飼い主さんがよかれと思ってしている日々の愛犬のお世話が、じつはかえってよくないということがあるようです。この記事では、人の感覚ではいいと思うことでも、犬には悪影響を及ぼす可能性のある「NG習慣」8つを紹介します。
人の感覚でやってはダメ! 犬にとってのNG習慣8つ
①愛犬と外にお散歩に行って帰ってくるたびに、シャンプーや石鹸で足を洗う
皮膚を清潔に保つことは大切ではありますが、家に帰ってくるたびに石鹸などで足を洗うのはやりすぎたお世話になってしまいます。過度に洗うことで皮膚の潤いを取りすぎてしまい、皮膚のバリア機能の低下から皮膚病のきっかけになる恐れがあります。
ふだんは水洗いのみ、もしくはペット用のウェットシートで汚れをふき取る程度でよいでしょう。
②清潔を保つために毎日シャンプーをする
獣医師に指示をされた場合を除き、健康な犬が毎日シャンプーをするのはやりすぎです。必要な皮脂が洗い流されて、さらに薄く繊細な皮膚を傷つけて皮膚病を起こすこともあります。
もし泥などで汚れているのなら、拭くかブラッシングで汚れを落としましょう。シャンプーは夏は2~3週間おき、冬なら月に1回ほどで充分です。
③毎日耳掃除をする
たとえ耳の汚れが気になっても、毎日綿棒で耳垢を取るのも犬にとってよくありません。耳の中を傷つけてしまったり、耳垢を押し込んでしまう可能性も。
毎日綿棒で耳掃除をするのではなく、耳のニオイや赤み、腫れなどがないかをチェックする程度にしてください。
④ニオイ対策として毎週肛門腺しぼりをする
毎週のように肛門腺のケアをすると、かえって肛門やその周辺に炎症を起こす恐れがあります。お手入れの頻度は、月に1~2回程度行えば充分です。
⑤食事は毎食きっちり時間を決めて与える
食事の時間を決めていると、その時間が近づいたときに待ちきれなくて、吠えるようになることがあります。犬のストレスにもなるので、食事の時間は不規則なほうがおすすめです。
⑥平日は散歩に行かないのに休日だけまとめて散歩する
「散歩は健康のためにいいから」と、たくさん行ってあげようと考える飼い主さんもいるかもしれません。しかし、休みの日だけ長時間の散歩で犬を連れ回し、疲れさせるという生活も、平日とは差がありすぎてよくありません。また、日ごろの運動不足になるだけでなく、脳に刺激を与えられません。
お散歩に行かないことは犬の成長や健康によくない影響を及ぼし、犬がストレスを溜める大きな原因となります。
犬にとっていいお散歩とは?
長い距離の散歩よりも、1日2回程度に分けた短い散歩のほうが、犬の脳に刺激を与えやすいです。ストレス発散のために、短い時間でもできれば毎日お散歩に出かけましょう。
ただし、体力がない子犬やシニア犬、体調の悪い犬、暑さに弱い犬などは、無理をさせずに、犬の体力や体調に合わせてお散歩の距離、コース、時間帯などを考えてあげてくださいね。
⑦飼い主さんと一緒に夜ふかしをする
愛犬の睡眠時間は足りていますか? 飼い主さんが夜ふかしをすると、愛犬も落ち着いて眠ることができません。とくにテレビの音が大きすぎたり、明るすぎたりする部屋は犬にとって落ち着かず、充分な睡眠をとりづらくなってしまいます。
睡眠時間が短いと免疫力の低下に…
免疫機能は眠っているときに活性化するもの。睡眠時間が不足した分だけ免疫力を低下させてしまうので、しっかりと寝かせてあげましょう。
⑧ガミガミ叱る
愛犬がイタズラしたときや飼い主さんの言うことを聞かないとき、ガミガミ叱っていませんか? 人の世界のルールは、犬にはわかりません。飼い主さんが大声で叱っても、犬には複雑な会話はわからないので、ただ恐怖でストレスを与えてしまうことになります。
精神的なストレスは免疫力の低下に…
大声で叱るなどして犬に精神的なストレスがかかると、自律神経のはたらきを乱れさせてしまうことに。その結果、免疫力が低下しやすくなってしまいます。
飼い主さんがよかれと思ったことを愛犬に対して頑張ってやりすぎてしまうと、愛犬の健康を害したり、困りごとに発展する可能性もあるかもしれません。
お世話を見直すことは愛犬のためにもなりますし、飼い主さんの負担も減らせます。愛犬と飼い主さんに無理がないか、神経質になりすぎていないかを考えて、お世話をするようにしてみましょう。
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真はアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」にご投稿いただいたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/sorami