本来であれば落ち着きが出てくるはずの成犬やシニア犬=“おとな犬”。なぜか、愛犬が“おとな犬”になってから気になりだした困りごとがあったりしませんか? じつはそれ、年代ならではの理由があるようです。
今回は、「チャイム&物音に吠える理由」について獣医師・英国APDT認定ペットドッグトレーナーの藤本聖香先生に聞きました。
まずは、チャイム吠えをする理由から
来客のチャイム音に反応して愛犬が吠えてしまうのはあるあるですよね。その理由は、飼い主さんがついやりがちな対応法かもしれません。推測できる2つの理由を紹介しましょう。
理由1/飼い主さんがあわただしく対応するから警戒心MAXに!
チャイムが鳴ったとき、あわただしく対応する飼い主さんを愛犬が見て「不審なやつを追い払わなきゃ!」と警戒心が高まり吠えます。子犬期から吠えますが、それが習慣化すると〝おとな犬〞でより吠えるように。
理由2/飼い主さんがやめさせようと行ったことが逆にイイコトの合図に!
子犬期に、飼い主さんがチャイム吠えする愛犬に抱っこやおやつで対応してきた場合、「チャイムが鳴ったらイイコトがある」とカンチガイさせているおそれが。改善しないと〝おとな犬〞になってもエスカレートします。
対処するなら… チャイム音を「ハウス」の合図にしよう!
「チャイム音→吠える」の思考回路をリセットする方法。ハウスができる愛犬なら、家のチャイム音を録音し、まずは愛犬が気にしない程度の小さな音量で聞かせながら「ハウス」を指示。ハウスに入って落ち着いたらほめ、徐々に音量を上げて練習を。続けると、チャイムが鳴ったら吠えずにハウスに入るように。
次に、物音に吠える理由を解説!
車やバイクの音や足音などに毎回吠えるのは、犬の成長と飼い主さんがなにげなくしてしまっている対応が原因かもしれません。考えられる2つの理由を紹介しましょう。
理由1/犬が成長して警戒心が強くなり、吠えやすくなる!
〝おとな犬〞は子犬のころに比べると、自分の身は自分で守ろうと、警戒心が高くなる傾向に。そのため、些細な音にも敏感になり、物音に吠えやすくなります。また、車やバイクの音などには「吠えたら追い払えた!」とカンチガイし、吠えが強化されることも!
理由2/飼い主さんがやさしく声がけしてきたから吠えを助長させた!
愛犬に「静かにね~」などと声をかけて吠えやませようとしてきませんでしたか? そのようなやさしい声がけは、犬にとってほめられているように聞こえてしまいます。そのままだと、〝おとな犬〞になってからも吠えは悪化するばかりです。
対処するなら… 叱りもほめもしないで!
「飼い主さんが吠えやませなきゃ!とあせると、その気持ちが愛犬に伝わり、より吠える場合も」と藤本先生。犬は吠える動物ですから、数回吠えるだけだったり、物音が消えたら吠えやむ程度なら、ほめたり叱ったりせず、気にしないで。
ずっと吠え続けるなら… その場から立ち去って!
1分間以上連続で吠え続けるなら、対策が必要です。吠えたら愛犬を無視してその部屋を出ていきましょう。ドアをわざとバタンと閉めてしまうのもアリ。飼い主さんの態度で、愛犬に「吠えたらダメ」ということを伝えましょう。
いかがでしたか? 吠える理由がわかれば、より正しく対処できそうですよね。
犬の“吠え”は近所迷惑にもなりかねないので、できるだけなおしていきたいですね。
お話を伺った先生/獣医師・英国APDT認定ペットドッグトレーナー 藤本聖香先生
参考/『いぬのきもち』2022年10月号「“おとな犬”の困りごとTOP5」特集
撮影/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室