加齢とともに、甘えん坊になったり怒りっぽくなったりと、愛犬の心も変化します。今回は、愛犬の心がいつまでもイキイキしていられるためにできることを獣医師の佐々木彩子先生に教えていただきました。認知症予防にもつながるので、ぜひ取り入れてみてください。
体の変化とともに心も変化する
加齢で体が変化すると、脳の変化によって心の動きも変わります。そのため、愛犬の性格が変わったり、以前とは違う行動をとったりすることも。
どんな犬にでも起こりうる変化ですが、どのような変化があらわれるのかを知り、愛犬の心に寄り添えるようにしましょう。
良質なコミュニケーションをとる
ささいなことでもしっかりとほめる
成犬になるとほめる機会が減りがちです。年をとっても昔と同じ生活ができるだけでもすごいことなので、ささいなことでも意識してほめてあげましょう。
愛犬の意思を尊重する
犬にも自尊心があるため、自分でできることは自分でやりたいという気持ちがあります。
思うように動けない愛犬を見ると、つい手伝ってあげたくなりますが、愛犬が本当に困ったときだけそっと手を貸してあげましょう。
簡単なトレーニングを毎日続ける
飼い主さんの指示に応えることで、愛犬にも自信がつくため、愛犬が得意な指示しつけを毎日意識的に続けてみましょう。愛犬の変化に気づく手助けになることもありますよ。
ケアで体と心をほぐす
スキンシップを兼ねてマッサージで血流アップ
マッサージはリラックス効果や血行を改善する効果が期待できます。
背骨付近をやさしくつまむように上から下へなぞる「背骨マッサージ」や、上まぶたを目頭から目尻へ向けてなぞる「まぶたマッサージ」などを行うのがおすすめです。
触られるのが嫌な犬の場合は、幅広のフェイスブラシでそっとなでるだけでもいいでしょう。
腹巻きとレッグウォーマーで下半身を温める
年を重ねると体が冷えやすくなる犬も。とくに下半身を温めると全身の血行がよくなります。
腹巻きで腰やおなかを温めたり、足先が冷えやすい場合は、足首まわりをレッグウォーマーで温めたりするといいでしょう。
なお、体の痛みから家でのお手入れを嫌がるようになる犬もいるので、その場合はプロに依頼することも検討しましょう。
ストレスのない環境づくり
トイレとハウスの距離を近づける
シニアになると排泄を我慢できる時間も短くなります。そのため、ハウスとトイレが遠すぎると愛犬のストレスになりますが、近すぎるとニオイが気になることもあるので、今の愛犬にとってちょうどいい距離に設置しましょう。
暗くて静かな場所でぐっすり寝られるようにする
睡眠の質は認知症と関係していると考えられています。愛犬が熟睡できるよう、暗くて静かな環境を整えてあげましょう。
外で脳に刺激を与える
毎日の散歩で外の風や太陽の光を感じさせる
散歩で外に出ることで、リフレッシュになるだけでなく、五感に刺激を与えることもできます。
また、散歩で足腰を動かすと胃腸の動きもよくなるので、無理がない範囲で毎日行くといいでしょう。
ほかの犬やいぬ友に会わせる
シニアになって外出の機会が減ると、飼い主さん以外の人や犬に会う機会が減り、脳に刺激を受けにくくなってしまいます。散歩などの際に、犬や飼い主さん以外の人と接する機会を設けてみましょう。
行ったことのない場所に足を延ばしてみる
年を重ねてからの新しい経験は、脳に大きな刺激を与えてくれます。いつもと違う道を散歩したり、逆方向に歩いてみたりするだけでもOKです。
飼い主さんが愛犬への接し方を少し変えるだけで、愛犬の心を若々しく保つ手助けになります。ぜひ一度生活を見直してみてくださいね。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(「キュティア老犬クリニック」獣医師 獣医中医師1級・獣医推拿整体師 獣医中医師協会所属)
参考/「いぬのきもち」2024年5月号『できることを早いうちに始めれば認知症予防にも シニア犬の心の変化に寄り添う』
文/山村晴美
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。