毛をかき分けたり直接触れたりしながらおこなうブラッシングは、愛犬の病気を発見することが多いシーンのひとつです。今回は、飼い主さんがブラッシング中に病気を発見した実体験を獣医師の石田陽子先生の解説とともにご紹介します!
エピソード1:血豆だと思ったら…まさかの〇〇だった‼
イラスト/河南好美
「愛犬と山に出かけた翌日のこと。いつものようにブラッシングをしていたら、愛犬の体に直径4㎜程の血豆を発見。原因もわからないまま、心配になり動物病院を受診したところ、なんと血豆ではなく、血を吸って大きくなったマダニといわれてびっくり! 動物病院できれいにとってもらいました」
獣医師より
マダニは飼い主さんが無理に取ろうとすると、あごの部分が犬の皮膚に残って化膿することもあるので、今回のケースのように動物病院で処置してもらうのがベストです。寄生されないよう、忘れずに予防薬を使って予防しましょう。
エピソード2:愛犬のへその出っ張り、じつは〇〇だった!
イラスト/河南好美
「愛犬をブラッシング中、へそに直径1㎝程のやわらかい出来物を発見しました。何かわからなかったので、すぐに動物病院へ相談に行くと、へその緒がうまく閉じずに皮下脂肪が飛び出してしまうさいヘルニアと判明しました! 今のところ悪化はしていないので様子を見ています。」
獣医師より
さいヘルニアとは、へその緒の穴が収縮せずに、穴に脂肪などの組織がはさまる状態のことです。今回のケースでは様子を見ていますが、穴が大きいと内臓の一部がはさまり壊死するなど重大な症状が出ることもあります。見つけたら手術が必要かどうか獣医師に相談しましょう。
エピソード3:脱毛を発見! 原因は〇〇だった!
イラスト/河南好美
「ブラッシングをしている最中、愛犬の背中にゴルフボール大ほどの脱毛を見つけました。いっしょに住む母がちょうど旅行で不在にしていたことが愛犬にとってストレスになり、背中をしきりになめて脱毛。炎症も起こしていたようです。」
獣医師より
じつはストレスによる脱毛は犬では多く見られます。脱毛のほかに、毛を食いちぎることでパサパサした状態になる、被毛や皮膚をなめ続けてなめこわしが見られるケースも多いです。
病気を見つける! オススメのブラッシング術
1.毛をかき分けて見やすいコームやピンブラシを使おう!
病気を発見するには、毛の表面だけでなく、かき分けて皮膚まで確認することが大切です。使うブラシは地肌までしっかりかき分けられるコームやピンブラシなどがオススメ。スリッカーを使う方もいますが、スリッカーを地肌に直接当てると皮膚を傷つけてしまうこともあるので避けましょう。
2.地肌までくまなく見るため、ドライヤーを併用しても!
毛が長い犬種や大型犬では、ブラシでかき分けながらチェックするのは大変ですよね。ドライヤーの風を当てながらとかすと、皮膚のムレも解消でき、地肌までしっかり見られます。愛犬がドライヤー好きなら試してみて!
みなさんもいつものブラッシングを健康チェックの時間と思い行うと、病気の早期発見につながるかもしれません! 愛犬の健康を守るため、ぜひ習慣にしてくださいね。
参考/いぬのきもち2020年10月号「私たち“お手入れ”でこんな病気に気づけました!」(監修:石田ようこ犬の猫の歯科クリニック院長 石田陽子先生)
イラスト/河南好美
文/melanie