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【獣医師監修】犬にチョコレートは絶対にNG。致死量、食べてしまったときの症状と対処方法

犬にチョコレートを与えてはいけません。犬がチョコレートを食べて死亡した例も報告されています。一命を取り留めても後遺症をもたらす可能性もあるので、犬がチョコレートを誤食しないよう細心の注意が必要です。チョコレートで中毒を起こした場合の症状、致死量、対処法について紹介します。

佐野 忠士 先生

犬はチョコレートを食べてはいけない。命の危険あり

さまざまなチョコレート
Say-Cheese/gettyimages
近年の健康志向で、チョコレートの健康効果に注目が集まり、カカオの含有量の高いチョコレートなども販売されていますね。しかし、人間にとってヘルシーな食べ物が、イヌのとっても同じ効果が期待できるとは限りません。
犬にとってチョコレートは中毒症状を引き起こす危険な食べ物なので、絶対に与えてはいけません。

チョコレートには犬に重篤な中毒症状を引き起こす「テオブロミン」という成分が含まれています。チョコレートの甘さや脂肪分は、犬にとって「たまらない」口触りのようですから、愛犬の目に触れるようなところにチョコレートを置いておいておかないよう、くれぐれも注意が必要です。
チョコレートだけでなく、チョコレートが入っているケーキやクッキー、ココアなども同様に犬の口に入らないよう注意してください。

犬がチョコを食べてはいけない理由|重篤な中毒を引き起こし、最悪な場合は死亡例も

毛足の長いグレーの絨毯に横になり、右目をぎょろつかせている茶色のブルドッグ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
チョコレートに含まれるどんな成分が犬に危険なのでしょうか。犬の体にダメージを与えるチョコレートの成分を紹介するとともに、犬が食べると危険な量を紹介します。

犬は「テオブロミン」を分解する能力が低い

チョコレートの原料であるカカオ豆には、「テオブロミン」という成分が含まれています。
テオブロミンは、心臓の働きを促進して血管を広げ、一部の筋肉エネルギーをアップさせる作用があるといわれています。しかし多量に摂取すると、嘔吐や痙攣、発熱、心臓発作を引き起こす原因にも。これらの悪影響は、人間だけでなく犬や猫を含む動物にもあてはまり、最悪の場合は死亡する可能性もあります。

人間の場合はテオブロミンを体内で素早く処理できるため、それほど心配はありませんが、犬はテオブロミンを処理するのが苦手です。そのため体内に長く留まって、中毒症状を引き起こす可能性が高いのです。

世の中には、さまざまなチョコレートやカカオの加工商品があるので、代表的なものについての危険性を紹介しておきます。
2008年に独立行政法人国民センターの調査結果「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」によると、一般的に市販されているミルクチョコレートには、100gあたり220mg〜270mgのテオブロミンが含まれていて、ビターチョコレートやブラックチョコレートの場合は、当然、それよりもっと多いテオブロミンが含まれています。健康効果をうたった高カカオチョコレートのなかには1000mg以上のものもあります。

また、カカオ豆の胚乳部を「カカオニブ」、カカオニブをすりつぶしてペースト状にしたものを「カカオマス」といいますが、どちらにもテオブロミンが含まれているので注意してください。

ちなみにホワイトチョコレートは、カカオの脂肪分だけ使用されているのでテオブロミンは含まれていません。とはいえ原料のココアバターは油脂なので、過剰摂取は禁物です。

チョコアイス、チョコチップが含まれたパンやクッキーなどチョコの加工品は、使用しているチョコの種類や量を明記していないことが多いですが、原材料に「チョコレート」「カカオ」「カカオマス」などの表示があったら与えないようにしましょう。

独立行政法人 国民生活センター 「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」

危険な量の目安

体重1kgあたり20mg〜100mgを摂取すると中毒症状が起こるといわれ、1kgあたり250mg以上で死にいたるといわれています。

チョコレートの種類によってテオブロミンの含有量は異なります。一般的なミルクチョコレート(1枚70g)を例に、犬がチョコレート誤食した場合の危険量目安を下記に示しておきます。

