〝ふだん〞と〝災害時〞を区別せずにどちらの状況でも役立てる「備えない防災=フェーズフリー」という考え方が、取り入れやすく災害への安心感にもつながるなどと注目されています。この考え方をいち早く実際に取り入れている防災士の浜田あゆりさんに、モノ選びのこだわりや、おすすめアイテムを紹介していただきました。
「防災アイテムこそ、“愛着のあるもの”が安心につながる!」
「ペット防災せたがやネットワーク」代表として、ペット防災のための活動に日々奔走。愛犬は右から、Cココアocoaちゃん(メス・14才/3.8㎏/ミックス/甘えん坊姫)、Cクッキーookieくん(オス・16才/4.6㎏/ミニチュア・ダックスフンド/甘えん坊王子)
「防災アイテムは、以前は防災用として販売されているものを、いざというときのためにそろえていましたが、ふだんから愛用できるものに全シフトしました。それは、災害時という非日常では、初めてのものを使用するより、いつもの愛着があるもののほうが犬も人も安心感が増すと震災を通して強く思うようになったからです。ふだんから使いたくなるようなお気に入りを見つけて、どんどん使っています」
超軽量ソーラーランタン
「友人宅の出窓に数個飾られていてひとめぼれ。自宅では常夜灯としてはもちろん、夜の散歩時の明かりとしても大活躍。パンツのベルトループに装着できる軽さもお気に入りポイント。たたむとぺたんこになるので携帯にも便利で、防災リュックのポケットにすっぽり入ります」
普段は夜の散歩の明かりとして
夜中も常につけています
災害時は防災リュックに入れて携帯
コップつき保冷ボトル
「長く愛用のコップつき保冷ボトル。散歩時の水入れに使用していて、コップは犬の水飲みボウルに。災害時の停電の際には、冷凍庫にある氷を確保できます。コップは水分補給のためにも与えたいウエットフード入れにしても」
コップつき保冷ボトル
ふだんは散歩時の水入れ&ボウルとして
災害時は停電時に氷を確保できます
コップはフードボウル代わりにも
冷却タオル
「濡らして振るだけで気化熱によって冷たくなる冷却タオルは暑さ対策に◎。ふだんは犬の首に巻いたりかけたり、災害時は停電時の応急処置にも役立ちます。ピンクやパープルなどかわいい色を集めています」
ふだんはお出かけ時の熱中症予防に使用
災害時は停電時の暑さでぐったりしているときの応急処置として
レインポンチョ
「ふだんから使用しているレインコートはポンチョタイプ。雨の災害時も、スリングなどに入れた犬や防災リュックを濡らしません。前開きなら犬の顔も出せるのでおすすめ! 着替えや簡易トイレ時の目隠しにもなります」
犬や大きな荷物も濡らさない!
基本の防災アイテムも点検しよう!
〝備えない備え〞が注目されているとはいえ、基本の防災アイテムはひとまとめにして備えておきたいもの。そして、肝心なのがいざというときに使いこなせること。今一度、しっかり点検しておきましょう!
基本の防災アイテムも点検を
必須アイテム
□ クレートもしくはペット用カート
□ フード・水(最低5日~1週間分)
□ 療法食・処方薬(最低2週間分)
□ フードボウル
□ 犬用おむつ
□ トイレシーツ
□ 消臭スプレー
□ 消臭ウンチ袋
□ ウエットティッシュ
□ ブランケット・タオル
□ ケアグッズ(ブラシ、歯ブラシ、ドライシャンプー など)
□ 予備の首輪・リード
□ 愛犬と飼い主さんが写っている写真( 迷子時の捜索ポスターや身元証明用に)
□ 愛犬の健康手帳( ワクチン接種状況、既住歴、健康状態、かかりつけ動物病院の連絡先、飼い主さん以外の緊急連絡先などが書かれているもの)
便利アイテム
□ ウエットフードやゼリーなど(水分補給に)
□ おやつ( 食欲がないときに)
□ 服(被毛飛散防止に)
□ トイレットペーパー( ウンチを取るときに)
□ 油性ペン(愛犬の情報、注意事項などを書くときに)
□ 布製の粘着テープ( 情報を貼るときなどに)
□ 音の鳴るおもちゃ( 呼び寄せにも使える)
□ カイロや保冷剤など( 寒さや暑さ対策に)
ふだん使いできる防災アイテム+基本の防災アイテムで、“もしも”の備えを万全にしましょう!
お話を伺った方・写真提供/防災士、愛玩動物飼養管理士、「ペット防災せたがやネットワーク」代表 浜田あゆりさん
参考/「いぬのきもち」2025年9月号『ふだん使いできる防災アイテム』