夏は太平洋高気圧の影響で台風が多く発生する季節。近年では台風による被害が甚大になり、避難指示が出されるケースも少なくありません。
台風や大雨などで注意報や警報が出た場合、愛犬と同行避難する際は、どのような備えが必要なのでしょうか。今回は、災害時のペット問題にも取り組む獣医師の大下勲先生に詳しく教えていただきました。
台風や大雨で注意報や警報が出たら?
犬連れの避難は手荷物も増え、一般よりも時間がかかります。避難指示が出てから準備しているようでは、手遅れになってしまう危険も。
大雨や台風の予報が出た時点で避難の準備をしておき、注意報が出たら早急に避難できるように備えておきましょう。その際、以下のような防災袋をつくっておくと、在宅避難でも役立ちます。
在宅避難にも役立つ 夏に便利な愛犬用の防災袋をつくろう
夏は下記のふだんのアイテムに加え、水分補給や熱中症予防に役立つ、夏用のアイテムをまとめておくようにしましょう。
防災袋に入れるふだんのアイテム
- 3日分のフード・水
- 持病がある犬は薬・療法食
- 予備の首輪・リード
- 食器
- ファスナーつき保存袋に入れた緊急連絡先などのメモ
- トイレシーツ・防臭機能のあるウンチ袋
- おもちゃ
- カッター・ガムテープ・油性ペン
ガムテープに愛犬の情報を書いて貼っても
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
カッター、ガムテープ、油性ペンは避難所での必需品です。ガムテープに油性ペンで愛犬の情報や緊急連絡先を書き込み、クレートに貼っておけば名札代わりになります。
夏用のアイテム
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
- 保水ゼリー
- ウエットフード
- 水分量の多いおやつ
- クールグッズ
- モバイルバッテリー式のハンディファン
- 圧縮タオル(熱中症の応急処置用)
台風や大雨で避難するときはこんな備えも必要
台風や大雨で避難する際は、以下のような備えも必要です。
避難ルートに慣れさせておく
災害時は愛犬もパニックになるため、初めて歩く道だと緊張感をあおります。ふだんから避難ルートを何度か歩いておくと、万一のときに愛犬を落ち着かせることに役立つでしょう。
防災グッズをふだん使いしておく
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
防災グッズは備えておいても、いざというときに使えなくては意味がありません。防災袋に入れるアイテムはふだん使いし、どんなときも愛犬が嫌がらないものを揃えておきましょう。
なお、避難所での生活は犬も人も大きなストレスがかかります。在宅避難も選択できるように、ふだんの備蓄に熱中症対策グッズを多めに加えて、ローリングストックしておくとよいでしょう。
ガソリンは常に満タンにしておく
車で避難する場合、車内のエアコンを使うのにもガソリンを消費します。愛犬との避難時は熱中症予防のためにエアコンは不可欠。ガソリンは常に満タンにしておきましょう。
地域のコミュニティを大切にする
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
散歩中に会う飼い主さんや、ペット可のマンションで暮らしている飼い主さん同士は、同じ避難所で会う可能性が高く、緊急時は犬連れ同士で助け合うことも多いはず。ふだんから地域のコミュニティに参加しておき、万が一のときに備えた関係を築いておきましょう。
なお、台風などの災害が過ぎ去ったあとも、ぬれた地面には危険な細菌が潜んでいることが。人と動物の共通感染症であるレプトスピラ症は、ワクチンを接種していても完全な感染予防が難しいため、当面はぬれた地面を歩かせるのは避けましょう。
「もし災害が起こったら?」と想像することが、防災力を高めることにつながります。愛犬の命を守るためにも、たくさん想像力を働かせましょう。
お話を伺った先生/大下勲先生(大下動物病院院長 公益社団法人日本獣医師会危機管理室室員 大阪VMAT(獣医療支援チーム)副隊長)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『熱中症はもちろん! 災害から愛犬の命を守る 夏のサバイバル術』
文/長谷部サチ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。