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【獣医師監修】犬はどうして震えるの?その原因と対処法とは
犬が震える原因とその対処法
感情からくる理由
- 興奮している
- 犬は興奮している時にも震えることがあります。
久々に飼い主さんに会えて嬉しい時に声を出しながらプルプルしていたり、逆に大嫌いな天敵に出会って「これ以上こっちに近づくんじゃない!」と感じている時などが興奮状態になります。
特に、「これ以上近づくな!」と表現している時に、目を合わせて近づいてしまうと噛み付かれることもありますので、犬の背中の毛が逆立って伏せた状態の時は目を合わさずに知らんぷりをしましょう。
- 恐怖を感じている
- 雷や花火の音、他の犬、或いは知らない人間や正体不明のものなどを前にした時、飼い主に叩かれるのではないかと不安を感じた時など、「恐怖を感じた時」に震えてしまう場合があります。
大きな音にびくっとしてしまう人間と同様に、びっくりしたり怖いと感じて震えることがあるのです。
花火や雷の音がトラウマになってしまった場合、治すのはとても難しいので、これらの音に怯えているような時は、抱っこして「大丈夫だよ」と優しく話しかけて守ってあげるなどしてあげてくださいね。
また、叩くことは犬に強烈な恐怖心を感じさせ、精神的に怖い思いをした犬はトラウマになる可能性があるので避けましょう。
- 何らかのストレスを感じて緊張している
- 犬がきらいな物や苦手な物、或いは苦手なお客さんなどを前にすると震えてしまうことがあります。
何らかのストレスを感じたときに、震えることで本能的に気持ちを落ち着かせようとしているのです。または、反射的に震えている可能性もあります。メスの発情期など気持ちが過敏になっている時も犬は震えます。
例えば「子供が苦手」など明らかに原因がわかっているなら、お散歩の時に前から子供が来たら端によけて待ったり、大丈夫だよ、となでてあげたりするのもよいでしょう。
苦手な物は段階を踏んで大丈夫だと教えてあげる必要があります。その際はくれぐれも無理をせず、少しずつにしましょう。なるべく苦手なものを作らない様に、子犬の時から最初に体験させる事はびっくりさせたり驚かせたりしない様にしてください。
身体的な理由
- 寒さを感じている
- 人と同様、犬も寒い時は震えます。体温調節がしにくいイタリアングレイハウンドなどの犬種はお洋服を着せて寒さ対策をしましょう。
- 何らかの病気が潜んでいる
- 犬の震えの中でも何らかの病気を抱えて震えている場合があります。普段震える事のない犬が突然震え出した場合、見た事のない震えを始めた時は次のような病気が考えられます。
- てんかん発作
- ひきつけの様な症状が繰り返し発生することをてんかん発作といいます。ガタガタとして震え、身体の硬直やけいれんを起こす疾患です。全身の発作と身体の一部分だけおこる部分発作があります。
- 低体温症
- 特に寒さを感じて見た事のない程丸まってプルプルとしている場合は、丸まって震えて温めようとしているサインです。街で暮らす高齢犬が急に雪国に遊びに行ってこの様な震え方をしている場合などは体温調節ができず低体温症になることもあるので注意が必要です。
- 低血糖症
- 膵臓に疾患があったり、糖尿病を抱えてインスリン治療を行っている犬は低血糖症に気をつける必要があります。子犬も母犬の母乳や子犬用ミルクが哺乳瓶でしっかり飲めていない場合など低血糖症を起こす危険があります。
- ヘルニア
- 急に立ち止まって動かなくなり、プルプルと震えている場合は首から背中、腰にかけて椎間板ヘルニアなどの可能性があります。痛みや麻痺から震えがきてしまうため、無理に歩かせたり、階段や段差を歩かせず病院に連れていきましょう。コルセットなどのサポート器具で一時的に歩ける場合もあります。
- 中毒症状
- プルプルと震えながらよだれを垂らしている場合、嘔吐を繰り返す場合は何らかの中毒症状の可能性が高いでしょう。
- 老化による筋力の低下
- 犬も高齢になってくると人間同様に当然筋力が低下してきます。筋肉が落ちることで怪我をすることにもつながってしまうので注意が必要です。筋力が低下するとお散歩後に筋肉がプルプルと震えたり、痙攣をすることがあります。人と同じく、若い内に筋肉をしっかり付けておくことは筋力低下による寝たきりなどを防ぐ予防になります。
更に、高齢犬で筋力低下によって一度寝たきりになってしまうと、回復することは難しいと言われています。水の中で泳がせるリハビリ等もありますが、無理をさせない程度に坂道をゆっくりと歩かせたり、足を拭く時に残りの3本足でバランスを取らせるなど日常で毎日できる範囲でのケアが必要になります。
足や身体の筋肉が本格的に弱ってしまう前の家庭で出来る予防であり、且つ筋力低下を感じた時のリハビリとしても効果を発揮するでしょう。
- 怪我でどこかに痛みがある
- 犬は言葉を話せない分、アイコンタクトや体の動きで雄弁に語ってくれます。
実は震えの原因には「体が痛いよ…」という意味が含まれる場合もあるのです。耳を後ろにしてプルプルと震えていたら怪我をしていてどこか痛い場所があるのかもしれません。身体を触ってみたり、歩き方をみたり、血がでていないかなど、どこが痛いのかを早くみつけてあげましょう。
てんかんの場合は発作がおさまったあとはケロっとしていることもありますので、震えた時の様子を携帯の動画などで記録しておき、その状態を診察と共に医師に見てもらう事も早期解決につながる重要なヒントとなります。しかし犬が急に震え出し、飼い主さんも突然の出来事で動揺して動画を撮影できないことも多いでしょう。
その場合は、何をした後に震え出したのか、何時からどれくらいの時間続いたのか、または続いているのか、身体の全体なのか一部が震えているのか、震え以外にみられる症状はないかなどを簡単にメモしておき、獣医さんに伝えるだけでも十分です。
他の症状を併発したら・・・
すぐに病院に連絡をして指示をもらい、病院に向かいましょう。震える疾患として代表的なものをいくつか挙げていきます。
1神経学的原因によるもの
息が荒くなり体が急に震え出し四肢を伸ばして硬直したり、痙攣をしながら泡やよだれを垂らす、失禁するなどの症状が出たり、震えがおさまった後にも息が荒い状態が続く、といった場合は発作(てんかん、脳腫瘍)などが疑われます。
2代謝性原因によるもの
内臓機能に問題が発生し、本来代謝されるはずの物質が代謝されなかったり、機能が落ちたりすることで体の中で毒素が溜まってしまうことがあります。口の中や息がアンモニアの様な臭いが強く、嘔吐や震えを起こし尿に異変がある場合は尿毒症など腎機能に関わる疾患が疑われます。
3中毒の原因によるもの
中毒症状は大半が何を食べたかわからないことが多いので、家の中では犬に危険な食材や薬品を犬が届かないところに保管したり、お散歩中やドッグランでは変な物をひろい食いしない様にきちんとみておくことが重要です。
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