愛犬の何気ないしぐさや行動に隠されている気持ちには諸説あります。今回は犬でよく見られるしぐさを獣医学博士の増田宏司先生が人の行動に置き換えて楽しく解説してくれました。愛犬の気持ちを読み解く手がかりにしてください。
しつけのコマンドを出したら「首をかしげる」
人に置き換えると「なんとか場を取り繕いつつ思い出そうとする」
飼い主さんに応えようと必死になっています。耳の角度を変えることで指示を聞きとろうとしています。また、どうしたらよいのかを一生懸命考えていることも。人でたとえるならば、家族から頼まれたことを、すぐには思い出せないながらも必死に思い出そうとしている様子といえるでしょう。。
「飼い主さんをじっと見つめてくる」
人に置き換えると「憧れの人を陰からそっと見つめる」
飼い主さんが大好きすぎてつい目で追ってしまっています。犬も人と同様、気になる人のことはつい目で追ってしまうもの。飼い主さんをじっと見つめるのは、大好きな飼い主さんのことをつぶさに見守りたい気持ちの表れです。人でたとえるなら、さながら「憧れのあの人」を陰からそっと見つめるような行動といえるかも。
何も支持をしていないのに「自発的にフセをする」
人に置き換えると「親にほめてほしくて目の前で勉強を始める」
指示をしていないのにフセをするのは、飼い主さんにほめてほしい気持ちの表れです。教えられた指示を覚えていることや、イイコにしていることを一生懸命アピールして、飼い主さんにいいところを見せようとしています。人でいうと、親にほめてもらおうと、わざわざ目の前で勉強
を始める子どものような行動といえるでしょう。
お尻や足など「ニオイをかぎに来る」
人に置き換えると「好きな人のこまやかな変化にも気づこうと意識する」
飼い主さんの様子に変わりがないかニオイでチェックしています。犬にとって、ニオイは何よりもの情報源です。ニオイをかぐのは、飼い主さんがいつもどおりか確認したい気持ちの表れです。人でいえば、相手の髪型や服装の変化などを気にかけるようなもの。「いつもあなたを見ているよ」という好意の表れでもあるでしょう。
「犬のしぐさにはさまざまな意味がありますが、人の行動になぞらえることで、共感しやすくなることでしょう」(増田先生)。愛犬ともっと仲よくなるためのヒントにしてくださいね。
お話を伺った先生/獣医師、博士(獣医学)、東京農業大学農学部動物科学科(動物行動学研究室) 増田宏司先生
参考/「いぬのきもち」2023年5月号『犬のしぐさを人に置き換えたらよ~くわかった!』
イラスト/福田玲子
写真/尾﨑たまき、佐藤正之
文/いぬのきもち編集室