飼い主さんが知っておきたい犬の健康について獣医師さんに聞いてみました。今回のテーマは、『犬の誤食』です。(監修/いぬのきもち獣医師相談室)
『犬の誤食』とは?
誤食とは口にしてはいけないものを誤って口にしてしまうことをいいます。私たちの生活の中には、犬が口にすると危険なものがたくさんあり、好奇心から何気なく口にして飲み込んでしまうことが多くみられます。
飼い主さんの指示で口にくわえた物を放せるようトレーニングしておこう
Q. 誤食の原因を教えてください
A. 犬はとても好奇心が旺盛で、食べ物以外のものでもすぐに口にいれようとする傾向があります。特に仔犬は、おもちゃやタオルなどの布類、紐、ペットシーツ、電気製品のコード、壁紙、お散歩中に石や砂などあらゆるものに興味を持ち噛もうとします。噛んでいるうちに食べてしまうことも。また人間用の薬や、タバコの吸い殻等も、命に関わる中毒症状を引き起こすことがあり非常に危険です。
Q. 誤食をするとどんな状態になりますか?
A. 人間の薬やチョコレート、玉ねぎ、スナック菓子など犬に与えると危険な物や好ましくない物を食べてしまうと多くの場合、嘔吐や下痢などの消化器症状が出ます。さらに危険な物の種類によっては、貧血や神経症状といった中毒症状が現れることがあります。
おもちゃなどの異物を食べてしまい、食道、胃、腸に詰まってしまうと、食欲不振が続き、激しい嘔吐や下痢、軟便を繰り返し起こすようになります。また、呼吸困難、腸の壊死など緊急の処置が必要な状態になることもあります。
Q. 誤食をした場合、どのような治療が行われますか?
A. 口にしてから短時間である、吐かせても安全な物である、などの条件がそろっていれば、症状が出る前に吐かせることができます。しかし、吐かせると危険な物もあるため、中毒を起こすようなものであれば活性炭などの吸着剤を服用させて毒物の吸収を減少させたり、点滴で毒物の排泄を促します。
異物では針や焼き鳥の串など尖ったもの、大きくて吐き出せない物、紐状の物、消化管に詰まってしまっている物などは内視鏡を用いたり、開腹手術を行って取り出します。
Q. 誤食の予防法を教えてください
A. 愛犬が口にしそうな物を放置しないことが大切です。また、日頃から、指示によってくわえた物を放せるようにトレーニングをして、もし愛犬が危険な物を口にしているのを見つけたら、飲み込む前に出させるようにしましょう。
危険な物をすでに飲みこんでしまっている場合は、すぐに動物病院に相談して指示に従ってください。