1. トップ
  2. 犬と暮らす
  3. 健康・病気
  4. 皮膚病
  5. 【獣医師監修】犬のイボやしこりの種類と悪性・良性・色・形の特徴、治療法を解説

犬と暮らす

UP DATE

【獣医師監修】犬のイボやしこりの種類と悪性・良性・色・形の特徴、治療法を解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

愛犬の体にイボやしこりを発見したら良性なのか悪性なのか、手術が必要なのか不安になってしまうことでしょう。腫瘍科を専門とする獣医師が、犬にイボやしこりができる原因と悪性・良性・色・形の特徴と種類、自宅での対処法や病院にかかった場合の治療法について解説します。

この記事の監修

加藤 憲一 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
 麻布大学附属動物病院腫瘍科専科研修医
 麻布大学附属動物病院腫瘍科専科非常勤勤務

●資格:獣医師/日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医II種

●所属:日本獣医がん学会

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)/腫瘍科/画像診断科

続きを読む

犬の体にしこりができる原因と形の特徴

【獣医師監修】犬のイボやしこりの種類と悪性・良性・色・形の特徴、治療法を解説 いぬのきもち
gettyimages

イボやしこりとは?

イボやしこりは、医学用語ではないので定義はありませんが、一般的に、皮膚、皮下にできる『腫瘤』をしこり、皮膚の一部が盛り上がってできる『できもの』をイボと呼ぶことが多いようです。

これを前提に、しこりとは、皮膚にできるでっぱりのうち、皮膚や皮下にできる『腫瘤』のことをいうことが多く、一般的に「皮膚乳頭腫」などの良性の腫瘍のことを指します。

また、イボは一般的に皮膚の一部が盛り上がってできた『できもの』のことをいいます。しかし、皮膚のできものにはさまざまな種類があり、しこりなどの良性の腫瘤から悪性のもの(がん)など多岐にわたります。

また、しこりやイボのようにみえる悪性の腫瘍も存在するため、良性なのか悪性なのかを見た目だけで判断するのは難しいです。

イボやしこりの色と形

イボやしこりの色は、白から肌色、赤、黒などがあり、やわらかいものから固いもの、小さい状態から大きくなっていくものもあり、形も表面が滑らかなものからいびつなものまでさまざまです。

できもののある場所や特徴的な外観から、良性なのか悪性なのか、ある程度の見当をつけることができるケースもありますが、確定診断のために病理検査が必要なものも少なくありません。

しこりができる原因

皮膚のしこりは、ウイルスやホルモンなどの明らかな原因があるもの以外については、さまざまな要因が複合的に重なった結果、自然発生的に生じます。

ウイルスによるもの

幼犬に多発性の良性のイボができる場合、その原因の多くは「パピローマウイルス(乳頭腫ウイルス)」によるものだとされています。

この場合、発がん性はなく、主に犬同士の直接的な接触や散歩時に他の犬の尿や唾液に触れるなど、すでにパピローマウイルスを持っている犬から感染することがほとんどです。

イボの大きさは1cm未満で白色や黄色、ピンク色や赤色をしています。カリフラワー状になることもありますが悪性ではないため、数週間~数か月でポロリと自然にとれるのが特徴です。

ウイルス以外の要因によるもの

その他、若齢犬における皮膚組織球腫は免疫異常、乳腺腫瘍はホルモンの影響が発生要因とされています。

特に肥満やストレス、睡眠不足などによって免疫力が弱まっていると、良性のしこりができやすいので注意が必要です。

また、老犬にみられる単発型のしこりは、頭部・眼瞼・肢端などに発生することが多いですが、こちらは非ウイルス性で、加齢や免疫低下、慢性刺激などが要因となっています。

しこりができやすい犬種や年齢

しこりは、基本的にはどの犬種にもできますが、シー・ズーやラブラドール・レトリーバー、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、キャバリアなどは、比較的しこりができやすい犬種です。

また、良性のしこりは、肌色やピンク色など淡い色合いをしているため、毛の色が黒い犬種や短毛の犬種は比較的発見しやすいといわれます。

代謝が落ちて抵抗力が低下している老犬や免疫力が低い子犬は、成犬に比べるとしこりができやすいため、普段から注意深く愛犬の様子を観察することが大切です。

老犬の場合は、悪性腫瘍ができる可能性も高くなるので、皮膚にできものを発見した場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

