人でいう”反抗期”に似た反抗的な態度をとる時期があり、一般的に犬の”反抗期”とよばれます。
“反抗期”は成長の過程で起きますが、その際に飼い主さんが適切な対応をしていないと、3才以降も“反抗期”のような態度が続くケースも。今回は、おとな犬の“反抗期”をこじらせないためのコツを、獣医師の藤本聖香先生に伺いました。
犬の“反抗期”とは
犬の“反抗期”は、成長過程において身体と精神が変化する時期と重なりやすいことがわかっています。
犬の生後3週~3カ月は社会化期とよばれ、警戒心よりも好奇心が旺盛で何に対しても興味を抱き、どんどん吸収していくポジティブな時期。反抗的な態度はあまり見られないでしょう。ですが、その後の性成熟期に1回目の“反抗期”を迎えます。
犬の“反抗期”は多くて2回
1回目の“反抗期”は生後6カ月~1才前後の性成熟期。ホルモンバランスの変化や自我の芽生えなどが影響して反発心がうまれ、「挑戦したい」「相手に言うことを聞かせたい」など、意思の強まりが見られます。
2回目の“反抗期”は2才前後の精神的成熟期。犬は1才半くらいで身体的にも精神的にも成熟期を迎えますが、この時期になると経験値が上がり、知恵がつきズル賢くなるなどして、反抗的な態度が目立つように。
3才を過ぎての“反抗期”には、愛犬との関係の再構築を
“反抗期”は本来2回で終わりますが、その際に飼い主さんが対応を誤ると、3才以降でも反抗的な態度をとるようになる場合があります。それが、期間限定のものではなく「問題行動」へと発展しまうことも。愛犬の反抗的な態度には、あきらめずに対処しましょう。
関係の再構築のために心がけたいこと
犬が問題行動を起こすときは、愛犬との関係が乱れている可能性が高いです。愛犬は、反抗的な態度で飼い主さんに「わかって」のメッセージを伝えている場合も。次にご紹介する方法で、愛犬との関係を見直してみましょう。
1. 共同作業をする
犬は、自分を理解してくれる人を信頼します。愛犬のことを深く知るためにも、共同作業は効果的。たとえば、ただ散歩をするだけでなく、愛犬の目線になって散歩してみると愛犬の興味があるものなどがわかるかも。途中で見つめあう時間をつくるなどすると、信頼にかかわるホルモン「オキシトシン」の分泌が促進され、さらに関係性がアップするでしょう。
2. 距離をとる時間をつくる
愛犬といつもべったりではなく、干渉しすぎないことも大切です。お互いに別のことをして過ごす時間をつくり、「飼い主さんは見守ってくれる人」と愛犬を安心させてあげましょう。
たとえば、留守番をさせなくても別の部屋でお互いに“ひとり時間”を満喫するのもよいでしょう。ひとりでいられない犬の場合は、おもちゃを利用するのもいいですよ。
3. ルールをしっかり決める
飼い主さんの愛犬への対応がその場しのぎだと、愛犬が混乱するばかりか信頼感も薄れてしまいます。たとえば、人が食べているものをなんとなくおすそわけするなどの行為は、「昨日はOKだったのに今日はNG」となり、犬が混乱する原因に。人が食べているものをおすそわけすることは絶対しないと決めましょう。
家族内でも曖昧にならないようルールを決めてください。しっかりしたルールなら犬は守ることができます。
“反抗期”は愛犬と向き合うチャンスでもあります。マイナスにとらえがちですが、ポジティブに考えて愛犬としっかり向き合うことで、絆は確実に深まるでしょう。
お話を伺った先生/藤井聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考/「いぬのきもち」2024年6月号『飼い主さんの対応次第!? おとな犬の“反抗期”をこじらせないコツ』
文/小林けい
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。