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将来は自宅で簡単に”犬の遺伝子検査”ができる!? 獣医療の未来を大胆予想!

さまざまな研究により、「太古の時代から人は犬とともに暮らしてきた」といわれていますが、ここ数十年の科学の進化により、犬と飼い主さんの生活環境は大きく変化しました。

とくに医療・健康面でも変化は著しく、犬の平均寿命もここ10年程、右肩上がりに延びています。

今回は、「医療・健康面」での進化にスポットを当てて、現在の状況を整理しながら、将来の獣医療や健康についてのサポートがどうなるか、獣医師の協力のもと大胆予想してみました。

さっそく、私たちと愛犬との未来の暮らしを覗いてみましょう。
イラスト/北田哲也

「犬の遺伝子検査」の現在と未来

イラスト/北田哲也

■現在の遺伝子検査

ひと昔前と比べて、遺伝子検査で防げる病が増えています。

たとえば、「歯周病」は症状が進めば犬の腎臓疾患・心臓疾患の誘因になることが分かっていましたが、さらにどんな犬が「歯周病」になりやすいか近年明らかになりました。
「グラエ菌C型」という細菌を保有している犬が、重症の歯周病になるリスクが高いこと判明したのですが、この「グラエ菌」は遺伝子検査で検出し、除菌することが可能。

日常的な愛犬のデンタルケアとあわせて遺伝子検査を行い、必要に応じて除菌することで、結果的に僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべん へいさ ふぜんしょう)といった心臓疾患を予防することが可能になってきているのです。

■未来の遺伝子検査

遺伝子検査は、従来専門施設にサンプルを送る必要があり、確定診断が出るまでに時間がかかるものでした。しかし2017年に、片手で持ち運べるほど小型・軽量の「モバイル遺伝子検査機」の開発に成功したようです。

これは、人の遺伝子検査の話ですが、将来的には獣医療においても身近な動物病院や自宅など手軽に遺伝子検査を行えるようになることが期待されます。検査結果からなりやすい病気の傾向などもわかるので、スマホで手軽に実施できるようになれば、予防医療の一躍を担うことは間違いなさそうです。

「犬の感染症予防ワクチン」の現在と未来

イラスト/北田哲也

■現在の感染症予防ワクチン

愛犬を感染症のリスクから守るためのワクチン。かつては、成犬になってから、狂犬病のワクチンと狂犬病以外の感染症の混合ワクチンを毎年1回接種するのが主流でした。
しかし動物病院内で簡単にできるコアワクチンの抗体検査が実用化されたことにより、抗体が低下していない犬には接種を見送るなど、一頭一頭に合わせたワクチン接種が可能になりつつあります。

■未来の感染症予防ワクチン

未来では、抗体検査の結果に応じたワクチン接種が普及するだけでなく、ワクチンの投与方法の多様化など、その他の部分も「オーダーメイド」が可能になりそうです。

現在のワクチンは針を使った注射が主流ですが、鼻に滴下する経鼻ワクチンも近年登場しています。未来は、人ですでに開発されている「電流を使う痛くない予防接種」も獣医療に取り入れられるかもしれません。

また、アレルギーなど副作用の心配が少なく、より免疫力を高める効果が高いペプチドを用いたワクチンや、従来のワクチンよりも免疫の持続期間が長くなる、DNAを用いたワクチンなど、次世代のワクチンが開発される可能性も期待されます。

ドッグフードの現在と未来

イラスト/北田哲也

■現在のドッグフード

過去には、犬に専用の食事を与えるという考えがなく飼い主さんの食事の残り物を与えていた時代や、人が口にしない食材を使ってドッグフードが作られていた時代もありましたが、現在は良質な原材料を使ったドッグフードが作られています。

子犬用、成犬用、シニア用といった年齢にあわせたフードや、肥満の犬、関節ケアが必要な犬といった健康状態にあわせた専用のフードが作られるように。それぞれの犬の状態に応じて、食事で必要な栄養素を補うことが可能になってきました。

■未来のドッグフード

「個々の犬に応じてフードが細分化される流れはますます加速するでしょう」と、獣医師の荒井先生。将来的には、より詳細な愛犬の情報をモバイル端末に入力すると、愛犬専用に調合された多機能なフードが届けられるようになるかもしれません。

その他 未来の獣医療について

イラスト/北田哲也

全国の獣医療情報がビッグデータ化……!?

「全国の動物病院での症例や治療の情報が一本化され、ビッグデータ化されるといいなと思います」と荒井先生。全国のデータを得ることで、病気が流行する場所や時期、なりやすい犬の特徴などが見えてきて、予防医療にも役立てられそうです。

遠隔医療でどこにいても、「ゴッドハンド」の手術が受けられる!?

人の医療でも話題になっている、手術支援ロボット。将来的に獣医療でも普及し、より進歩すれば「ゴッドハンド」とも呼べるような技術力の高い獣医師がロボットを操作し、遠方の犬でも難しい手術が受けられるようになるでしょう。病気から救われる犬が一頭でも増えるようになるといいですね。



※本記事の情報は、2017年6月号雑誌「いぬのきもち」記事掲載時の情報です。

参考/「いぬのきもち」2017年6月号『過去・現在から見えてきた 犬との未来大予想』(監修:獣医学博士・荒井延明先生)
イラスト/北田哲也
文/ichi
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