良性のしこりの特徴と種類

【獣医師監修】犬のイボやしこりの種類と悪性・良性・色・形の特徴、治療法を解説 いぬのきもち
犬の皮膚にできたカリフラワー状の腫瘍
画像提供:プリモ動物病院

良性のしこり(良性腫瘍)の特徴

良性のしこりは、大きさや色の変化がない、痛みや違和感を伴わない、柔らかい、しこりが皮膚とともに動くといったことも比較的よくみられる特徴です。

しかし、これらの特徴が全て良性であるとはいえず、悪性である場合もあります。

脂肪腫

脂肪腫は、皮膚の下の皮下組織にできる脂肪のかたまりのことをいいます。黄色みがかっていてぷよぷよと柔らかいしこりができたときは、脂肪腫である可能性が高いです。痛みやかゆみなどはなく、大きさもほとんど変化しません。

皮内角化上皮腫

皮内角化上皮腫は、年齢が若い犬にできやすい良性のしこりです。皮膚に0.5~4cm程度のニキビ状のものができ、表面に小さい穴が開いているのが特徴で、犬の体に害はなく、原因も未だに特定されていません。

皮脂腺腫

皮脂腺腫は、小型の老犬に多いカリフラワー状の腫瘍です。皮脂を分泌するための皮脂腺が詰まることで発生し、患部が腫れたり小さな腫瘍がたくさんできることもあります。

また、この腫瘍は低悪性度腫瘍ともいわれているため、症状がみられたら早めに動物病院を受診して検査を受けるとよいでしょう。

乳頭腫(皮膚乳頭腫)

乳頭腫は、乳頭のような形状をしたしこりのことをいいます。痛みはなく、良性のうちは自然治癒しますが、乳頭腫が悪性化すると扁平上皮癌を発症するケースもあるため、念のため病院で検査を受けて早めに対処することが重要です。

皮膚組織球腫

皮膚組織球腫は、若齢の犬の顔面・頭部・足先に好発する赤くて丸いドーム状に盛り上がったしこりで、自然退縮することが多いです。

悪性の腫瘍=「がん」の特徴と種類

【獣医師監修】犬のイボやしこりの種類と悪性・良性・色・形の特徴、治療法を解説 いぬのきもち
犬の悪性腫瘍
画像提供:プリモ動物病院

悪性腫瘍の特徴

しこりの中でも、黒や紫、赤黒い色をしている場合は悪性の可能性があります。悪性の場合、小さいしこりがどんどん大きくなるのが特徴です。

また、小さくても触ったときに硬くてコリコリとしているしこりや皮膚の動きに連動せずに皮膚組織にへばりついているしこりは、悪性腫瘍である可能性があります。

例えば、背中にしこりがある場合、皮膚表面ではなく皮下と呼ばれる皮膚の中側にしこりがあって、皮膚を動かしてもしこりが動かずに固まっている場合は悪性腫瘍を疑います。

扁平上皮癌

扁平上皮癌は、口の中や耳、鼻の先端、爪の根元などに多く発生する悪性腫瘍です。しこりではなく皮膚がただれたり、口の中が出血するような症状でみつかることもあります。

転移はあまりしませんが、多発するなど手術後に再発の多いがんであるため、早急に治療を開始する必要があるでしょう。

肥満細胞腫瘍

肥満細胞腫瘍は、体のどの部位にも発症します。この腫瘍ができた皮膚は、盛り上がってこぶ状になり、表面が壊死したり筋肉が硬くなったりするなど、さまざまな形態を示すため、見た目だけでは判断しにくい腫瘍です。時に局所で強い炎症を起こし、赤く腫れることがあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫(メラノーマ)は、見た目が黒色のしこりが特徴で、特に口腔内や爪床(爪の付け根)に発生するものは非常に悪性度が高く、発見した時には転移が進んでいることも多いです。高齢犬での発症が多くみられます。

乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は、乳腺にできる腫瘍です。犬の場合、悪性と良性の可能性が50%ずつといわれており、病理組織検査を行わないと確定診断はできません。

悪性の場合は、肺や脳に転移して命を脅かしますし、良性のものでも時間をかけて大きくなり、出血などを引き起こしたり、悪性に変わることもあります。

メス犬だけでなくオス犬も乳腺腫瘍ができることがありますが、メス犬の場合は、初回発情を迎える前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍のリスクを下げることができます。胸や乳腺周辺のしこりを早期発見することが大切です。

「がん」に対する治療法

ラブラドール犬を調べる獣医師
SeventyFour/gettyimages

悪性の腫瘍(がん)の治療法

しこりが黒や紫、赤黒い色をしていたり、大きさが1cmを越えている状態である場合は、悪性であることが多いため、見つけたらすぐに動物病院を受診してください。早期の腫瘍であれば、周りの健康な組織ごと大きく切除することで完治する可能性があります。

例えば、悪性のしこりが口にできてしまった場合は、腫瘍の周辺であるあごの骨ごと除去したり、レーザー治療や放射線療法、化学療法などを複数組み合わせた治療を行うこともあります。

治療費については、その犬の状態や治療法によって異なりますので、病院に直接お尋ねになってみてください。

治療法に悩む場合にはセカンドオピニオンを受診するのも一つの方法です。

良性のしこりは治療が必要?

