気温や湿度の変化が激しい梅雨から夏は、犬が体調を崩しやすい時期。そんなときこそ、犬の免疫力を高めて、体調をしっかり整えてあげましょう。今回は、犬の健康や免疫力を維持するための習慣について、獣医師の高橋俊一先生に教えていただきました。
犬の免疫バランスが崩れるとどうなるの?
免疫バランスが崩れてしまうと、あらゆる病気の原因になることが。引き起こされる代表的な病気としては、以下の4つが挙げられます。
感染症
健康な犬は免疫機能が働いているため、体内に細菌やウイルスが侵入しても排除されます。しかし、免疫力が低下すると、感染に対する抵抗力も低下するため、皮膚病などのさまざまな感染症にかかりやすくなって、症状も長引きがちになります。
がん
犬の体内では、毎日さまざまな細胞がつくられていますが、ときに不良品(がん細胞)が発生することが。これらを取り除いてくれるのも免疫細胞ですが、この働きが低下すると体内でのがん細胞の増殖が抑えきれなくなり、がんとして発症することがあります。
アレルギー
体内での免疫細胞のバランスが崩れ、体を守ろうとする力が高まりすぎると、花粉や食物などのさまざまな物質に過剰反応してしまいます。そのとき、有害な異物を体外に押しだそうとして、アレルギー反応を引き起こすことがあります。
歯周病
口の中の唾液や粘膜も免疫機能のひとつ。唾液や粘液には殺菌・抗菌作用があり、病原体から犬の体を守っています。しかし、この働きが低下すると、口内の粘膜に細菌が感染して増殖し、歯周病を引き起こしやすくなります。
犬の免疫力が低下してしまう原因とは
ストレス
大好きな飼い主さんにかまってもらえないのは、犬にとって何よりものストレスです。愛犬とのふれあいが不足するなどして心にストレスを与えてしまうと、体内の免疫細胞の数が低下して、免疫の働きを悪くしてしまいます。
栄養不足
犬には総合栄養食のドッグフードを与えていれば問題ないのですが、おすそわけやおやつを与えすぎていると、犬の体に必要な量のフードを摂取できなくなり、体内の栄養バランスが崩れて、免疫力が低下してしまいます。
運動不足
散歩や運動する時間が不足するとストレスが増し、筋肉量が減って体温も低くなります。それに伴って体の代謝機能が低下すると、免疫細胞を全身に運んでいる血液の巡りが悪くなり、免疫力が働きにくくなります。
睡眠不足
睡眠には体を回復させ、自律神経を整えて免疫機能を正常に働かせる役割があります。犬は1日平均12~15時間の睡眠が望ましいとされていますが、落ち着いて眠れないなどで寝不足になると、免疫力低下の引き金になります。
犬の免疫機能を守るために取り入れたい習慣
愛犬の夏の体を守るために飼い主さんが取り入れたいプチ習慣をご紹介します。
毎朝1分間、犬の体をチェックする
「目ヤニがいつもより多い」「ウンチが昨日より硬い」「舌の色が白っぽい」などの異変は、体の危険を知らせるサインかもしれません。夏バテやプレ熱中症(熱中症の初期症状)を見逃さないためにも、毎朝1分間でいいので、愛犬の体にいつもと違う変化が起こっていないかチェックしてください。
食事量や水分量を確認する
栄養不足・水分不足は、夏バテや熱中症を引き起こす原因になります。愛犬がふだんと変わりなくゴハンを食べているか、適切な水分量を摂取できているか、夏の間はとくにしっかり確認しましょう。
クールグッズを定期的に見直す
犬の熱中症対策として、最近はさまざまなクールグッズがでています。しかしなかには、使用期限が設定されていたり、メーカーが品質向上のために商品をリニューアルしていたりする場合もあります。古いものを使い続けていないか、定期的に見直すとよいでしょう。
留守番中は見守りカメラで安全確認をする
愛犬に留守番させている最中は、エアコンをつけっぱなしにしている飼い主さんも多いはず。しかし、近年の夏は豪雨などで停電する危険もあるため、万が一のときのために、見守りカメラを置いておくと安心です。
犬の健康と免疫力を保つには、日々の生活の仕方や接し方がカギとなります。今のうちに愛犬とのふだんの生活を見直して、季節の変わり目を元気に乗り越えましょう。
お話を伺った先生/高橋俊一先生(湘北どうぶつ次世代医療センター ファミリーアニマルホスピタル 高橋動物病院院長 『免疫力UP専門外来』主任獣医師)
参考/「いぬのきもち」2021年7月号『免疫の力で体も心もイキイキ♡ 免疫力がモノをいう!愛犬のカラダの整え方』
文/宮下早希
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。