肥満は多くの病気を引き起こす原因となるだけではなく、愛犬の体にさまざまな悪影響を及ぼします。たくさん食べる犬、ぷくっとした体型の犬はかわいらしいですが、太らせすぎは禁物。肥満を未然に防ぐためにも、愛犬の肥満度チェックを行ってみましょう。
愛犬の肥満にはどんなリスクがあるの?
内臓脂肪が蓄積して起こる「肥満」には、さまざまな病気を引き起こすリスクがあります。また、肥満が引き金となって起こる疾患は治療が長引きやすく、費用がかさむケースが多い点も指摘されています。
肥満が引き金となって発症する主な病気
【関節の病気】
体重増加によって足腰への負担が大きくなった結果、関節やじん帯、椎間板を痛めやすくなることがあります。
【心臓の病気】
太った体へ血液を送る際に、心臓への負担が増えます。
【呼吸器の病気】
首の周囲に脂肪がつくことによって気道が圧迫され、呼吸がしづらくなることがあります。呼吸がうまくできないと体温を下げることができず、熱中症にかかりやすくなります。
【糖尿病】
体内のインスリン抵抗性が高まり、常に血糖値が高い状態に陥ってしまう糖尿病も、肥満によって発症することが多い病気です。発症すると免疫力の低下などが起こります。
愛犬の肥満度をチェック!~こんな体型になっていたら危険です~
愛犬の肥満度を確認する方法に、「ボディコンディションスコア(BCS)」と呼ばれるものがあります。この評価法を使用すれば、自宅で簡単に愛犬の脂肪度をチェックすることができます。
具体的なチェック方法
1. 愛犬の体を横から見て、おなかのへこみ具合を確認します。
2. 続いて体を上から見て、腰のくびれ具合も併せてチェックします。
3. 胸やわき腹を軽くなでて、肋骨部に手を当てます。その後、骨の突起が手の下に感じられるかどうかを調べましょう。長毛種は地肌に近いところに手を入れると分かりやすいです。
4. わき腹のくびれ具合を手で触って確認します。
5. 腰の骨の上部分を手で触り、骨がどのくらい浮き出ているかを調べます。
測定には個人差があります。より正確な結果を知りたいときには、複数人でチェックするといいでしょう。この方法で愛犬の体型を調べた結果、下記の2つに該当した場合には食事や運動によるダイエットが必要となります。
BCS4【やや肥満】に該当する体型
上から見て腰のくびれがあまり目立たず、横から見ておなかのへこみ具合がわずかに認められる状態は、「やや肥満」に該当する可能性が高いです。ろっ骨には触れても、体全体がかなりの脂肪におおわれているケースもこのタイプに該当します。
BSC5【肥満】に該当する体型
上から見たときに腰のくびれがほとんど見られない、あるいはまったく無いときには「肥満」体型だといえるでしょう。このタイプは横から見た際にもおなかのへこみ具合が認められなかったり、垂れ下がったりしているのが特徴です。また、ろっ骨が厚い脂肪におおわれて容易に触れず、腰椎や背中にも脂肪が沈着している様子が見られます。
肥満と分かったら注意すること
過度なダイエットは禁物
愛犬のダイエットを行うときは、1週間につき体重の1%程度を上限とするのが理想的です。それ以上の過度なダイエットは愛犬の体への負担が大きくなり、命に関わることもありますので注意してください。
食事の質を考えよう
食事の量を減らすことでカロリーを制限したとしても、健康のために必要なビタミンやミネラルまで不足してしまったのでは元も子もありません。ダイエット時にはフードの量だけではなく、質も考慮して取り組むことが大切です。
ただの肥満ではない可能性も
愛犬の肥満度のチェック方法や、肥満によるリスクについて紹介してきましたが、食べ過ぎているわけでもないのに体重が増えたり、お腹が膨らんだりする場合には注意が必要です。このような症状がみられるときは肥満ではなく、心臓や肝臓疾患、腫瘍による体型の変化やホルモン異常が疑われるケースもあります。
愛犬の体をチェックしていて「いつもと何か様子が違うな」と感じたら、早めに動物病院を受診するようにしてくださいね。
参考/「いぬのきもち」16年8月号『いぬのきもち+1 愛犬肥満解消プロジェクト!』(監修:日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学教育推進室 助教 岡田ゆう紀先生、日本獣医生命科学大学 大学院獣医応用生命科学研究科 獣医生化学研究室 教授 新井敏郎先生)
文/子狸ぼん
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。