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仕事で忙しい、面倒で…犬の散歩に毎日行けない飼い主のホンネ 散歩不足のリスクも解説
犬を飼っていると散歩に行くのは大切なことですが、散歩について飼主さんの本音と実態を聞きました。
愛犬の散歩に毎日行く飼い主さんは約8割! 2割は毎日は行けていない状況に
今回いぬのきもちWEB MAGAZINEでは、犬の飼い主さん319名に「天気が悪い日などを除き、基本的に毎日犬の散歩に行ってあげているか」を尋ねるアンケート調査を実施。その結果、約8割の飼い主さんは基本的に毎日散歩に行っていると明らかに。
その一方で、約2割の人は毎日は散歩に行けていないようです。どのような事情があるのか聞いてみると、次のような声が寄せられました。
仕事が忙しくて…
- 「帰りが遅く3頭いるので順番に行くと夜中になる場合がある。その時は1頭で精一杯」
- 「仕事の為、毎日は難しいです。そのかわり、毎日、廊下で、オモチャ遊びで、走らせています」
- 「仕事で帰りが遅くなると、家事に追われて行けない事が度々ある」
- 「仕事が不規則なため」
- 「共働きで遅くなる時があり、その時はお散歩に行かず、室内でたくさん一緒に遊ぶようにしてます」
愛犬が怖がりだったり、お散歩嫌いなため…
- 「ウチの愛犬は散歩嫌い!ドライブか抱っこでのお出かけしかしません」
- 「家から出ると、すぐに帰ろうとするから」
- 「元々暗かったり風が強いと怖がって歩かないので、天気がよく、風がない、暖かい時にしか連れ出さない」
- 「小型犬で、もともと散歩が好きではないため」
- 「短足のダックスで散歩もあまり好きそうではないし、汚れるのでその後が大変なので行かないです」
- 「愛犬が外を怖がり外に出すと動けなくなるため」
- 「時間がある夕方から夜にかけての時間になると、怖がって歩かない。なので庭で遊ぶ事が多いです」
- 「天気に関係なくリードの装着ができないため」
- 「家の近くは歩かないので抱っこになる。車でなければ公園に行けない(ペーパードライバーなので主人が居ないと公園に行けない)」
散歩に行くと病気やトラブルの影響があるコも
- 「ドクターストップだから(植物アレルギーだから)」
- 「1頭のコは、散歩に行くと必ず下痢をします。夏場はダニが必ずついてきます」
- 「皮膚が弱いため、あまり頻繁にお散歩しなくてよいと獣医の先生に言われてるため」
散歩に行かなくても、家で遊ばせている
- 「庭で遊ばせているから」
- 「室内で放し飼いにしているから」
- 「庭に広い人工芝とチップのドッグラン100坪ほどがある為、一日5回出して遊ばせているので散歩はなしです」
毎日散歩に行くのはちょっと…
- 「めんどくさいから」
- 「書くの恥ずかしいけどめんどくさい」
「犬の散歩を怠ると病気の引き金にも…」リスクを獣医師が解説
飼い主さんの仕事の都合や、犬の散歩嫌いなどの事情により、あまり散歩に行けていない人もいるようです。
しかし、散歩を怠ることは、犬にさまざまな影響を及ぼすことがあります。犬にとって散歩は、心身の健康を保つためにも重要な意味があるものです。また、飼い主さんが散歩をしてあげることは、お互いの絆にとっても大切なことです。
ここからは、犬の散歩を怠るリスクについて、いぬのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
運動不足による肥満で、あらゆる病気の引き金になることも
散歩を怠るリスクとして、まずは運動不足による肥満が懸念されます。肥満になると心臓に負担がかかったり、糖尿病になるリスクも高まったり、首周りについた脂肪が気管を圧迫することで呼吸がしにくくなる恐れも考えられます。
体重が重いと関節も痛めやすくなり、回復させることが難しくなってしまいます。また、歩かないでいると筋力がどんどん落ちてしまい、取り戻すにも時間がかかります。
ストレスから咬む、吠えるなどの問題行動を起こすことも
犬の問題行動として飼い主さんからの相談で多いのが、「咬む」「吠える」。飼い主さんの話を聞いていると、その多くが散歩をしておらず、犬がストレスを抱えている様子が伺えます。
犬がストレスを感じていると、「咬む」「吠える」のほかにも食糞や家の中の物を壊すなどのイタズラや、自分の手足の先をなめ続ける肢端舐性皮膚炎になり、さらに飼い主さんを悩ませることになる場合もあります。
社会性が身につかない
散歩に行くと、犬は外の世界のさまざまな刺激を感じます。車や電車の音、ほかの犬が残したニオイを嗅ぐこと、ほかの犬や知らない人との出会いなど、すべての刺激が脳を活性化させて、犬の社会性へとつながります。
散歩をしないと、犬の社会性が育ちません。小さな刺激にも敏感なコは警戒心が強く怯えるようになったり、見知らぬ人に吠えたり、雷などの音にパニックになってしまうなどの問題行動につながることがあります。
基本的な散歩の頻度・時間の目安は?
