用される市町村であっても、畜犬登録の手数料は別途、負担する必要があります。詳しくは、愛犬を飼われている場所の市町村で確認してください。
マイクロチップの気になる疑問Q&A
Q.マイクロチップに登録した情報は誰かに読み取られてしまうことはないのでしょうか?
ただし、15桁の番号と登録証明書に記載されている暗証記号の両方の情報があると『犬と猫のマイクロチップ情報登録』のサイトから個人情報にアクセスできてしまいますので、登録証明書の管理は厳重にお願いいたします。」(野村さん)
Q.犬のマイクロチップの装着から登録までにどれくらい費用がかかりますか?
この場合、発生する費用は『犬と猫のマイクロチップ情報登録』にご自身の情報や犬の情報を変更登録する際の手数料のみで、手続きをオンラインで行っていただく場合、300円の手数料(紙申請の場合は1,000円)を指定登録機関に納めていただくことで完了します。
マイクロチップが装着されていない犬を飼っている場合は、お近くの獣医師や動物病院で装着してもらうことになりますが、その費用は数千円~1万円程度といわれています。装着した後は、変更登録する際の手続きと同額の手数料(オンライン申請300円、紙申請1,000円)がかかります。」(野村さん)
Q.マイクロチップの装着や登録の補助金制度はありますか?
Q.愛犬が亡くなった場合、マイクロチップについてどのような対応が必要ですか?
Q.すでに民間団体に登録している犬の飼い主情報は自動的に環境省のデータベースに登録されるのでしょうか?
Q.すでにマイクロチップを装着している場合、環境省の『犬と猫のマイクロチップ情報登録』に情報を登録しないと違反になってしまうのでしょうか?
なお、『犬と猫のマイクロチップ情報登録』への手続きに関するお問い合わせは、登録関係事務を担う指定登録機関のコールセンターにご相談ください。」(野村さん)
TEL:03-6384-5320
E-mail:info@mc.env.go.jp
マイクロチップの登録義務化と登録制度、今後の展望
「まずはこの登録制度が定着し、犬と猫の飼い主の方たちにメリットを感じていただけるように広報してまいります。
マイクロチップの登録によって所有者が分かることが現時点での大きなメリットですが、犬と猫の飼い主の方への他のサービス提供などに活用していく方策がないかを関係する機関や団体と検討していきたいと思います。」(野村さん)
――ありがとうございました。
マイクロチップの情報登録によって、迷子や災害などではぐれてしまった際に愛犬と再会できる可能性が高まります。また飼い主が特定できることで、管理責任の意識が高まることが期待されています。
情報の登録手続きなどについて、参考にしてくださいね。
お話をうかがった方/野村 環さん
環境省 自然環境局 総務課 動物愛護管理室 室長
1975年生まれ 1999年、環境庁(当時)に入庁。
環境本省と地方環境事務所で、国立公園の計画・保護管理・施設整備等に従事。
福島地方環境事務所中間貯蔵施設整備推進課長を経て2021年8月から現職。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
UP DATE