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乾燥する冬も要注意! 皮膚のスペシャリストが伝える【犬に多い皮膚の病気5選】

2020年に犬で多かった皮膚病は?

新型コロナウイルスの感染拡大など、異例づくしだった2020年。外出自粛やリモートワーク推奨で在宅時間が増えるなど、飼い主さんの環境の変化は愛犬にも多大なストレスを与えました。
人でもストレスを感じると、皮膚が荒れやすくなったりしますが、犬ではどうでしょうか。乾燥しやすい季節にも要注意な、犬で昨年とくに多かった皮膚病を5つご紹介します!
教えてくれたのは……齊藤邦史先生
川崎市麻生区にある「斉藤動物病院」の院長。”皮膚病のスペシャリスト”として知られ、皮膚のトラブルに悩む愛犬の飼い主さんたちが遠くからも訪れている。特設されている皮膚科専門外来では、難治性の皮膚疾患まで対応。皮膚病の原因となる菌やウイルスなどの微生物についても幅広い知識をもつ。
※ご紹介している皮膚病ランキングは、2020年1月1日から8月31日の期間において、各動物病院で保険金請求が多かった傷病や、監修の先生のご見解をもとに算出したものです。

1.膿皮症

膿皮症を発症し、おなかの皮膚全体に強い赤みと湿疹が広がっています(症例写真提供/斉藤動物病院)
膿皮症を発症し、おなかの皮膚全体に強い赤みと湿疹が広がっています(症例写真提供/斉藤動物病院)
2020年、犬の皮膚病のなかでもっとも受診が多かったのが膿皮症。なんらかの原因で肌の抵抗力が低下し、皮膚の常在菌が悪さをして炎症を起こす病気です。2020年はコロナ禍で飼い主さんの生活サイクルにも変化が多く見られたため、ストレスで免疫力も低下しやすく、発症の引きがねに。

治療法と予防法としては、症状に合わせてシャンプー療法を行いつつ、免疫力を回復させることが重要です。犬は飼い主さんの生活サイクルに影響されますので、なるべくいつもどおりの生活リズムを維持するよう心がけましょう。

2.犬アトピー性皮膚炎

目のまわりをかきこわし、まぶたが赤く腫れてしまった犬の写真(症例写真提供/斉藤動物病院)
目のまわりをかきこわし、まぶたが赤く腫れてしまった犬の写真(症例写真提供/斉藤動物病院)
かゆみが出る湿疹を中心とした病気です。目や口まわり、足先などに症状が出やすく、よくなったり悪くなったりを繰り返します。原因は不明ですが、「今年はいつもより症状が重い」と受診される飼い主さんが2020年では目立っていました。柴、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズーのほか、アレルギー体質の犬で要注意。多くが3才未満で発症しています。

治療法と予防法としては、症状が慢性的に出ることが多いため、治療を行いながらこまめに経過を観察します。最近では、1回の注射でかゆみを抑えられる「サイトポイント」などの治療薬も出ています。

3.マラセチア性皮膚炎

マラセチア性皮膚炎で下腹部に赤みが出たミニチュア・ダックスフンドの写真(症例写真提供/斉藤動物病院)
マラセチア性皮膚炎で下腹部に赤みが出たミニチュア・ダックスフンドの写真(症例写真提供/斉藤動物病院)
マラセチアはカビの一種で、皮脂や分泌物を栄養に増殖し、皮膚に炎症を起こします。春から夏にかけて湿度が上昇すると発症しやすいのですが、2020年は雨が多く湿度も高かったため、とくに梅雨どきは受診数がピークになったそう。あらゆる犬で見られる病気ですが、シー・ズー、ビーグル、アメリカン・コッカー・スパニエルなどが好発犬種です。

治療では主に抗真菌剤を投与します。気温と湿度が一定になるよう保ちつつ、愛犬の皮膚に合ったスキンケアを行うことが予防につながります。

4.外耳炎

アトピー性皮膚炎から外耳炎を発症し、かきむしりすぎて黒ずんだ耳(症例写真提供/斉藤動物病院)
アトピー性皮膚炎から外耳炎を発症し、かきむしりすぎて黒ずんだ耳(症例写真提供/斉藤動物病院)
耳にかゆみなどがあらわれる病気で、細菌性・マラセチア性・アレルギー性の3種類があります。皮脂などの分泌物が増えると悪化しやすく、ほかの皮膚病と連動して出ることも。梅雨が長引いた2020年は受診も増加傾向にあったようです。耳の形に関係なく、すべての犬種でなりやすく、犬アトピー皮膚炎になりやすい犬ではとくに用ちゅい。

細菌性は抗生物質、マラセチア性は抗真菌剤など、原因に合わせた薬で治療します。耳の匂いに異変がないか毎日チェックすると予防につながります。

5.アレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎により、赤みが出ている背中の皮膚の写真(症例写真提供/斉藤動物病院)
ノミアレルギー性皮膚炎により、赤みが出ている背中の皮膚の写真(症例写真提供/斉藤動物病院)
ノミやダニなどに吸血されることで体が反応し、皮膚にかゆみなどの炎症が起こります。食べ物からアレルギーを発症することも多く、自粛期間中にふだん与えないような食べ物をおすそわけしたことで発症した例も。
フレンチ・ブルドッグ、柴、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなど、アレルギー体質の犬で要注意。
また、最近では季節を問わずノミの発生が見られるため、通年予防を徹底することも大切です。アレルゲンになりそうな食材のおすそ分けも控えましょう。

皮膚も免疫のひとつ。しっかりケアしよう

イラスト/林よしえ
イラスト/林よしえ
いかがでしたか? 皮膚は体の外側にあり、バリアのような役割も果たしています。乾燥やストレスなどで皮膚がダメージを負いやすい時季こそ、愛犬の皮膚をきれいに保てるように、飼い主さんがしっかりケアしてあげてくださいね。

参考/『いぬのきもち』2020年12月号「2020年に多かった! 犬の病気&トラブルランキング」特集(監修:斉藤動物病院院長 齊藤邦史先生)
症例写真提供/斉藤動物病院
イラスト/林よしえ
文/影山エマ
※ご紹介している皮膚病ランキングは、2020年1月1日から8月31日の期間において、各動物病院で保険金請求が多かった傷病や、監修の先生のご見解をもとに算出したものです。
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