愛犬が「てんかん」になったとき、飼い主さんがとるべき行動とは
イラスト/フジマツミキ
脳の神経になんらかの異常が起こり、けいれん発作が起こる「てんかん」。てんかんには、発作の原因が不明だったり、遺伝的な要因で起こる「特発性てんかん」と、脳腫瘍や脳炎など脳の病気が発作の原因になる「症候性てんかん」があり、体の一部や全身がけいれんを起こすのがおもな症状。
もし愛犬がてんかんと診断されたら、飼い主さんはどんな行動で対応したらよいのでしょうか?
てんかんの診断方法・治療方法は?
まず、血液検査や尿検査、心電図検査などから、低血糖、中毒、内臓の病気など、てんかん以外の病気の可能性を精査します。脳神経の検査で脳に明らかな病気がないかなども調べて、総合的に診断を行います。発作が初めて起きた年齢や、発作の回数も判断材料です。CTやMRIの画像診断を行うことも。
てんかんの治療は、基本的に抗てんかん薬の服用です。生涯服薬を続けて発作の回数を減らし、愛犬の体への負担を軽減することを目指します。
イラスト/フジマツミキ
発作が起きたとき、何をすればいい?
愛犬が突然発作を起こしたら、あわててしまうのは当然です。しかし、発作の継続時間が命にかかわることもあるため、経過時間についてはできる限り確認を。また、激しい発作で体が移動する場合もあるため、落下すると危険なものや頭にぶつかりそうなものを片づけ、愛犬の安全を確保しましょう。もしできれば、発作中の動画を撮影しておくと診察に役立ちます。
発作中に愛犬にしてはいけないことは?
全身性の発作中の犬は、意識がないと考えられており、手を出すと噛まれることがあります。また、倒れた犬の体を起こすと、発作中に出したヨダレを誤飲して肺炎にかかることも。むやみに触れたり抱いたりするのは避けて。ただ、発作が5分以上続き、発作中に動物病院へ行く必要がある場合は、横向きの姿勢を保つように抱えて運びましょう。また、音や光が発作を助長することもあるため、大きな音を立てたり、室内を急に明るくしないで。
特発性てんかんになったら、一生薬を飲み続けるの?
抗てんかん薬を服用する目的は、発作を減らすことです。服薬により発作の回数が減り、途中で薬をやめられたケースがあったとしても、かなりまれです。基本的に、服薬治療は生涯続きます。自己判断で薬の量を減らしたり、やめたりすると、以前より強い発作が起きる危険もあります。かかりつけ医の指示に従い、薬を飲ませ続けましょう。
いかがでしたか。愛犬が突然けいれん発作を起こしたら、飼い主さんもあわててしまうものですが、冷静に正しい対応をすることで、二次的なケガや命にかかわる危機から救うこともできるはずです。
参考/「いぬのきもち」2020年3月号『犬の現代病ファイル てんかん』(監修:中村篤史先生 TRVA(一般社団法人 東京城南地域獣医療推進協会)夜間救急動物医療センター院長)
イラスト/フジマツミキ
文/サトウ