愛犬のトイレシーンや排泄物に異変を感じると、もしかしたら「病気かも?」ととても心配になりますよね。そこで、『いぬのきもち』読者のみなさんから寄せられたトイレのお悩みについて、獣医師の南直秀先生がズバリ答えて解決します! 今回は排泄中のしぐさや様子のお悩みに答えていただきました。
Q.ウンチをするとき、出しにくそうにするのですが……
「散歩中にウンチの体勢になったときのこと。そのままの体勢で長時間いきみ、『ゲッゲッ』と苦しそうに鳴き始めました。心配になり、翌日すぐに動物病院へ。浣腸してもらうと大量のウンチが出てきました! 年をとると犬は便秘気味になるのでしょうか?」
(群馬県/H.S.さん)
A.飲水量の減少や運動不足、体力低下で便秘がちに
飲水量の減少や運動不足により便秘になることがあります。とくにシニア犬は、体力の衰えから水を飲みに行くことが億劫になったり運動量が減ったりするため便秘がちに。また、ミニチュア・ダックスフンドなどの胴長犬に多い「椎間板ヘルニア」や「変形性脊椎症」を患うと、便秘になることも。
●食事に水分をプラスしたり、サプリメントを使ってみて
食事をウエットフードにしたり、ドライフードに水をくわえたりして、積極的に水分をとらせる工夫をしましょう。また、おなかの調子を整えるサプリメントを使ってみてもいいでしょう。もし便秘が長く続くようなら、動物病院を受診して。
Q.オシッコをすると、前足にかかりビチョビチョに!
「トイレシーツからはみ出さずにオシッコをしてくれるのですが、足の上げ方が中途半端なのでしょうか、オシッコが前足に直撃! 私がすぐに気づかないと、濡れてビチョビチョになった足のまま歩き回るため、部屋中が汚れて困っています……。」
(東京都/S.H.さん)
A.トイレの大きさや関節に問題があるのかも
トイレトレーが小さいため、狭いトレー内で無理に排泄しようと不自然な体勢になり、オシッコが体にかかってしまうことが考えられます。また、関節の痛みで足が上がらない犬や、包皮の問題で尿の出口が上向きになっているオスはオシッコの失敗が増えることも。
●トイレの大きさが適切がどうかや、関節を触って痛がらないかをチェック
トイレトレーの理想の大きさは、愛犬が入ったときにひと回りでき、まわりに余裕があるサイズです。いま使っているものが愛犬の体に合っているか確認してみて。また、関節に痛みがないかひざ関節などを触ってチェックし、触るのを嫌がるしぐさを見せたら一度受診を。
Q.オシッコが出るまでに時間がかかるんです
「長時間の留守番のあとサークルから出すと、トイレシーツに直行! すぐにオシッコの姿勢になるのですが、出るまでに時間がかかります。留守番中にサークル内のトイレで排泄をしていないため、我慢しているせいでは?と心配です。」
(東京都/Y.K.さん)
A.排尿を我慢しすぎるとオシッコが出にくくなることがあります
通常は膀胱が縮む力で排尿が促されますが、オシッコを我慢しすぎて膀胱がパンパンにふくらむと、縮みきるまでに時間がかかり、排尿しにくくなることが。膀胱炎のリスクも高まります。
●留守番中でも排泄を我慢させない環境をつくろう
犬は休む場所と排泄場所をはっきり区別する動物。サークル内などの休む場所では排泄を我慢してしまうことも。広いサークルに替えて、休む場所とトイレを離すと、排泄しやすいです。
Q.ウンチをしそうでも、気が散ると排泄をやめます
「散歩の途中にウンチのポーズをするのですが、車の音や人の声が聞こえると、普通の体勢に戻り、キョロキョロと音の正体を探し始めます。そのまま排泄をやめてしまうこともしばしば。ウンチはかためのことが多いです。」
(山形県/M.I.さん)
A.気にしやすい性格や関節の病気などが原因かも
気にしやすい性格で、周囲の音が気になり落ち着いて排泄できないのかも。数日出ないなら、「二分脊椎症」や「椎間板ヘルニア」など脊椎の病気で腸の動きが悪くなっている可能性も。
●静かなトイレ環境で排泄させて。便秘が続けば受診を
外よりも雑音などの刺激が少ない家の中だと、落ち着いて排泄できることがあります。外でしか排泄しない犬はトイレトレーニングを始めてみても。それでも直らなければ一度検査して。
しぐさや様子に関するトイレのお悩みをご紹介しました。愛犬のちょっとした変化にいち早く気づいてあげられるのは飼い主さんだけ。少しでも気になることがあれば、獣医師やしつけのプロに相談してくださいね。
お話を伺った先生/東京動物医療センター副院長 南直秀先生
参考/「いぬのきもち」2023年5月号『トイレのお悩みまるごと解決! 健康編』
イラスト/今井夏子
文/いぬのきもち編集室