やめさせるのが難しいといわれている犬の「拾い食い」。「もうあきらめている」という声も多数寄せられるほど直すハードルが高い「拾い食い」ですが直すためにできることはたくさんあります。今回は、拾い食いをやめさせるのが難しい理由と、「離れて」の指示しつけについて、ドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました。
拾い食いをやめさせるのが難しい理由とは
飼い主さんが、愛犬が口の中に入れたものを無理やり取り返す対応を繰り返していると、「今度は取られないようにしよう!」と物に執着するようになります。
拾い食いがエスカレートしてしまう理由の大半がこのパターンのようです。
また、犬は気になったものをにおったり、口に入れたりして調べる習性があります。「なんでこんなものを口に入れるのだろう」と、飼い主さんにとっては不思議なものでも、犬にとっては自然な行為のため、やめさせにくいのです。
「離れて」をトレーニングしよう
特定のものから離れる指示しつけを教えておくと、散歩中に拾い食いをしそうなものに接近しても避けることができます。食べてしまいそうな場合は、口輪を使って繰り返し練習し、できるようになったらはずしましょう。
1:おやつを持った手で離れさせたい対象物を指す
「離れて」の練習は室内から始めましょう。リードをたるませた状態で手におやつを持って愛犬にニオイをかがせます。その手を離れたい対象物に向け、愛犬に対象物を見せましょう。
2:「離れて」と言いながら歩く
まっすぐ歩きだし、対象物に近づいたら半円を描くようにおやつで誘導して歩きます。
このとき、「離れて」と何度か言い、「離れて」の言葉=物から遠ざかるということを覚えさせます。
対象物に近づいてしまうときは?
対象物に近づいてしまうときは、腕を内側にして一瞬でリードを引き、愛犬に「こっちだよ!」と伝えましょう。愛犬の首を痛めるので力任せに強く引くのはNGです。
3:離れて歩けたらほめる
半円を描くように歩くことができたら、手に持っていたおやつを与えてほめましょう。愛犬が対象物を見ても飼い主さんの「離れて」の言葉でスルー出来るようになるまで繰り返し練習をします。
4:離れさせたい対象物との距離を縮める
1~3がスムーズにできるようになったら、対象物との距離を縮めて練習しましょう。少しずつ距離を縮めて、真横を通ってもスルー出来るようになったらトレーニング成功です。
対象物や場所を変えて練習してみよう!
最初は愛犬があまり興味のないもので練習をして、慣れてきたら少し好きなおもちゃ、大好きなおやつなどレベルを上げていくことで、どんなものでも離れることができるようになるでしょう。
そして、外でもできるように練習を。
電柱や街路樹など散歩道にいくつもあるものを対象物にすると、日課の散歩でトレーニングができるので、どんどん上達するでしょう。
トレーニング中は、失敗(拾い食い)をさせないことが大切です。愛犬が落ちているものに近づかないように、予防と対策をしっかりとしましょう。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年7月号『命にかかわるのに手強い困りごと 拾い食いなんとかやめさせたい!』
文/山村晴美
※記事と写真に関連性がない場合もあります。