愛犬に飼い主さんの手から直接フードを与える「ハンドフィード」についてご存じですか? じつは、愛犬といい関係をつくることがとても簡単にできる魔法のような方法なんです。さっそく取り入れて愛犬ともっと仲よくなりましょう! しつけトレーナーの西川文二先生に教えていただきました。
ハンドフィードとは「愛犬に飼い主さんの手から直接フードを与えること」
ハンドフィードとは愛犬の食事を、フードボウルから与えるのではなく、飼い主さんの手から直接与えることをいいます。ハンドフィードは、しつけや苦手克服、愛犬をほめたいときなどさまざまなシーンで使えます!
ポイント1 1日に与えるフード量だけを使う
ハンドフィードは、愛犬の1日分のフード量だけを使って行います。朝に1日分を量って用意しておき、フードポーチなどに入れておくと便利。フードポーチは口が大きく手が入りやすいものだと、フードの取り出しがスムーズで使いやすいです。おやつは使わないのが原則です。
●フードへの興味が薄ければ、フードの種類を変えたり、いいニオイをつけてみて
フードへの食いつきが悪ければ、主原料の違うフードやメーカーの違うフードに替えてみて。また、ニオイの強い犬用ジャーキーなどのおやつでフードにいいニオイをつけるのも手。フードとおやつを密閉容器に入れ、半日~2日ほどおけば完成です。
※フードを替えるときは、もともと与えていたフードと新しいフードを交互に与えるなどしながら、少しずつ移行するといいでしょう。
ポイント2 1日のうちできるときにすればOK
食事の回数を決めず、愛犬をほめたいときやトレーニング中など、1日のうちにちょこちょこと食べさせてOKです。たとえば留守番中は休んでもかまいませんし、手で与えきれないフードは、まとめて手で与えるほか、知育おもちゃなどで与えても。
こんなハンドフィードはNG
●手を噛まれてもフードを与える
ハンドフィードをしているときに愛犬の歯が当たったり、噛んできたときはフードを与えないで。与えてしまうと「手を噛んだらフードがもらえる」と誤解してしまいます。
●フードを見せながら与える
フードを見せながら与えると、飼い主さんがフードを持っているときだけ、指示に従う犬になってしまいます。フードを見せないと、フードの有無にかかわらず指示に従うように。
●ガサガサと音を立ててフードを出す
毎回ポリ袋やパッケージなど音の出る容器からフードを出して与えていると、「音がしたあとに必ずフードが出てくる」と学習。音がしないと指示を聞かない犬になってしまいます。
ハンドフィードは愛犬がいい行動をしたとき、トレーニングをするとき、苦手なものに慣れさせたいときなど、さまざまなシーンで使えます。今回は「いい行動をほめたいとき」と「誘導したいとき」のハンドフィードを紹介します。
「いい行動をほめたいとき」のハンドフィード
愛犬がイイコにしているときはハンドフィードを行うチャンス! 「いい行動をする→飼い主さんからフードがもらえる」と学習し、そのいい行動をより高めることができます。
飼い主さんのあとをついてくる、そばでおとなしくフセをしているなど、愛犬がいい行動をしている最中にハンドフィードをします。初めは頻繁にハンドフィードをしますが、愛犬がおとなしくできる時間が増えたら徐々に回数を減らしてOK!
「誘導したいとき」のハンドフィード
誘導とは、愛犬についてきてほしいときに使う方法で、トレーニングや、危険回避のときなどに役立ちます。ハンドフィードで手に注目させれば、すぐについてきてくれるように!
1.フードを握った手を愛犬の鼻先に近づける
ニオイが出やすいようにフードを軽く握り、その手を愛犬の鼻先に持っていきます。愛犬がニオイに気づき、自ら鼻先を近づけてくるまでそのまま待ちましょう。
2.愛犬が手に注目したら、手をゆっくりと動かして
愛犬が手に注目したら、動かしたい方向に手を移動させます。このとき、手が高すぎると愛犬が飛びついてしまうので、愛犬の鼻先くらいの高さになるようにキープして。
3.愛犬が手についてきたらフードを与えます
手の動きに合わせて愛犬がついてきたら、「イイコ」と声をかけ、フードを与えてハンドフィード。これを繰り返し、手の動きにスムーズについてくるようになるまで練習します。
ハンドフィードがとくに活躍するおすすめの2シーンをご紹介しました。ぜひ愛犬との生活に役立ててくださいね。
お話を伺った先生/「Can! Do! Pet Dog School」代表 西川文二先生
参考/「いぬのきもち」2023年6月号『絆が深まるハンドフィードをやってみよう』
撮影/尾﨑たまき
文/いぬのきもち編集室