犬は太ると、さまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。そのために健康的に生活ができる「健康寿命」が縮んだり、がんや糖尿病などの命に関わる病気を引き寄せてしまったりと、犬の肥満は思っているより恐ろしいものなのです。
今回は、犬が太ってしまう主な原因を、獣医師の牛草貴博先生に伺いました。
食べ過ぎ、つまり「与えすぎ」!
犬が肥満になる原因の多くが、じつは飼い主さんにあります。その原因とは、ズバリ「フードやおやつの与えすぎ」!どんな犬でも、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、太るのは当然です。
たくさん食べたがるから与える、かわいいからおやつをたくさん与えるなどは、肥満のもと。また、自分がむやみに食べ物をあげていなくても、自分以外の家族がこっそりおやつを多めに与えている場合もあるので、食事の状況は家族間できちんと共有しておきましょう。
ライフステージが変わっても、同じフードを与え続ける
犬は、成長期にたくさんのエネルギーを必要とします。一方、成犬期は、成長期ほど多くのエネルギーは不要。そのため、成犬期になっても成長期用のフードを与え続けていると、摂取エネルギーが多すぎて太ってしまうわけです。
また、避妊・去勢手術後は、代謝が落ちるなどの理由で毎日の消費エネルギーの量が減少傾向に。獣医師と相談し、避妊・去勢後用のフードに切り替えるものおすすめです。
ホルモンの病気が原因
シニア期に入ると、クッシング症候群や甲状腺機能低下症など、ホルモン系の病気が原因で太ってしまうことがあります。食べ過ぎなどの肥満では、体全体がぽっちゃりしてくるのに対し、病気による肥満では背中に脂肪が付かず、おなかが張り出すようにぽっこりと太るのが特徴です。
食事量に変化がないにもかかわらず急に太ってきたら、なんらかの病気が潜んでいるのかも。念のため、早めに動物病院に相談してみましょう。
バランスの悪い食事で、腸内環境が悪化!
腸内環境の乱れも、体型に悪影響を及ぼします。腸内には、カラダに脂肪をため込“デブ菌”と呼ばれる菌が存在しているのをご存じですか? 肉などのタンパク質ばかり与えたり、おやつばかり与えたりすると、腸内環境が乱れ“デブ菌”が増えてしまうおそれがあります。
この菌が増えると太りやすい体質になるので、毎日の栄養バランスに注意し、極端な食事内容にならないようにしましょう。
愛犬が健康的な体型を維持するためには、飼い主さんの努力が不可欠です。愛犬が毎日元気に過ごせるよう、まずは日々の食事から気を付けてあげましょう。
お話を伺った先生/牛草貴博先生(獣医師 博士(獣医学) 関内どうぶつクリニック代表 動物再生医療センター病院技術顧問)
参考/「いぬのきもち」2022年9月号『「ぽっちゃり」はかわいいけれど… 肥満はおもってるよりずっと怖い!』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。