子犬の時期にマスターしておきたいお手入れ。今回はそのなかでも重要な「デンタルケア」について、お手入れのプロ・二村陽子先生に教えていただきました。
デンタルケアは、歯と口の中の健康を維持し、おいしくゴハンを食べるためには欠かせないお手入れです。しかし、いきなり歯ブラシでみがくと嫌がることも多いようです。まずは口まわりを触ることに慣れさせることから始め、慣れてきたら指みがき、シートみがきやブラシを使った歯みがきにステップアップしましょう。理想は1日2回の歯みがきですが、難しい場合は3日に1回程度行うと、よい状態が維持できやすいようです。
※愛犬が手を噛むなどの場合は無理にお手入れを行うのは控えましょう。
※歯ぐきに腫はれや炎症がある場合は、歯みがきは控え、動物病院で相談しましょう。
LESSON1 口を触ることに慣れさせる
愛犬が喜ぶところをなでる
いきなり口まわりを触ると、嫌がる場合があります。まずは愛犬が喜ぶところをなでて、愛犬を楽しい気分にさせましょう。
口まわりをやさしく触る
口まわりをそっと一瞬、やさしく触ります。嫌がったら無理に続けず、少しずつ触って、ゆっくりと慣れさせましょう。
唇を一瞬引き上げてみる
口まわりを触ることに慣れたら、上下の唇を順に指先で一瞬引き上げてみます。大きくめくると嫌がりやすいので、やさしく行いましょう。
そっと指先を差しこんでみる
唇を触ることに慣れてきたら、指先を歯の上にそっと差しこんでみます。嫌がらなければ、繰り返して慣れさせましょう。
LESSON2 指を使った歯みがきにトライ!
指に歯みがきペーストをつける
犬用歯みがきペースト(または犬用のジェル)を飼い主さんの指先に少量のせます。愛犬にニオイをかがせて興味をもたせます。
入れやすい横側の歯のあたりへ滑りこませてみがく
犬用のペーストをつけた指で愛犬の歯をやさしくさすってみがきます。指を入れやすい上下の横側の歯からみがいて感触に慣れさせましょう。
慣れたらほかの歯もみがく
慣れてきたらときどきペーストを足してほかの歯もみがきます。犬の歯は並びがカーブしていて、奥歯をみがき忘れやすいので注意してください。
指先がキュッキュッという感じになったらきれいにみがけています!
LESSON3 シートみがきでツルツルの歯に
シートを薄く巻くと嫌がりにくい
犬用の歯みがきシートを全部指に巻きつけると厚くなり、とくに口が小さな小型犬などは圧迫感で嫌がることも。薄く巻いて使用しましょう。
嫌がりにくい横側からそっと差しこんでみがく
犬用の歯みがきシートを巻いた指先を横側から差しこみ、やさしくみがきます。嫌がるときはよりやさしい力加減で行うとうまくいくことも。
奥まで指を進めて奥歯をみがく
横側の歯をみがいたら、奥まで指を進めて奥歯をみがき、ほかの歯もみがきましょう。慣れないうちは何回かに分けてみがいてみても。
LESSON4 ブラシで歯みがきにチャレンジ!
上あごの横側からみがく
慣れてきたら奥歯もみがく
上あごの横側をみがいたら、奥歯へ。小型犬は犬用歯ブラシの背でほおの内側を外側へ少し押すと、空間ができ奥まで入ります。
汚れやすい犬歯も忘れずに
奥歯の次は犬歯をみがきます。犬歯は側面や歯の根元も忘れずみがき、たまった汚れが歯石になり取れなくなるのを防ぎましょう。
前歯は左右まとめてみがく
前歯は左右の歯が並んでいるのでまとめてみがきます。慣れてきたらそれぞれの歯の間や歯ぐきとの境目、裏側もみがきましょう。
反対側の横側の歯→奥歯→犬歯と進み、下あごの歯も同様の手順でみがきます。
みがきやすいところからみがいても、何回かに分けてみがいてもOKです。
歯みがきがうまくいかないとお悩みの飼い主さんは多いですよね。ご紹介した方法で、少しずつ慣れていけるよう、トライしてみてくださいね。
お話を伺った先生/トリミングサロンHONDEHOK代表 二村陽子先生
参考/「いぬのきもち」2019年2月号『さいしょの一歩』
写真/佐藤正之、殿村忠博
文/豊島由美