1才以上の〝おとな犬〞でも、トイレにまつわる悩みは意外と多く、子犬期とは異なる理由が原因になっていることも。そんな悩める飼い主さんに、実践的な対策をご紹介します! しつけトレーナーの荒井隆嘉先生に聞きました。
病気や加齢のほかにも「 おとな犬」だからこそのお悩みがあります
おとな犬のお悩みは泌尿器の病気や加齢のほか、生活環境の変化などが原因のほか、子犬のときからのクセが習慣やこだわりになり、成犬になってから大きな困りごとに変化したケースも多いです。今から解決できるものもありますので、早いうちに対策しましょう。
トイレからオシッコ・ウンチをはみ出す
●足が濡れるのを嫌がってはみ出るケースがあります
犬にとって排泄しにくい環境なのかも。なかでも足がオシッコで濡れることを嫌がる犬は意外と多いもの。とくに、愛犬のサイズに合わない小さくて薄いトイレシーツを使っている場合は広がりが速く、踏ん張りもききにくいので足も濡れやすいです。
厚手かつ大きめのシーツで足濡れ&はね返りを予防
足が濡れるのを嫌がっていそうなら、トイレシーツを厚手かつ大きめのものに替えてみましょう。オシッコをしっかり吸収できれば、広がりやはね返りが防げるので、愛犬の足が汚れにくく、はみ出し防止に効果的です。また、厚手のシーツだと踏ん張りもききやすいので、ズレてはみ出ることも防げます。
【新井先生の体験談】
愛犬のしじみにもはみ出しグセがありましたが、シーツを厚手のものに替えた途端、はみ出しがなくなりました。元のシーツに戻したら、再びはみ出すようになったので、染みこんで足が濡れるのを嫌がっていたのかも……。
大きくまわりを囲んで自由度の高いトイレにする
シーツの隅で排泄したがる、足を上げて排泄するなど、排泄スタイルにこだわりがありそうなら、シーツを複数枚敷き、排泄可能なスペースを広げて。愛犬がどんなスタイルでものびのび排泄できるので、はみ出し予防になります。L字形やコの字形など、壁があるタイプのトイレなら足上げスタイルでも安心です。
トイレトレーがあるのにトイレでしない
●「排泄したら怒られる」と覚えてしまった可能性も
単純にトイレが愛犬の好みの環境ではないことが原因のほか、飼い主さんにそそうを注意されたときに、愛犬が「排泄したら怒られるから、飼い主さんに見つからない場所でしよう」と覚えてしまった可能性も考えられます。
決まった場所でするなら、その場所にトイレを置き直す
キッチンや寝室など、そそうする場所が毎回決まっているのなら、そこが愛犬にとって排泄しやすい環境だということですから、まずはその場所にトイレを置くのがてっとり早い対策です。そこで排泄するたびにほめれば、トイレ自体を排泄する場所と覚えますので、そのあとに元の場所に戻してもよいでしょう。
踏ん張りがきくマットで排泄しやすさをアップ
トイレの場所ではなく、トイレ自体を気に入っていない様子なら、愛犬が排泄しやすいトイレに替えましょう。とくにフローリングなどの滑りやすい床にトイレを直置きしている場合は、踏ん張りがききにくく、嫌がる犬も多いです。滑り止め効果があり、かつ撥水性のあるマットをトイレの下に敷くとよいでしょう。
【先生より】
「トイレは絶対ここに置く」と、飼い主さんがこだわりすぎているケースも意外と多いです。愛犬は飼い主さんの暮らしに合わせてくれていますから、愛犬に危険がないのなら、トイレを置く場所ぐらいは自由に選ばせても。
「おとな犬のトイレ問題は、そのコの性格や性質によって出てくるものが多いです」と荒井先生。愛犬のことをまたひとつ知るきっかけになった、という気持ちになって取り組んでみてくださいね。
お話を伺った先生/犬のしつけ教室DOGLY代表。日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター。荒井隆嘉先生
参考/「いぬのきもち」2022年12月号『おとな犬のリアルなトイレ問題解決法』
イラスト/亀山鶴子
文/いぬのきもち編集室