愛犬がイタズラや危ないことをしたときは、飼い主さんが愛犬に対して「ダメ」と伝えますよね。ただその「ダメ」、愛犬にちゃんと伝わっていますか?人と犬は違う生き物なので、気持ちの伝え方にも一工夫が必要です。
そこで今回は、してほしくないことを伝えるため「ダメが伝わる方法」を、獣医師の増田宏司先生に伺いました。
愛犬への「ダメ」の正しい伝え方
言葉は短いほどいい!
「危ないから行っちゃダメ!」など、話しかけながら怒っても、犬は長い言葉を理解することができません。「あ!」「ダメ!」などの短い言葉でハッとさせて、してほしくないこと、やってはいけないことから関心をそらせるのがいいでしょう。
声はいつもより低めに出す
愛犬に「いつもの楽しい飼い主さんではないぞ」と思わせるためには、声を低めに出すのが効果的。いつもより声が低いと、犬はハッとしやすいためです。
飼い主さんは超冷静になる
愛犬がイタズラなどをしたときに飼い主さんがあわてるような言動をすると、愛犬はそんな飼い主さんを見て遊んでいると勘違いすることがあります。「ダメ」を伝えるためには、愛犬が何をしてもあわてずに、冷静になって対処するようにしましょう。
表情はできるだけ「無」で
いつもやわらかい表情をしている飼い主さんが真顔になると、愛犬はいつもと違うことを察します。そうすると愛犬の注意を引けるので、「ダメ」が伝えやすくなるのです。
要求の拒否するときは無反応を
おやつや抱っこの要求に対して「ダメ」を伝えるときは、無反応がベスト。愛犬を見ず、声もかけずに無視をし続けて。一時的に強く要求するようになりますが、続けるとあきらめて飼い主さんの「ダメ」な気持ちが伝わります。
飼い主さんがやりがちな「ダメ」のNGな伝え方
NG:犬が嫌いな金属音を出す
犬は金属音が苦手なので、一時的な効果はあるかもしれません。しかし、嫌な音を鳴らす飼い主さんを嫌いになり、関係が悪化するおそれがありますのでやめたほうがよいでしょう。
NG:ハウスに閉じ込めて反省させる
怒った飼い主さんによってハウスに入れられる経験をすると、ハウスに嫌なイメージがついてしまいます。ハウスは、愛犬にとって安心できる場所であるべきなので、ハウスを「ダメ」の道具にするのはやめましょう。
NG:ゴハンをオアズケさせる
犬は、「ダメ」と「オアズケ」を関連付けて考えることができません。犬がゴハンを前にして長時間待たされるのは、単にいじわるをされているようなものです。
NG:愛犬の目をじっと見て怖い顔をする
犬にとって、真正面から見つめ合うことは威嚇を意味します。これを飼い主さんからやられると、「ダメ」が伝わる以上に恐怖を感じたり、関係が悪化したりするおそれが。
愛犬がカーミングシグナルを出したら「ダメ」が伝わっているサイン
飼い主さんが「ダメ」を伝えて、いつもと違う空気を愛犬が感じ取ると、あくびや鼻をなめるなど、軽いストレスサインであるカーミングシグナルが出ます。一見すると反省していないように見えますが、これは飼い主さんの気持ちがちゃんと伝わっている証拠。これ以上「ダメ」を伝えなくてOKです。
カーミングシグナルの一例
・あくびをする
・鼻をなめる
・体をかく
・目を細める
・目をそらす
愛犬への「ダメ」は、そもそも伝える回数自体少ないほうがいいため、まずは愛犬がイタズラできず、なおかつ安全に生活できる室内環境を整えましょう。そのうえで「ダメ」を伝えるシチュエーションがきたら、ご紹介したポイントを参考に、短い時間で伝わるよう心がけてくださいね。
お話を伺った先生/増田宏司先生(獣医師 博士(獣医学) 東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室)教授)
参考/「いぬのきもち」2023年6月号『あなたの「イイコ」「ダメ」「大好き」ちゃんと届いてる? 愛犬への気持ちの伝え方』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。