ゴハンを用意すると勢いよく食べる犬たち。なぜ犬はゴハンをよく噛まないで食べ、出された分だけすべて口にしてしまうのでしょうか? 食事にまつわる犬の生態を、獣医師の増田宏司先生に伺いました。
犬はゴハンを「まる飲み」する
かつては野生で生活していた犬たち。狩りで手に入れた食べ物をほかの犬に奪われないように、ゴハンも急いで食べる必要があったのです。
人と暮らすようになった今でもその習性は残っており、ゴハンを与えると急いで飲み込む犬が多いようです。ただ、大きな食べ物やかたいものはまる飲みすると事故につながる危険性があるので、誤飲や誤食には気をつけましょう。
犬の歯は「引き裂く」のが得意
犬は昔から肉食なので、最も優先される歯の役割は引き裂くことでした。そのため、人が食事をするうえで重要にしている「ゴハンをよく噛んで、すりつぶしてから飲み込むという」という歯の仕組みは、人ほど大切ではないようです。
ゴハンは「あるぶんだけ食べる」
狩りをして獲物を得ていた時代は、いつでもゴハンが食べられる環境ではありませんでした。そのため、「食べられるときに、食べられるだけ食べる」ことは犬が生き抜くうえでの生存本能のひとつだったのでしょう。そしてその本能は、今でも犬に残っていると考えられます。
飼い犬になった現代は定期的にゴハンが手に入るため、目の前にあるゴハンをすぐに平らげる必要がなくなりました。そのため、気が向いたときに食べる犬もいます。
犬は「満腹感」を感じにくい
犬にも人と同じように満腹中枢はあります。ですが、その感覚は人に比べると鈍いよう。脳が「満腹になった」と感じるまでには、時間がかかるといわれています。
安心できる環境で暮らしながらも、野生時代の習性がみられることも。出されたゴハンをどんな風に口にするか知っておくと、健康管理の役に立つかもしれません。
お話を伺った先生/増田宏司先生(獣医師 獣医学博士 東京農業大学農学部バイオセラピー学科(伴侶動物学研究室)教授
参考/「いぬのきもち」2018年3月号『犬は夜行性? 遠吠えで仲間を呼ぶ? 気になる習性の真偽に迫ります! 犬の習性コレってホント? それともウソ?』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。