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【獣医師監修】犬の安楽死について考える
もしある日、獣医師から愛犬の安楽死の選択を提案をされたらどうすればいいのだろうか?一つの大切な命に対して、どれが正解か不正解かなどということはいえません。今回は、飼い主として「安楽死」にどう向き合えばよいのか、いぬのきもち相談室獣医師からのアドバイスをご紹介します。
安楽死で犬が苦しむことはない

安楽死とは、犬が苦しみを感じないようあらかじめ意識を無くす薬を投与し、その後体(心臓)の機能を止める薬を投与して速やかに死を迎えさせる一連の処置のことを指します。
犬が苦痛を感じないよう、眠るように死を迎えられるように細やかな配慮をしながら実施されるので、安楽死に際して犬自身が苦しむ事は通常ありません。
犬の安楽死はどんな状況で提案されるのですか?

現代の獣医療では完治しない病気や苦痛を取り除くことができない病気、症状も多いですが「いかに体が楽な状態で、お家で穏やかに過ごす時間を長く作ってあげられるか」という事が、治療の大切な役割と大きな目的となります。
獣医師による安楽死の提案は、治療を続けたとしても、そう遠くないうちに生きていく事が犬にとって大きな苦痛を伴うと予想される状況やすでにその辛い状況に至っていて、苦痛を取り除く手立てがもはや無いと判断される場合になされます。
例えば、投薬では取り除くことのできない激しい痛みや不安感、激しいけいれん発作の継続や頻発、呼吸困難で非常に苦しんでいる状況などが挙げられます。
安楽死の提案や決断を家族はどう受け止めたらよいのですか?

安楽死の提案や説明は、愛犬に何もしてあげられない絶望感や、見放されたような悲しいお気持ちにもなるかとお察しします。
犬の状態を「治療によってわずかでも回復し、家で大好きな家族と少しでも穏やかな時間を過ごせない可能性が極めて高い」「治療で取り除けない苦痛が大き過ぎて、家族と穏やかな時間を過ごすことが困難になる、もしくはすでにできない状況である」と獣医師が判断した上で、なすすべなくその状況を受け入れるしか手立てがない犬自身と飼い主様方をまず案じているという事と、今後、飼い主様が見ていられないほど愛犬が辛い状況になってしまう可能性にも配慮しての提案と受け止めていただければと思います。
決して治療を諦め、安楽死を絶対に受け入れるべきということではありません。どうしたら愛犬の苦痛を減らせるか、最後まで家族と一緒に穏やかにいられるか、安楽死が良いか悪いかではなく考えるきっかけにしていただけたらと思います。
愛犬が命にかかわる病気になったら…「延命治療」の考え方を獣医師が解説
監修:いぬのきもち獣医師相談室
文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿いただいたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
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