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シニアだけじゃない! 若い犬こそ要注意な足腰の病気・ケガって?

「足腰」といえば、シニア犬の病気やケガを思い浮かべがちですが、じつは子犬を中心とした骨や筋肉が成長中の若い犬も注意すべきなのだとか。ここでは、4才以下の若い犬で気をつけてほしい足腰の病気について、獣医師の野矢雅彦先生に教えていただきました。

【膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)】

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき

なんらかの原因でひざの関節がずれ、歩きづらくなる病気

健康な犬の膝関節は、「ひざのお皿」と呼ばれる膝蓋骨が、くぼみ(滑車溝)にはまった状態になっています。これらは靭帯で固定されており、膝蓋骨が滑車のような働きをすることで、ひざを曲げ伸ばしすることができます。膝蓋骨脱臼は、この膝蓋骨がなんらかの原因によってくぼみからずれてしまう病気。

先天的にくぼみが浅い犬や、骨や靭帯が発達しきれていない若い犬に多く見られます。悪化すると後ろ足のひざが内側に向くなど、歩きづらくなることも。片足だけでなく両足で発症するケースもあります。

外科手術で正常な骨格に矯正。屈伸運動でケアを行う場合も

症状に応じて、ずれた膝蓋骨を正しい場所に戻したり、くぼみの深さを調整する手術を行います。進行すると骨が変形することもあるため、早めの手術をすすめられる場合も。
一方で、手術ではなく内科的な治療を行って経過を診たり、飼い主さんの手で愛犬のひざを曲げ伸ばしする運動を指導されることもあります。
撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき

小型犬はとくに要注意

チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、パピヨンをはじめとした小型のトイ犬種がとくになりやすいといわれていますが、中型犬や大型犬でもなることがある病気です。先天的になりやすい場合が多いですが、はしゃぎすぎて転倒するなどで後天的にかかってしまうケースもありますので、要注意です。

飛びつかせないなど、興奮を抑えるしつけを取り入れて

膝蓋骨脱臼は、高いところから飛び降りる、転倒するなどの衝撃が原因で起こることがあります。脱臼した状態で激しい運動をすると、靭帯が断裂する場合もありますので、とくに興奮しがちな若い犬では要注意。愛犬が興奮して飼い主さんに飛びついてきたときは、オスワリでクールダウンさせるなど、興奮を抑えるしつけを取り入れましょう。

【股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)】

撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき

股関節にゆるみが出て、重症化すると歩けなくなる病気

股関節は名前のとおり、犬の股にある関節で、お尻(骨盤)と太もも(大腿骨)のつなぎ目にあたります。ここがなんらかの原因で正常に発育せず、股関節がしっかりはまらずにゆるみが出たり、関節同士がこすれたりして、関節に痛みが出てくるのがこの病気の特徴です。

若い犬に症状があらわれやすく、多くは両足で発症しますが、なかには片足でだけ発症する犬も。軽度の犬ではほとんど症状があらわれないこともありますが、重症化すると後ろ足が外側に向いてエックス形になる、後ろ足に体重をのせると痛みが出るために歩きづらくなる、股関節を脱臼するなどのケースがあります。

注射で痛み止めの処置。手術で人工関節を入れる場合も

軽症の場合は鎮痛剤や炎症を抑える薬で治療したり、サプリメントを与えたり、食事制限や運動制限、リハビリなどの指導が行われます。重症の場合は、犬の年齢や体重に合わせて異なりますが、外科手術によって骨盤の角度を調整し、痛みが出ないように関節を安定させたり、人工関節を入れるケースもあるようです。
撮影/尾﨑たまき
撮影/尾﨑たまき

大型犬や超大型犬で、生まれつき多く見られます

5~12カ月齢ごろに症状が出やすく、犬種ではゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、ボルゾイなど、おもに大型犬や超大型犬が先天的になりやすいといわれています。ただし滑りやすい床など、生活環境がかかわってかかってしまう場合もあるため、小型犬や中型犬でもなる病気。注意が必要です。

体重が重くなるほど悪化。適正な体重を保って

股関節形成不全の犬の多くは、後ろ足に体重をかけたときに強く痛みが出るため、体重が重くなるほど悪化します。
30kg以上の犬で悪化しやすく、股関節を維持できずに脱臼することもあるため、肥満にさせないことが重要です。おやつの与えすぎを避けて適切な食事量を守る、しっかり運動させるなどで、体型に合わせた適正体重を保ちましょう。
足腰の病気から愛犬を守るためには、「滑りにくい環境を整える」、「愛犬の成長に合わせたゴハンを与え、太らせない」、「たくさん運動させて足腰を鍛える」といった飼い主さんの日ごろの心がけも大事。

ぜひ、この機会に環境や食事内容も見直してみてくださいね。
お話を伺った先生/ノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生
参考/「いぬのきもち」2022年10月号『若い犬こそ気をつけたい3大足腰の病気・ケガ』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室
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