愛犬のしつけをしていると、何をやってもうまくいかないなど、乗り越えられない“壁”を感じる飼い主さんも少なくないようです。
そこで今回は、『“壁”を感じているしつけ』に関するアンケート調査(※)の結果をご紹介するとともに、飼い主さんたちが「“壁”を感じている」と回答したしつけのなかから、「興奮グセ」と「あま噛みグセ」を取り上げ、乗り越え方のヒントを獣医師の藤本聖香先生に伺います。
※「いぬのきもち作り隊」の読者へのアンケート(初心者・ベテラン飼い主さん計153人、2023年9月実施 集計結果)
飼い主さんたちが感じている愛犬のしつけの“壁”
『“壁”を感じているしつけ』に関するアンケート調査の結果は、以下のようになりました。
“壁”を感じているしつけは?
- 1位「吠えグセ」
- 2位「ほかの犬になれない」
- 3位「興奮グセ」
ちなみに、初心者飼い主さんにフォーカスしてみると、1位「あま噛みグセ」、2位「吠えグセ」、3位「拾い食いグセ」という結果に。子犬のうちに乗り越えられなかった“壁”が成犬でより強固になったり、解決したはずの困りごとが再発したりする場合もあるようです。
「興奮グセ」の乗り越え方
「興奮グセ」を乗り越えるためのポイントは、愛犬に自主的に考えさせることです。一度興奮した犬を落ち着かせるのは至難の業なので、愛犬が自分で興奮を抑えられるよう教えるか、興奮させすぎない工夫をしましょう。
「落ち着いて」のサインを教える
愛犬がリラックスしているときに、肩や背中のあたりを指先でやさしくトントンと叩きましょう。繰り返すことでリラックスするサインと覚えるので、興奮を静めるときの手助けとなるでしょう。
犬が興奮している間はクールに振る舞う
犬が興奮している間は、飼い主さんは反応せずに落ち着くまで静かに待ちましょう。繰り返すうちに、愛犬が自主的にどうすればいいか考え、落ち着きやすくなるでしょう。
クレートトレーニングとマッテで興奮しにくくなる
クレート内でおとなしくするクレートトレーニングとマッテの練習を徹底することで、興奮しにくくなるうえ、興奮してもクールダウンしやすくなるでしょう。興奮しそうなときに、あらかじめ マッテをかけておくのも効果的です。
「あま嚙みグセ」の乗り越え方
「あま噛みグセ」を乗り越えるためのポイントは、噛んではいけないものを教えることです。そもそも、犬に手や足を噛ませること自体がNG。犬同士のあま噛みと違い、人の肌は繊細なので、歯を当てることさえNGと教えましょう。放っておいて直ることはないので、本気噛みになる前の対処が必要です。
なるべく低い声でノーを伝える
甘噛みは将来的に本気噛みにつながるのできっぱりNGと伝えなければいけません。歯が当たったらなるべく怖い顔をして、できる限りの低い声で「ノー」「ダメ」と言って伝えましょう。家族全員で徹底すると効果的です。
歯が当たったら手や足を隠す
重要なのは「絶対に噛ませない」という強い意志です。遊びの最中でも、歯が当たったらすぐ「ダメ」と言って手や足を隠し、それ以上に噛ませないようにしましょう。しつこく噛むようなら、手や足に苦味スプレーをたっぷり塗っておくのも一案です。
愛犬のしつけの“壁”にぶつかったときは柔軟に考え、慌てずじっくり対策していきましょう。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師 Canine Relationz主宰)
参考/「いぬのきもち」2024年2月号『あきらめていた困りごと、見方を変えたら解決法があった!しつけの壁の乗り越え方』
文/小林けい
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。