やめさせるのが難しいといわれている犬の「拾い食い」。「もうあきらめている」という声も多数寄せられるほど直すハードルが高い「拾い食い」ですが直すためにできることはたくさんあります。今回は、拾い食いをやめさせるのが難しい理由と、部屋の中と散歩中にできる対策について、ドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました。
拾い食いをやめさせるのが難しい理由とは
犬の本能だから止めにくい
犬は気になったものをにおったり、口に入れたりして調べる習性があります。「なんでこんなものを口に入れるのだろう」と、飼い主さんにとっては不思議なものでも、犬にとっては自然な行為のため、やめさせにくいのです。
間違った対応により執着心が強まっている
飼い主さんが、愛犬が口の中に入れたものを無理やり取り返す対応を繰り返していると、「今度は取られないようにしよう!」と物に執着するようになります。
拾い食いがエスカレートしてしまう理由の大半がこのパターンのようです。
部屋の環境を整えて対策をする
外だけでなく部屋の中には人の薬や食べ物など、愛犬にとって危険なものがいっぱいです。定期的に環境の見直しを行いましょう。
床に物を置きっぱなしにしない
床に物が多いと拾い食いをしやすくなり、愛犬が拾い食いをしたことに気づくのが遅くなることも。できるだけ床に物は置かず、スッキリさせておきましょう。
料理中や人の食事中はハウスに
料理中や人の食事中など人の食べ物が出てくる場面は、拾い食いのリスクがあがります。そんなときは、愛犬をハウスに入れて安全を確保しましょう。
棚などにストッパーをつける
棚などに物をしまっていても、愛犬がイタズラした拍子に落ちてそれを拾い食いしてしまうケースも。愛犬が届く棚にはストッパーをつけて対策をするといいでしょう。
散歩中の視線を上に向ける
愛犬は散歩がつまらないと感じていると、視線が下を向きやすく、拾い食いしやすくなる傾向に。散歩中はワクワクさせることをして、愛犬の視線を上に向けることで、拾い食い予防につながります。
声をかけて目が合ったらおやつを与える
黙って歩いていると退屈してしまうので、名前を呼ぶなどしてコミュニケーションをとりましょう。目が合ったらおやつを与えることを繰り返すと習慣がつきます。
愛犬にとって予想外のことをする
散歩中に急に走ったり歩いたりしたり、いつもとは違う角を曲がったりなどしてみましょう。「次は何が起こるのだろう」とワクワクするので、期待感から飼い主さんのことをよく見るようになります。
拾い食いしたものを取り返すのは至難の業となり、物への執着を強めるおそれもあるため、愛犬が落ちているものに近づかせないように予防を心がけましょう。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年7月号『命にかかわるのに手強い困りごと 拾い食いなんとかやめさせたい!』
文/山村晴美
※記事と写真に関連性がない場合もあります。