しっぽがない、または短いしっぽが特徴的なコーギー。しかし、ほとんどのコーギーは生まれつきしっぽがないのではなく、断尾によってなくなっています。今回は、コーギーの断尾の理由や時期、方法を解説します。断尾に関する各国のスタンスもあわせてご紹介します。
そもそもコーギーってどんな犬種?
コーギーとは
「コーギー」の愛称で親しまれている「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」は、イギリスにあるウェルシュのペンブロークシャー地方で、牧羊犬として活躍していたとされる犬種です。ヘンリー2世やエリザベス女王など、イギリスの王族のなかで代々愛されてきた犬種としても知られています。
見た目の特徴
体高は25~30cm、体重は9~12kgが標準的なコーギーの大きさです。「胴長短足」の容姿が印象的ですが、この体型になったのは、牧羊犬として牛などを追うときに蹴られないためだといわれています。毛色はレッド、セーブル、フォーン、ブラック&タンなどバラエティに富んでいるのも魅力のひとつです。
そして、コーギーの見た目の大きな特徴として「しっぽのないお尻」が挙げられます。しかし、コーギーは生まれつきしっぽがないのではありません。コーギーの多くは、しっぽを切り落とされているのをご存じでしょうか。
コーギーが断尾されている理由とは?
コーギーのしっぽが切られるようになったのには、以下のような理由があるとされています。
牧羊犬として働くため
その昔、コーギーは牛追いの牧羊犬として飼育されていました。この牛を追うという仕事の性質上、長いしっぽを牛に踏まれて転んだり、転んだところをほかの牛に踏みつぶされたりしないために断尾されていたと考えられています。
税金対策のため
イギリスでは、しっぽのついた犬に対して課税していた時期がありました。そのため、節税の目的で多くの犬種が断尾の対象となったといわれています。1796年にこの税制度は廃止されましたが、コーギーの断尾の慣習は残っているのです。
狂犬病が予防できると信じられていた
古くヨーロッパでは、「断尾が狂犬病を予防し、背中の筋力を強めて瞬発力を増加させ、怪我を防ぐ」と信じられていたそうです。このことも、コーギーの断尾が習慣化したことに関係していると考えられています。
コーギーの断尾の時期や方法
このように、コーギーの断尾の理由にはさまざまな歴史的背景が関係していることがわかりました。では、いつ、どのような方法で断尾は行われるのでしょうか。
断尾の時期
一般的に、生後2~5日程度の子犬に対して、ブリーダーや獣医師が麻酔なしの状態で断尾を行います。麻酔をしない理由としては、「生後間もない子犬は知覚が発達していないため、痛みに鈍感である」という考えを前提にしているためです。
一方、痛覚が発達するとされる生後8日を過ぎて断尾を行う場合は、手術による苦痛に対する配慮から、子犬が生後8週目になるまで待って全身麻酔下で断尾の手術が行われます。
断尾の方法
・「切断法」
メスやはさみを使って外科的にしっぽを切り落とす方法です。獣医師が行う場合は、この方法がとられることになります。
断尾に対する各国のスタンス
断尾禁止のイギリスでは絶滅危機!?
イギリスでは、断尾禁止によるコーギーのルックスの変化を懸念したブリーダーが繁殖をやめたことなどが原因で、純血のコーギーの登録数が激減しました。そこで注目されているのが、生まれつきしっぽのない「ナチュラル・ボブ」のコーギーです。断尾を行わなくてもしっぽのないコーギーが生まれれば、登録数が回復するのではと、「ナチュラル・ボブ」の研究が進められているそうです。
日本の犬種標準と断尾
犬種標準では、コーギーのしっぽについて「断尾、または5.1cmまで」と定められていますが、現在の日本では、断尾をするかしないかは任意です。
コーギーの可愛いしっぽ(お尻)の画像集
最後にコーギーの可愛いしっぽ(お尻)の画像で癒されましょう!
しろくまさんとお尻対決をしているコーギーちゃん。まん丸シルエットが可愛いですね♪
こちらのコーギーちゃんのお尻もキレイにハート形になっていますね♡
ぷりっとしたお尻とビヨーンと伸びた足が可愛い1枚です!
しっぽがあってもなくてもコーギーは魅力あふれる犬種です。コーギーの飼育を検討している人は、しっぽに関する知識のほかに、基本的な飼育方法やしつけについてもしっかり勉強しましょう!
参考/「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの特徴・性格・飼い方』(監修:ヤマザキ学園大学 講師 危機管理学修士 福山貴昭先生)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。