犬はよく眠る動物ですが、愛犬の睡眠の質については気にする飼い主さんは少ないのではないでしょうか? じつは愛犬の睡眠の質が下がると、健康を害することもあるんです! 今回は動物の睡眠に関する研究を行う日本大学生物自然科学部獣医学科教授の枝村一弥先生に、犬の睡眠の質の上げ方について伺いました。
睡眠の質が下がると犬はどうなる?
睡眠の質が下がるとどういったトラブルが出てきやすいのでしょうか? まずは出てきやすいトラブルについてご紹介します。
活動に支障をきたす「睡眠障害」に
愛犬の睡眠の質が落ちたままだと、慢性的な寝不足が続きます。その結果、ふだん起きている時間帯にも強い眠気が襲い、いつもどおりに活動ができない「睡眠障害」を引き起こすことがあります。生活サイクルが変わらないのに急に眠る時間が増えたと感じたら、体調不良のほか、睡眠の質の低下による睡眠障害の可能性もあるでしょう。
質の悪い睡眠が続くと、病気などにつながるおそれも
充分に眠れていないと、免疫機能を維持できず、感染症などの病気にかかりやすくなるおそれが。脳や体が充分に休まらないことは、強いストレスになるので、皮膚や胃腸、精神面などに悪影響を及ぼし、さまざまな病気の一因になる可能性があります。
睡眠の質を上げるためにしたい3つのこと
愛犬の睡眠の質を上げるために飼い主さんにぜひやってほしい3つのことをご紹介します。
温度や湿度をちょうどよく
犬は1日に細切れで睡眠をとる動物なので、24時間温度や湿度を整えるのが理想です。温度は26℃前後、湿度は50%前後を目安に。ベッドには毛布などを置いて、愛犬自身で調整できるようにするとよりいいでしょう。
狭くて、暗くて、静かが理想の寝床
犬は四方を囲まれている少し暗い場所を好むので、クレートやドーム型のハウスなどを用意してみて。置く場所は、音が気になりやすいテレビやステレオの近く、人の気配がする玄関や窓際は避け、なるべく静かに眠れる場所を選びましょう。
犬用ベッドはやわらかいものに
犬はやわらかくふかふかした場所を好む傾向にあるので、やわらかい素材のベッドを使ったり、毛布やタオルなどを置きましょう。また、体に負担がかかりにくい低反発素材のマットレスなどもおすすめです。
睡眠の質の上げる方法は、すぐに取り入れられるものばかりです。愛犬の寝床や睡眠環境の見直しに役立ててみてくださいね。
お話を伺った先生/日本大学生物資源科学部獣医学科教授 枝村一弥先生
撮影/殿村忠博
参考/「いぬのきもち」2022年8月号『犬の睡眠のすべて』
文/いぬのきもち編集室