やめさせるのが難しいといわれている犬の「拾い食い」。「もうあきらめている」という声も多数寄せられるほど直すハードルが高い「拾い食い」ですが直すためにできることはたくさんあります。今回は拾い食いをしてしまったときの対処法について、ドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました。
拾い食いをやめさせるのが難しい理由とは
飼い主さんが、愛犬が口の中に入れたものを無理やり取り返す対応を繰り返していると、「今度は取られないようにしよう!」と物に執着するようになります。
拾い食いがエスカレートしてしまう理由の大半がこのパターンのようです。
また、犬は気になったものをにおったり、口に入れたりして調べる習性があります。「なんでこんなものを口に入れるのだろう」と、飼い主さんにとっては不思議なものでも、犬にとっては自然な行為のため、やめさせにくいのです。
もしも口にしてしまったときのために のみこませない方法とは
拾い食いは予防することが大前提ですが、万が一口にしてしまったときに備えて、取り返しやすくなるトレーニングをしておいたり、その瞬間の対処法を頭に入れておくことも必要です。
口にした瞬間にすること:おいしいおやつをばらまく
元々拾い食いのクセがある場合は、おやつを多めに入れた保存容器を愛犬の届かないところに必ず置いておきます。散歩中にも持っていきましょう。
拾い食いしそうになったら、準備しておいたおやつを少し離れたところに一気にばらまくことで、愛犬はおやつの方が気になることが多いので、口にしたものを出してくれる可能性が高くなります。
このとき、大声をだしたり、手を出して口にしたものを取ろうとしたりしてしまいがちですが、愛犬はびっくりして飲み込んでしまったり、取られないように出してくれなくなることがあるので、やらないようにしましょう。
ふだんからしておくこと:ふだんから無理に奪わないようにする
愛犬がくわえたものを、口をこじ開けて取るなどを繰り返すと、飼い主さんへの不信感が募ります。取りたいときは、おやつやおもちゃを与えて交換できるようにし、ふだんから無理に奪わないことを心がけましょう。
ふだんからしておくこと:「出して」の指示しつけを教えておく
愛犬がくわえているものを自らの口を開けて出す指示しつけ「出して」を教えておきましょう。遊び感覚で楽しく教えますが、拾い食いしたときは厳しい口調で言うことで、「マズイ!」と思って出してくれることがあります。
1:おもちゃを2つ用意して愛犬に1つ渡す
愛犬が口にくわえやすく、同じくらい気に入っているおもちゃを2つ用意しましょう。
1つは愛犬の目の前で振ってから投げて追わせ、おもちゃを口にくわえるまで待ちます。
2:もう1つのおもちゃを揺らし、「出して」の指示をする
もう1つのおもちゃを愛犬に見せて振ります。愛犬は飼い主さんが持っているおもちゃの方が欲しくなり、口にくわえているおもちゃを離すので、その瞬間に楽しく「出して」と言ってからおもちゃを投げましょう。
3:投げたおもちゃを追わせて落としたおもちゃを回収する
投げたおもちゃを愛犬が追っている間に、愛犬が落としたおもちゃをゆっくり回収しましょう。このとき、愛犬が飼い主さんの方に戻ってきてしまう場合は、おもちゃを投げるときに、より遠くへ投げてください。
4:拾ったおもちゃを揺らして誘う
拾ったおもちゃを愛犬に見せたら揺らして誘い、2~4の順番で2つのおもちゃを入れ替えながら「出して」の指示を教えましょう。
繰り返すと、「出して=口から離す」ことを覚えていきます。
万が一愛犬が拾い食いをしてしまった場合は、飼い主さんが無理に出そうとしたり、様子をみたりするのではなく、すぐに獣医師に相談しましょう。
お話を伺った先生/藤本聖香先生(英国APDT認定ペットドッグトレーナー 獣医師)
参考・写真/「いぬのきもち」2024年7月号『命にかかわるのに手強い困りごと 拾い食いなんとかやめさせたい!』
文/山村晴美
※記事と写真に関連性がない場合もあります。