愛犬が高齢になり、病院に連れていくと、今まで聞いたことがなかった言葉を耳にした経験はありませんか?犬も加齢に伴い、病気や問題行動などさまざまな変化が現れます。そのときになって慌てずに対応できるよう、犬の体の変化を表す用語を獣医師の佐々木彩子先生に教えていただきました。
「ナックリング」ってどういう意味?
加齢により筋力が落ちることで、後ろ足が上がりにくくなり、足先が丸まった状態で、甲や爪を地面に擦りながら歩くようになることがあります。このような歩き方を「ナックリング」といいます。
ナックリングの原因としては、老化以外に、ほかの部位を発端とした神経伝達の異常から起こることも多いようです。
「ロコモティブシンドローム」ってどういう意味?
加齢に伴う関節、骨、筋肉などの運動器の衰えを「ロコモティブシンドローム」といいます。症状が進行すると、筋力の低下から歩行が困難になったり、嚥下(えんげ)機能の低下から食事がとりにくくなったりすることも。運動機能の低下は、要介護の可能性を高めてしまいます。
「前足加重」ってどういう意味?
筋力の低下から腰が落ち、前足で体を支えているような状態のことを「前足加重(まえあしかじゅう)」といいます。
散歩中にリードを引っ張ったり、平たんな場所ばかりで生活したりしていると、前足への比重ばかりが大きくなってしまうのです。シニアになると、そのような生活習慣が前足加重となって顕著に現れるので、若いころから気をつけて過ごしましょう。
愛犬の変化の裏には病気が隠れていることも。愛犬の外見や行動の変化をすぐさま「老化」だと思い込むことは危険です。変化に気づいたら、まずは獣医師に相談しましょう。また、犬の体の変化についてよく知り、シニアになっても愛犬が健康に過ごせるようにしていきたいですね。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(「キュティア老犬クリニック」獣医師)
参考/「いぬのきもち」2022年5月号『長生きするからこそ知っておきたい!さきどりシニア用語』
文/山村晴美
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。