家に迎えたばかりの愛犬は、飼い主さんとの信頼関係はまったくない状態です。まずは飼い主さんを信頼し、好きになってくれることを目指しましょう。
その方法をドッグトレーナーの西川文二先生に伺いました。
「安心させる」=「飼い主さんはいい人」と思わせよう!
やさしいスキンシップで「この人は自分のことが好きなんだ」と伝え、愛犬に安心感を与えることが大事。
手からフードを与えよう
●飼い主さんの手は「おいしいものをくれるいいもの」と思わせる
まずは飼い主さんの「手」にいい印象を持たせることが大切。フードを直接手から与えて、手を「いいもの」と覚えさせて。
食べやすいように指先にフードをのせ、ニオイをかがせて食べたらやさしくほめましょう
やさしいスキンシップでリラックスさせよう
●安心できると同時に人に触られることが平気に
愛犬が安心できるうえ、健康管理にも役立ちます。1才までにいろいろな部位に触れ、どこを触っても平気になるようにして。
耳のつけ根など、自分ではなめられない部位を触られると、気持ちのいいことをしてくれる飼い主さんをますます好きに
慣れたらおなかまわりなども触れてみて。全身を触れるようになると、スキンシップを兼ねた健康チェックもできるように
ささいなことでもほめてあげよう
●家に迎えたばかりで愛犬は不安でいっぱい。ほめることで安心させて
愛犬を叱ってしまうと、飼い主さんへの恐怖や不信感が大きくなってしまいます。愛犬がおとなしく座っているだけでも、やさしくほめてあげましょう。
「イイコ」と声をかけながら、犬がなでられると気持ちよく感じる胸のあたりや背中を手のひらでやさしくなでて
「守ってあげる」=「飼い主さんは頼りになる人!」と思わせよう!
ともに生活するうえで必要になるしつけを飼い主さんが教えることで、愛犬を危険や余計なストレスから守れます。
落ち着ける場所をつくってあげよう
●安心できるひとりだけの空間をつくることが必要
犬は薄暗くて狭い場所を好みます。家の中に愛犬だけの場所(ハウス)をつくり、ゆっくり過ごせるようにして。
愛犬をハウスに入れたら毎回フードを与え、「ハウスに入るといいことがある」と教えるとハウスが好きに
誤食を防ぐためにも、飼い主さんの食事中は愛犬をハウスへ。それでも興奮するなら、布をかけて見せないで
人に慣らそう
●人間社会で暮らすうえでは人に慣れることが大切
愛犬がほかの人に慣れていないと、散歩も大きなストレスに。1才までに飼い主さん以外の人にも慣らしておきましょう。散歩中の愛犬へ声をかけてくれた人におやつを与えてもらい、ほかの人にいい印象を持たせましょう。
犬に慣らそう
●ほかの犬が平気になればストレスのない散歩に
外に出れば、ほかの犬に会う機会もあります。ほかの犬に対して興奮しないよう1才までに存在に慣らしましょう。
体格が同じくらいの犬から慣らすと成功しやすいです
外に慣らそう
●興奮や不安を減らし、落ち着いて過ごせるように
家の中に比べ、外は犬にとってさまざまな刺激があります。見慣れないものや音に対しても落ち着いていられるようにしましょう。
オイデを教えよう
●思わぬ事故などから愛犬を守ることができる
呼べば愛犬が飼い主さんのもとに来るのがオイデ。離れたところで危険な目にあいそうになっても守れます。
手に握ったフードのニオイを愛犬にかがせ、「オイデ」と言って数歩後ろへ。愛犬もつられて前に出ます
愛犬がそばまできたら、首輪に親指をかけてつかみ、「イイコ」とほめながら、手の中のフードを与えましょう
愛犬が飼い主さんを好きになり、信頼してもらうために最初にしておきたいことをご紹介しました。ぜひ、新たに愛犬を迎えるときは、実践してみてくださいね。
お話を伺った先生/Can ! Do ! Pet Dog School代表 西川文二先生
参考/「いぬのきもち」2022年12月号『1才までの絆の作り方、1才からの絆の深め方』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室