暖房器具の使用や、イベントごとで家に人が集まる機会が増える冬は、ふだんとは違う犬の室内トラブルが起きやすいため、注意が必要です。そこで今回は、冬の室内で起こりうる犬のトラブルや事故について、ノヤ動物病院院長の野矢雅彦先生に伺いました。
冬に起こりやすい犬のケガ・トラブル
ふだん家にないものを誤飲
シーズンものの飾りや、犬もそそられるようなごちそうなど、ふだんないものが家にある年末年始。この状況も誤飲が増える一因になります。おうち時間が増えて、家に集まることが多くなった人は特に誤飲に注意しましょう。
暖房器具でのやけどや人が集まる場でのトラブル
本格的な冬を迎え、暖房器具が手放せない年末年始。加齢や病気の影響で寒がりになった犬が暖房器具にくっついて、やけどを負うこともあります。また、犬に不慣れな来客があった場合、思わぬトラブルが起きる可能性も考えられます。
湯船に落下して溺れる
湯船の蒸気でほんのり温まったフタの上が、お気に入りという犬は多いもの。犬が飛び乗った勢いでフタが不安定になり、湯船に落ちて溺れる事故もあります。お風呂場のドアを閉め、犬が自由に入れないようにしてください。
室内と外の寒暖差でセキが止まらなくなる
シニア犬や、気管や心臓に持病などがある犬はいきなり寒い外に出ると、寒暖差が刺激になってセキが出やすくなります。冬に散歩に出るときは、玄関で数分間過ごして、寒さに体を慣らさせてから外に出るようにしましょう。
リビングで気をつけたい犬のケガ・トラブル
こたつから出られなくなることで熱中症
掘りごたつの下に落ちてはい上がれない、こたつ布団が重くて出られないなどの理由から、こたつの中で犬が熱中症になってしまうこともあります。こたつを使わないときはスイッチを切り、こたつ布団の一部を上げておくなどの工夫をしましょう。
コードをかじって感電
布が張られたこたつ用のコードを好んで噛む犬も。犬がコードを噛んで銅線がむき出しになると、感電してしまいます。愛犬がコードを噛んでいたり、感電が疑われたりしたら、まずは電源を切ってから、愛犬をコードから引き離しましょう。
愛犬がトラブルを起こさないよう備えておきたいこと
年末年始は休診する動物病院も多く、トラブルが起きても受診が難しいこともあります。トラブルを起こさないよう、以下のような備えを今からすることが大切です。
室内の環境を再点検する
ゴミ箱をあさって誤飲する犬は多いため、フタにロックがかかるものや、犬が倒せないほどの重さがあって、フタつきのものなどに替えるといいでしょう。床に置きがちな観葉植物も、高い台の上といった犬が届かないところに移動するなど、誤飲できない環境をつくりましょう。
年末前に健康診断を受ける
ホルモンの病気や、呼吸器・循環器の疾患があると、寒さに敏感になったり、寒暖差が体に負担になったりします。本格的な冬を迎える前に健康診断を受け、愛犬の体調の変化を知っておきましょう。室内から急に外に出さない、暖房器具でのやけどに気をつけるなど、対策をとることができます。
年末年始に診てくれる動物病院をリストアップしておく
年末年始に休みをとる動物病院も多いでしょう。かかりつけ医の休診中や夜間に受診できる動物病院を探しておくと安心です。また。帰省や旅行の予定があれば、そこでの動物病院も調べておくと、何かあったときにあわてずにすみますね。
何かといそがしい冬は、つい愛犬への注意が散漫になってしまいがちです。どんなトラブルが発生しやすいのかを頭に入れて、しっかり対策するようにしましょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2022年12月号『ATTENTION!“ちょっといつもと違う”から誤飲・ケガが起きやすい!年末年始の室内トラブル ハザードマップ』
文/宮下早希
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。