ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。
今回は、動物病院でありながら元野犬だった保護犬を受け入れ、SNSを駆使して、譲渡まで行う、大師前どうぶつ病院の活動について紹介します。
SNSのフォロワー数は2万超えに!
大師前どうぶつ病院(以下大師前)の院長の中島渉先生の妻であるスタッフの絵美さんほかスタッフは大師前の日常をユーモアあふれる文章でSNSで発信していますが、動物好きな人々の間で人気が広がり、今では2万を超すフォロワー数に。
「保護犬がかわいそうとか暗いイメージの投稿にはしたくなかっただけで、そんなに多くの人たちにウケるとは思っていませんでした(笑)。結果的に保護犬への応募も増えて、うれしく思っています」と絵美さん。
取材当日には、大師前から元野犬の〝はなごんトッチー〞くんを迎えたNさん夫妻が来院。Nさんは、夫婦で初めて迎える犬は保護犬と決めていて、大師前が発信しているSNSを見て応募しました
「大師前さんのSNSはとてもおもしろくて、以前からフォローしていました。そこでトッチーという名前の元野犬の子犬を見て、すぐに連絡をすることに。以前からさまざまな譲渡サイトを見てきましたが、動物病院からの譲渡というのも安心感につながりました」
トッチーくんは、最初は散歩にも行けず、慣れるまでに時間はかかりましたが、大師前のスタッフから適切なアドバイスを受けてお世話するうちに、Nさんご夫妻を心から信頼してくれるようになったそうです。
今後も二人で力を合わせて保護犬を助けていきたい
絵美さんは「元保護犬たちの幸せ便りを聞くのが何よりもうれしいです。元野犬に多い中型犬ミックスは、飼いやすい大きさですし、魅力がいっぱいあるのに、なかなか譲渡率が上がらず、多くの保護施設に収容されたままになっています。これからも元野犬を含めた保護犬の魅力をSNSなどで発信していけたら」と語ってくれました。
そして中島先生は、「最近ではメディアの影響もあり、保護活動に関心のない方々も保護犬を迎えるようになりました。これがブームに終わらず、さらに定着していってほしいですね。その半面、保護活動を行う個人や団体さんの多くは自分の身を削り、金銭的にも大変な負担を抱えて活動せざるをえない状況が続いています。今後も、獣医師として、ボランティアさんたちの負担が少しでも減るように、医療面でのサポートを続けていけたらと思っています」と語ってくれました。
※保護犬の情報は2023年8月7日現在のものです。
出典/「いぬのきもち」2023年10月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/尾﨑たまき
写真提供/大師前どうぶつ病院
取材・文/袴 もな