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【獣医師監修】知っておきたい犬の血液型│性格への影響や輸血の条件とは
犬の血液型について最近では少しずつ明らかになっていることもありますが、それでもまだ未解明な部分は多く、検査内容も簡易なものに留まっています。そこで今回は、犬の血液型の概要とともに、「もしも」に備える血液型検査についてご紹介します。
犬にも血液型があることをご存じですか?
愛犬とのお散歩やドッグランへ出かけたときに、他の犬の飼い主さんと会うと「名前は?」「年齢は?」などと、お互いの愛犬の話になることが多いでしょう。しかし、そういった会話の中で「犬の血液型」の話をしたことがある人は少ないと思います。
そもそも「犬に血液型はあるの?」と、疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。実は犬にも血液型があり、それは人のものとは違う方法で分けられています。それでは、犬の血液型によって何が分かるのか?どうして血液型を知る必要があるのか?など、血液型にまつわる疑問をひも解いていきましょう。
【犬の血液型】特徴や性格への影響は?
犬の血液型はDEA式によって分けられる
人の主な血液型はABO式やRh式という分類方法がとられており、A・B・O・AB型や、Rh(+)・(-)に分けられます。一方、犬の血液型はDEA(Dog Erythrocyte Antigen)式という方法で分類されます。表記方法は異なりますが、ともに血液に含まれる赤血球表面に付着している抗原の種類によって決まっています。
DEAは「犬赤血球抗原」と呼ばれており、いまだ研究中で解明されていないこともありますが、文献によるものの現時点では13種類程度あるとされています。
DEAには番号がふられており、
・DEA1.1
・DEA1.2
・DEA3
・DEA4
・DEA5
・DEA6
・DEA7
・DEA8
マイナーなものを除くと、上記8種類のメジャーな赤血球抗原が存在し、それぞれ陽性(+)か陰性(-)で分類されます。
血液型で犬種や性格が変わる?!
A型の人は几帳面、O型の人はおおらかなど、人は「血液型で性格が分かる」という話は昔からポピュラーなものですね。血液型で好きな人との相性診断をした人もいたでしょう。しかし、今では「血液型と性格は関連しない」という認識が科学的には主流になっています。
それは犬も同じです。赤血球に付いている抗原の状態が性格に影響したということが科学的に証明された話はなく、犬も血液型から性格を判断することはできないようです。犬の性格は犬種や生活環境、しつけにくわえて、本来持っている気質に左右されます。
犬種で血液型は違うのではないか?と思われる人もいるでしょうが、今のところ血液型の違いは犬種に関係ないとされています。しかし、犬の血液型にはまだまだ解明されていない部分も残されています。研究が進むにつれて、新たな発見もあるかもしれませんね。
【犬の血液型】輸血が必要な場合の検査方法は?
ケガや貧血などで輸血が必要となった場合、「血液型判定」を行います。人ではABO式やRh式の血液型判定が輸血をするうえで大事ですが、犬の場合はDEA1.1という型に対して陽性(+)か陰性(−)かを病院内や検査センターで調べてもらいます。また「交差適合試験(クロスマッチ)」といった患者とドナーの血液成分を容器の中で混ぜたときの反応を見る検査も必要になります。
この「血液型判定」と「交差適合試験」は、輸血を行なった際に体内で拒絶反応を引き起こす「抗原抗体反応」が起こらないか確認するために行います。もしも輸血後に不適合輸血による「抗原抗体反応」が起こってしまうと、赤血球が壊される溶血が起こり、命に関わることもあります。
このように輸血には細心の注意が必要となるのです。
犬用の血液は足りているの?
現状では、日本国内に犬や猫などペットのための大規模な血液バンクはありません。そのため愛犬の血液型が分かったとしても、輸血するための血液が十分に手に入らないことも大いにあります。そこで動物病院では以下のような措置がとられています。
・動物病院で飼育されている供給犬から血液を確保する
・医療用の代替血液を使用する
・動物病院同士で助け合って血液を確保する
・ボランティアの献血ドナー犬を募る
・あらかじめ犬自身の血液を採血して保存しておく
・医療用の代替血液を使用する
ボランティアの献血ドナー犬とは?
「他の犬を助けることができる!」「うちの犬もドナー犬として活躍させたい」と思う飼い主さんは、獣医師へ相談してください。もしドナー犬として登録できれば、場合によっては動物病院から特典がもらえることもあるようです。しかし最も大きなメリットは、なんといっても「犬助け」ができるということ。犬を愛する者同士、助け合いながら共存していきたいですよね。
なおドナー犬の条件は血液型だけでなく、フィラリアやその他感染症への感染歴や輸血歴、妊娠歴がないこと、ワクチンなど基本的な予防接種が行われていること、血液を供給できるだけの体格であることなど、数多くあります。
愛犬の血液型について考えてみよう
犬にも血液型があることや犬の血液型について理解を深めておくことは、決して無駄なことではないでしょう。この機会に、ぜひ愛犬の血液型についてご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
監修/玉原智史先生(ひろ中央動物病院院長)
文/HONTAKA
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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