犬の散歩の適切な頻度と時間は、下記を目安にするとよいでしょう。
小型犬の場合
1日2回、1回あたり約15分程度、もしくは1日1回20~30分程度。
中型犬
1日2回、1回あたり約30分程度。
大型犬
1日2回、1回あたり約1時間程度。
もしも飼い主さんが忙しくて散歩に行けない場合は?
アンケートの回答にもあるように、飼い主さんの仕事や体調の都合などでなかなか散歩の時間がとれない場合もあると思います。
どうしても行けない日は無理をせずに、行けたときに少し長めで楽しい散歩をしてあげてください。ほかの対策としては、家族や友人、ペットシッターなど散歩に協力してくれる人をあらかじめ決めておくこともおすすめします。
愛犬が散歩を嫌がる理由について知ろう
犬が散歩に行きたがらないのには理由があります。たとえば、どこか体調が悪かったり、外で怖い思いをしたことがあるのかもしれません。
体調不良であれば治療を
ケガや体調不良のようであれば、まずは治療を優先させましょう。とくにシニア犬の場合、足腰の関節の痛みを抱えていたり、体力的に散歩がつらくなっていることも考えられます。犬の様子を見ながら、散歩の内容を見直してみましょう。
時間をかけて外の世界に慣れさせよう
外の世界に苦手意識を持っている場合、抱っこから始めてみて公園の土の上に座るだけにしてみるなど、時間をかけて徐々に慣らしていってください。ただし、「散歩を嫌がったら抱っこしてもらえた」と甘えにつながる場合もあるので、健康なコであれば嫌がっても少しずつ歩かせてみてもよいでしょう。
愛犬が首輪・リードを嫌がる場合の対処法
首輪やリードをつけるのを嫌がる犬の場合、引っ張られることに違和感があるコもいます。まずは家の中で首輪とリードをつけたまま過ごす練習から始めてみるとよいでしょう。
その場合、細くて軽い紐のようなものからでもかまいません。飼い主さんはリードを持たずに、床に垂らした状態でOKです。そのとき、床に垂れたリードが犬の足に引っかかってケガをしないように注意してあげてください。
リードをつけたままでごはんを食べてみたり、遊んでみたり、寝てみたりなど、愛犬をふだん通りに過ごさせます。気にせず過ごせたら褒めてあげて、おやつを与えてみてもよいでしょう。
慣れてきたら、今度は家の中で飼い主さんがリードを持って歩く練習をしてみてください。
首輪で引っ張られるのが嫌な場合はハーネスに
首輪にリードをつけて引っ張られると苦しいなど、犬なりに理由があることもあるでしょう。その場合は、首輪をハーネス(胴輪)に変えてみると首への負担も減りますし、犬に引っ張られても飼い主さん側もコントロールしやすくなると思います。
愛犬が皮膚病などを患っている場合
アンケートの回答でも「愛犬の皮膚が弱いから」といったものがありましたが、その場合はかかりつけの獣医師と相談するようにしましょう。症状によっては、草むらは避けて芝生や土の上をわずかな時間でも歩かせてみるなど工夫ができます。
アトピーの治療をしながらでも散歩することは可能です。散歩に行ってストレスを解消したほうが免疫力も上がり、治療の助けになる場合もあります。
散歩に行かずに、家の中で遊んであげるだけでも大丈夫?
お散歩でなくても、家の中で遊んでもらえると「飼い主さんに向き合ってもらえた、遊んでもらえた」という気持ちの上での満足感はあると思います。
ただ、お散歩そのもので感じる刺激や楽しさは少し足りない状況だと思います。時間の都合がつくときにはできるだけ散歩もして、愛犬のストレスを発散させてあげてください。
家の中で遊ぶ際には楽しめる工夫も
また、家の中などある程度限られたスペースで遊ぶ場合は、体力を発散する遊びとして「引っ張りっこ」などの全身を使う遊びがよいでしょう。
また、嗅覚や頭脳を刺激する遊びとして、お気に入りのおもちゃやおやつを家具の陰や大き目のタオルの下などに隠し、それを探させるような「探索遊び」を取り入れると達成感もあり、おすすめです。
散歩に行くことで社会性を身につけて犬に自信をつけることは、飼い主さんとの生活や関係を安定したものにしてくれます。ぜひ、愛犬との散歩を楽しんでくださいね!
『犬の飼育に関するアンケートvol.02』
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
文/sorami
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