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獣医師監修|ボーダー・コリーは病気にかかりやすい?原因や対策とは
ボーダー・コリーってどんな犬種?
ボーダー・コリーの歴史
その後、イギリス在来の犬種と交配を重ねる中で、イギリスの羊毛生産を支える重要な役割を果たす牧羊犬となりました。
ボーダー・コリーの見た目の特徴
被毛はスムースコートとラフコート(ロングコート)の2種類があり、毛色はトライカラーやブラック&ホワイト、ブルーマールなどさまざまな色が認められています。基本的な目の色はブラウンですが、毛色によってはブルーになることも。
ボーダー・コリーの性格の特徴
とはいえ、ボーダー・コリーは運動能力や学習能力、集中力がとても高いとされているので、しつけによってよい方に伸ばしてあげれば、すばらしいパートナーとなってくれるでしょう。
※犬の性格には個体差があります。
ボーダー・コリーがかかりやすい病気【目】
コリーアイ異常(コリー眼異常)
《概要》
ボーダー・コリーなど、コリー系の犬種に多く見られる遺伝性の目の病気です。
《主な原因》
遺伝的な要因によって、脈絡膜(みゃくらくまく)という眼底を包む組織に欠損や薄い部分が発生したり、網膜内に過剰な血管新生が発生したりすることで、さまざまな症状があらわれるようになります。
《主な症状》
症状は個体差が大きく、生涯無症状の場合もあれば、重症化し失明してしまうケースもあります。視力障害があらわれると、物によくぶつかる、鼻で探りながら歩くといった症状が見られるので注意しましょう。
《主な治療・ケア方法》
決定的な治療法はありませんが、1才以降の場合は無症状で、治療を必要としないケースも珍しくはありません。
ただし、1才未満の子犬期に発症すると進行しやすいため、子犬のうちに眼底検査を行い、疑われる所見がある場合は、獣医師の指示に従いながら定期的に経過観察をすることが大切です。
《主な予防法》
決定的な予防法は今のところありません。
進行性網膜萎縮
《概要》
目の奥にある光や映像を感じ取る網膜が変性・萎縮することで、正常に機能しなくなる病気です。
《主な原因》
遺伝が原因と考えられています。
《主な症状》
初期は夕方~夜の時間帯に目が見えにくくなる「夜盲」の症状が見られます。暗い場所を怖がったり、音に対して敏感になったり、物にぶつかったりするようになったらすぐに受診しましょう。
この病気は徐々に進行するため、最終的には日中も目が見えなくなり失明します。
なお、白内障を併発するケースもあり、この場合、老齢性の白内障より早い段階で発症することが多いようです。
《主な治療・ケア方法》
今のところ有効な治療法はありませんが、遺伝子検査によって発症する可能性について確認することはできます。
《主な予防法》
決定的な予防法は今のところありません。
ボーダー・コリーがかかりやすい病気【関節】
肘関節異形性
《概要》
前足の肘関節がうまく連結せず、その周辺の骨や軟骨に炎症を引き起こす病気です。
《主な原因》
主な原因は遺伝ですが、肥満や外傷などが原因となることもあるとされています。
《主な症状》
初期症状は生後4~7ヶ月頃に前足の歩き方の異常が見られると考えられていますが、軽症で気づくことが難しいケースも少なくありません。この病気は早期発見が治療のカギを握るので、5ヶ月を過ぎたらCTなどの精密検査を受けることを検討してみましょう。
症状が悪化すると関節炎を起こし、痛みから前足を上げて歩くようになったり、肘を曲げるのを嫌がったりするようになります。また、肘関節の腫れなどの症状が見られることも。
《主な治療・ケア方法》
軽症の場合は、鎮痛剤などを用いた内科療法と並行して、運動制限や体重のコントロールが行われることが多いです。しかし、内科療法によって痛みをコントロールできない場合は、年齢や症状などの状況を総合的に判断して、外科手術が行われるケースもあります。
《主な予防法》
関節に負担をかけないように適正体重を維持し、成長期に過度な運動をさせないことなどが予防につながるでしょう。
股関節形成不全
《概要》
股関節が緩み、炎症や痛みがあらわれる病気です。本来、犬の股関節は骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)というくぼみに、大腿骨頭がしっかりと入り込んでいる構造をしていますが、それがしっかりと入り込まなくなることで発症します。
《主な原因》
ほとんどが遺伝的要因ですが、肥満も原因のひとつと考えられています。
《主な症状》
先天的に発症するケースが多いため、生後4ヶ月~1才くらいの子犬期に多く見られる病気です。主な症状は、階段やジャンプを嫌がる、お尻を振る・腰をクネクネさせるなど、歩き方に異変が見られるほか、後ろ足を引きずるようになることも。
ただし、軽度の場合はこのような症状が出ないことも珍しくはないので、骨の成長が完成する1才くらいまでの間にX線検査を受け、早期発見・治療に役立てることが大切です。
《主な治療・ケア方法》
症状が軽い場合は安静にし、体重コントロールをしながら鎮痛薬・抗炎症薬などの内科治療で痛みを和らげて悪化を防ぎます。ただし、運動機能に明らかな障害が見られるなど、重度の場合は外科手術が必要となることもあります。
《主な予防法》
適正体重の維持を心がけましょう。
ボーダー・コリーがかかりやすい病気【その他】
セロイドリポフスチン症(CL症)
《概要》
進行性の運動障害や知能障害、視力障害などの症状が見られる神経変性疾患です。
《主な原因》
先天的な原因で、「セロイドリポフスチン」と呼ばれる脳内の老廃物を分解する酵素に異常が起こり、神経細胞が侵され発症します。1才~2才くらいの間に発症するケースが多いとされています。
《主な症状》
突然おびえるようになる、攻撃的になる、歩き方がフラフラしている、トイレの場所を忘れてしまう、段差を踏み外すなどの行動異常が見られるようになります。
一度症状が出ると急激に進行し、多くの場合、2才半~3才半までには死亡してしまう病気です。
《主な治療・ケア方法》
遺伝子検査によって診断できますが、有効な治療法は確立されていません。
《主な予防法》
決定的な予防法は今のところありません。
グレーコリー症候群(周期性好中球減少症)
《概要》
被毛の色がグレー系のボーダー・コリーに見られる先天性の血液の病気です。
《主な原因》
先天的な原因によって、白血球のひとつである好中球が減少することで発症します。
《主な症状》
子犬のうちに発症し、発熱、結膜炎、呼吸不全、下痢、食欲減退、関節痛などの症状があらわれ、最終的には敗血症や肺炎などの感染症を起こして死亡します。少しでも異常が見られたら、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
《主な治療・ケア方法》
今のところ決定的な治療法はなく、症状ごとに対症療法を行うのが一般的です。
《主な予防法》
決定的な予防法は今のところありません。
早期発見が重要!子犬のうちから定期的に検査を受けよう
「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『ボーダー・コリーの平均寿命、かかりやすい病気の前兆を獣医師が解説』(監修:いぬのきもち相談室獣医師)
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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