犬の体重目安1日あたりの摂取可能目安
小型(2~5kg)16g~40g(1/5枚~1/2枚)
中型(6~15kg)48g~120g(3/4枚~2枚)
大型(20~50kg)160g~1000mg(2.5枚~15枚)

中毒・アレルギーが考えられる症状|嘔吐、下痢、動悸、興奮、昏睡、痙攣など

犬がチョコレートを食べた場合、次のような中毒症状が見られます。

◆初期症状

  • 口が渇き、水を欲しがる

  • 嘔吐、下痢

  • 尿を失禁する

  • 落ち着きがなくなる


◆神経障害を含む重篤な症状

  • 胸を触るとバクバクしている

  • 喘ぎ呼吸をする

  • 頻尿、多尿になる

  • 脈の異常(頻脈、不整脈、徐脈)

  • ふらつく


◆危険な症状

  • 高熱が出る

  • 痙攣する、硬直する

  • 失神する

  • 昏睡状態になる

症状が出るまでの時間

チョコレートが長く体内に留まると不調をきたすので、犬がチョコレートを食べてすぐ中毒症状が見られるわけではありません。犬の体重や体調、食べた量にもよりますが、食後6時間〜12時間くらいで症状が現れるようです。


先述した危険な量の目安はあくまでも一つの目安です。少量でも食べてしまった(食べたことが疑われる)場合には、必ずかかりつけの獣医師に連絡してすぐに対応してください。

犬がチョコを食べてしまった場合の対処方法

散歩する犬
いぬのきもち写真投稿ギャラリー
愛犬がチョコレートを食べてしまったら、症状がでていなくてもすぐに病院に連れて行きましょう。診察を受ける際に準備しておきたいこと、病院での処置について紹介します。

自己流の対処は禁物。すぐ病院へ

犬がチョコレートを食べてしまったとき、家でできる応急処置はありません。食べたものを素人が吐かせようとするのは大変危険です。催吐処置は医療行為ですから、必ず病院で適切な処置を受けてください。
なお、病院に行く際には、以下の内容をメモしていくと診察及び処置がスムーズに進みます。

愛犬が食べたチョコレートの種類と量
食べてからの経過時間
現在の症状

なんらかの症状が見られる場合は、その様子を動画に収めて医師に見せることをおすすめします。

病院での治療方法

動物病院では、飼い主から話を聞いたうえで、以下のような検査・処置を行います。

◆聴診、血液検査、心電図
心拍数や脈の状態、内臓にダメージを与えていないかをチェックします。

◆催吐処置
チョコレートを食べて1時間以内なら、胃の中身を吐かせる「催吐処置」を行う場合があります。犬が嘔吐を催しやすい薬剤を使い、犬の体に負担をかけないよう注意しながら行われます。
なお、大量のチョコレートを食べてしまった場合などの緊急事態では、全身麻酔をかけて胃洗浄を行うこともあります。

◆点滴・投薬
症状を改善するために、点滴や経口での投薬が必要になるケースもあります。

犬のチョコレート中毒、後遺症は残る?

人間はテオブロミンの大量摂取によって肝臓に障害が残ることがありますが、犬にも同様の後遺症が見られたという報告もあるようです。

犬のチョコの誤食を防ぐ方法

窓の桟に頭をもたれかけて横になり、すやすやと眠っている茶色の柴犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬は人間が美味しそうに食べているものに興味を示します。チョコレートの甘い香りに誘われて、食べたがる犬もいるでしょう。
飼い主が与えなくても、テーブルの上など犬の手が届きそうなところに置いてあれば、飼い主が目を離した隙に愛犬が口にしてしまうかもしれません。

愛犬の目に触れる場所、匂いがわかる場所にチョコレートを置かないよう、くれぐれも注意しましょう。チョコレートが材料に入っているケーキやクッキー、アイスクリーム、カカオが原料のココアにも同様の注意が必要です。

犬にチョコレートは絶対にダメ。チョコレートケーキやココアもNG!

最悪の場合、愛犬が命を落としかねないチョコレート。愛犬の誤食は、飼い主の責任です。「少しなら大丈夫では」と安易に考えてはいけません。愛犬の健康と命を守るために、チョコレートやチョコレートの入ったお菓子、ココアなどの管理はしっかりと行いましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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