我流では思うように解決できない愛犬の吠え問題。とくに成犬は、頑固なクセになってしまっているケースも……。そこで、プロのトレーナーが成犬の吠えグセ直しを指南。今回は、チャイムに吠える、ほかの犬や物・人に吠えるといった、警戒吠えの悩みにや対して中村太先生に教えていただきました。
「吠えなくても大丈夫」と思えるように、吠えがちな場面に慣れさせましょう
苦手な犬や人、物自体に積極的に慣れさせようと考えるのではなく、苦手な相手がいても警戒せずにいられるよう、その場面や状況に慣れさせる練習を繰り返しましょう。「吠えなくても大丈夫だった」と経験を重ねることで、結果的に苦手と思っていた対象にも少しずつ慣れていきます。
チャイム吠え直し
「玄関先に来た宅配業者が帰るまで、ずっと吠えます。フードをばらまく方法は、すぐに食べ終えてしまいダメでした。」
【先生より】「チャイム=クレートに入る」を新習慣に!
「チャイムが鳴ってクレートに入るとイイコトがある」と教えます。クレートに入れれば犬はあちこち動き回れないので、たとえ吠えていても、しだいに落ち着きやすくなります。
【ふだんから実践】チャイム音を聞かせてからクレートに入れる
日ごろから、録音したチャイム音を聞かせてクレートに入る練習を。中に入ったら扉を閉め、しばらくして吠えていないときに外に出します。
【チャイムが鳴ったら実践】おやつとともにあわてずに愛犬をクレートへ入れる
あらかじめ玄関の呼び鈴には、対応が遅くなる旨、張り紙をしておきます。チャイムが鳴ったらあわてずに愛犬をクレートへ。おやつや、おやつを詰めたおもちゃも入れて。
ほかの犬・人・物への警戒吠え直し
「外で吠えたとき、おやつを見せて気をひこうとするのですが見向きもしません。しかたなくその場から逃げるように離れています。」
【先生より】「名前を呼ばれたら飼い主さんを見る」を新習慣に!
吠えてからおやつを見せても遅いので、吠える前に気をひくことが大切。また日ごろから愛犬の気をひいて見つめ合って歩く練習を行うことで、吠えそうな場面に備えましょう。
【ふだんから実践】名前を呼んで注目させて、おやつを与えることを繰り返す
ほかの犬や人などがいない状況で、愛犬の名前を呼んでおやつを与えます。何度も繰り返すと、名前を呼べば注目するようになるはず。「呼ばれて飼い主さんを見るとイイコトがある」と教えます。
【犬や人を見かけたら実践】愛犬の名前を呼んで、気をひいたまますれ違う
吠えだす前に名前を呼んで気をひき、道の端によけながらすれ違います。吠えずにすれ違えたらほめてごほうびを。吠えてしまっても、あせらずすみやかにその場から離れて。
台車やカートに吠えるときは、逃げたり、ごまかしたりする方法も
人や犬と異なってすれ違う機会が少ない台車。いっそのこと見えたら逃げることで、吠える機会を減らすのも手です。
●行く先に台車が見えたら、脇道にそれるかUターン
相手との距離が開けば、犬は吠えません。吠えだす前に、脇道にそれるかUターンして、台車から離れて。
●狭い一本道なら、目隠し代わりに愛犬の目の前に立つ
台車から逃げられない場合は、飼い主さんが間に立って目隠しに。抱っこで落ち着くタイプなら抱いて背を向けても。何もせずにすれ違うよりは刺激が減るので、吠え予防につながります。
いかがでしたか? 警戒吠え直しの方法はいたってシンプル。根気よく、チャレンジしてみてくださいね。
お話を伺った先生/「ナカムラ・ドッグ・スクール」「いぬのようちえん」主宰 中村 太先生
参考/「いぬのきもち」2023年4月号『しつこい吠えグセ しつけトレーナーと直しまSHOW!』
写真/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室