良性のしこりは、転移しない腫瘍ではありますが、徐々に大きくなったり、二次感染によって表面の状態が悪化するなど、愛犬の生活の質を下げてしまう場合があります。

診断については、しこりの見た目だけでは良性腫瘍の確定診断を行うことができず、病理診断が必要となる場合があります。このとき、腫瘍だけの検査をするのか、大きく切除して周辺の組織(マージン)も検査するのかなど、どこまできちんと調べるかの判断が行われます。

また、その腫瘍に対してどういった治療をするのか、経過を見守る場合には、大きくなったり悪化した場合はどのように対応するのかなどを、愛犬にとって良い方向になるように、主治医としっかり相談しながら対応を進めていくことが大切です。

プリモ動物医療センターでは、腫瘍認定医が豊富な知識と経験を活かし、問診、視診、触診からできる限りの情報を探り、細胞の検査所見と照らし合わせたうえで必要な治療を進めています。また、高度な外科手術から化学療法まで対応しており、必要に応じて、放射線治療については速やかに大学病院と連携しています。

早期発見・早期治療が大切

庭で遊ぶ柴犬。野原で遊ぶ犬。
Thirawatana Phaisalratana/gettyimages

イボやしこりを見つけるためのチェックポイント

愛犬の体にできているイボやしこりを早期に見つけるためには、愛犬の観察が大事になります。前足や後ろ足、体の一部を気にしてよくなめている、触られるのを嫌がる、かさぶたを剥がすなどの様子をみかけたら、その部分にイボやしこりがないかをチェックしましょう。

愛犬の体にできたしこりが、良性なのか悪性なのかを見た目だけで100%判断することは難しいです。もし日々のマッサージや触れ合いの中で愛犬の肌に異常を感じた際には、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

しこりのように見える突起物の種類によっては、放っておくと危険なものも多いため、自己判断をせずに、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。

イボやしこりの気になるQ&A

犬、シェットランドシープドッグ、コリー
yanjf/gettyimages

Q:ワクチンの予防接種後にしこりのように硬くなるものができることがあるって本当?

A:ワクチン接種後には、接種した部位にやや強い炎症が起こる場合があります。こういった炎症にともない、その周辺の組織が硬くなる反応が起こると、その部分がしこりとして触れるようになる場合があります。

こういったワクチン接種後のしこりに気づいたら、まずは速やかに動物病院に受診をして、今後の対応や経過の見方などについて相談しましょう。

Q:しこりを見つけた時に注意することは?

A:愛犬の体にしこりを見つけたら、まずはそのしこりがどのような状況なのかをできるだけ確認してください。

表面が赤い、出血している、すでに潰れて傷がある場合などでは、悪性でなかったとしても二次感染や炎症による痛みを伴う場合があるので、まずは速やかに動物病院を受診しましょう。

表面上は特に目立った異常がなくても、明らかにしこりがあることに気づいたとき、数日経っても改善しないのであれば受診をすることが大切です。

受診までの間はお家でできる範囲でしこりの状態を記録しましょう。

しこりに気がついた日付や大きさ、表面の状態、愛犬の様子などをメモしたり、写真を撮影して記録をすることも診察に役立ちます。

Q:老犬にイボが増えるのはどうして?

A:老犬は、皮膚の正常な代謝が乱れやすくなるため、角質が正常に入れ替わりにくくなる場合があり、上皮のトラブルに伴う小さなイボなどができやすくなる場合もあります。

最後に

愛犬の体にイボやしこりにいち早く気がつくためは、犬の全身をくまなく触る習慣をつけることが大切です。シャンプーやブラッシング、マッサージ、耳のケア、歯磨きなどで体に直接触れる機会を持つことで、イボやしこりを早期に発見できる可能性が高くなります。

愛犬のお手入れを行う際は、全身をチェックすることを習慣にしてくださいね。

監修/加藤憲一先生(相模原プリモ動物医療センター院長)
文/maki
※症例写真以外は、記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

CATEGORY   犬と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気テーマ

あわせて読みたい!
「犬と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る